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空想が捗る

「第十五章 刀剣の扱い方について


刀剣の最も有効な運用方法は、相手の魔力にダメージを与えることである。

例えば、大魔道士達の魔道は平原一つを飲み込むほどの規模だ。

刀剣で抗えるものではない。

だが、そんな魔道にも弱点が存在する。

規模が大きければ大きいほど、多くの魔力が込められているということだ。

だから、その魔力部分を削ってやれば簡単に魔道は不発になる。


具体的には、髪を切断することが挙げられる。

それを対策して兜をつける魔道士もいるが、頭に刀剣を超える強度の兜をつける例は極端に少ない。

単純に重いからだ。

粗悪な量産品の刀で着ることは難しいかもしれないが、二級以上の刀匠が作ったものであれば容易に切れるだろう。


そこまで魔道士に肉薄すれば首を斬れば良いのではないか?

そんな疑問が浮かんでくるだろうが、それは無駄だ。

憎き天使どもは、魔力を使うことでその体を蘇生する。

つまりは、首を切っても意味はないということだ。

だが、首を切るためには天使の白髪を贄に捧げなければならない。

髪を切ることはその個人の弱体化であり、蘇生可能者の減少という一石二鳥の行為なのだ。」


待てよ?

「憎き天使ども」?

あの人は悪魔なのか?

人獄大戦で負けた悪魔は天使を恨んでいるはずだからな。


そもそも、この本がおかしい。

どれだけ早く書いても二週間でこの分厚さの本を書けるわけがない。

どこかからの流用だろう。

それなら、あの人は紫と白の混色髪なのに天使を憎んでいるのかという矛盾もとれる。


いや、矛盾だらけだ。

この本の出どころが地獄ということになる。

シグノール商会がいくら世界を旅していると言っても、容易に入手できるものではないだろう。

だが、あり得ないことではないか。

それはいいとして、商会長もおかしい。

あの人はエルフだ。

天使の娘だ。

この世の組織の大体は世襲制だから、天使と結ばれた紫髪の男(女かもしれない)がシグノール商会の先代商会長だろう。

つまり、あの商会の起源は人間だ。

なのに、何故黒髪を助けるような規則があるんだ!?

天使が紹介の元だとしたら余計に矛盾する。


こんなことを考えるためにこの本を読んでいるんじゃないだろう、私は!

父に魅せるための剣を学ぶために本を読んでいるんだ!

無駄なことは考えるな。

タイムリミットは迫っている。




あの本を読み続けて、早くも五ヶ月が経った。

私は二歳半になった。

もう二足で走れるし、剣も立ち止まっていれば持てるようになった。

風魔導もだいぶ使えるようになり、「この世界の全貌」くらいは自由に動かせるようになった。

おいおい、剣を触れないなら意味ないだろって?

問題ない、私は風魔導で剣を自在に動かせるようになった。

普段は握っているように見せて、風魔導で動かす。

相手に距離を取られたら手から離して剣で相手を攻撃する、という奇襲ができるようにした。

策はいくつあっても困らないからな。


もう、やることはない。

模擬戦もしたし、戦闘で使う用の初級・中級魔導は全て覚えた。

上級以上になってくると戦争で使うような大規模なもので、決闘が主流の今はほとんど使われていない。

なら、覚える必要はないだろう。

風魔導を使った加速も十分にできるようになった。


そろそろか。

善は急げ、だな。


私は明日、父との交渉に臨む。

幸い、父は昨日エンジュ辺境伯との交渉に成功して上機嫌だ。

成功する可能性は高いだろう。


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