神道 終戦まで政治に利用された宗教
日本神話はほとんど解説しないので(ほぼ政教分離に関して)、あまり神話については期待しないでください。初代天皇が誰かというのはちょっと多めに解説していますが。
s 日本特有の宗教といえば「神道」ですよね。
k 日本発祥かどうかは諸説あるけど他国には無い独特の文化を有する宗教なのは間違いない。ただ、この宗教は本当に長い歴史とともに、大きく政治に関わってきた歴史も持つ。戦後に「政教分離」の原則が日本国憲法で明記されるまで政治そのものと言っても過言ではない関わりを持ってきた。
s 天皇という存在と密接に関わっていますからね。
k 今回はちょっと戦前から戦後の変化を深堀りしてみようと思う。宗教について詳しく言うとキリがない(というか語ったら一つの短編集が作れる)から割愛させてもらうね。そこから話したいけど脱線するから。
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s そもそも天皇と神道ってどんな関わりがあるのですか。
k 言ってしまえば「伊弉冉尊」と「伊弉諾尊」の夫婦が日本を作ったという神話から始まる。イザナギノミコトの娘「天照大御神」は知っている人が多いかも。その子孫が天皇家だというのが神話の流れになっているよ。
s 天皇家の血筋は神話において本当に創造主から始まっているんですね。
k 神の存在は一旦置いておき、ニニギノミコトのひ孫が「神武天皇」となっている。神話と天皇のつながりは分かったかな。
s 本当に昔からいたんですね……
k まっ、神武天皇はいなかったという説が有力だけど。
s え。
k 考えてみな。神武天皇が本当に実在したら縄文時代だぞ。いっても弥生時代。そうなるとお墓を作る文化があまりなかったこの時代に神武天皇のお墓があるとは考えづらい。しかし、神武天皇陵(神武天皇が眠る場所)があるということは、あとの時代から作った説が有力となる。
それに加え神話上は「百歳超え」となる。当時は平均寿命が四十代だからこれも神武天皇を否定する材料となる。
s なんか、盛っていますね。
k いや、そこまで極端には盛っていない。百二十歳とかはそうかも知れないけど「天皇家」は世界最古の王朝とされている。確実に存在するとされる仁徳天皇から数えてもそうなるんだ。如何に長く続いた血統かは火を見るより明らかだ。まあ、現代でも百二十歳はほとんどいないのに、と考えるとちょっと盛りすぎとは思うが。
s 確実に存在する?
k そこだよ。天皇家は誰が初代なのか本当に分かっていない(いろいろな説があり崇神天皇説、応神天皇説、仁徳天皇説、神武天皇説などはっきりしていない)。千五百年前の文献なんて当てにならないし、実際に墓を掘ると宮内庁が怒るから。そこはもう神話として考えたほうが良いかも。
夢のない話をすると一つあった地方豪族が全国規模になってその統治を正当化するための手段とされる。
s 夢がなさすぎでは。
k だからちょっとは理想とか信じて生きて見たほうが少しは良いかも。まあビッグバンから始まったという究極的な始まりは現実(僕にとっては神秘そのもの)。神さまがこの世界に居るって思うのを矯正するのは論外だけど、
神話に出てくるかも知れない神様がいること。っていうロマンを否定するのもつまらないかな。
s ミステリアスだからこそ、といったところですね。
k 神道って信じるというものじゃない。多神教といって神さまは身近にいるという感覚が日本人にある。(キリスト教やユダヤ教、イスラム教などは一神教といい、世界を作ったのはただ一柱という考えのため神と人間は比べるものにすらならない絶対的なもの)トイレの神さまとか言ったり太陽のことをお天道様と言ったりもする。ゆえに宗教によくある「教典(キリスト教で言えば新約聖書、イスラム教ならクルアーン、ユダヤ教なら(旧約)聖書)」は存在しない。神道特有の性質だ。
s 確かに、八百万の神というだけあって神さまが身近にいますね。
k 神道はそれほどまでにフワッとした宗教だったから仏教が中国から来た際に混合できた。「神仏習合」という。これも日本の文化だ。インドや中国の仏教とは異なる日本独自の仏教だ。世界に誇れる文化だと思うよ。日本でも神話に出てくる神に仏様の名前として語り継がれることもある。だから神道であったからこそ多くの宗教に寛容な国になったと思う。
s 確かにこれは日本国憲法にあったことでもありますが信教の自由は認められやすかったのでしょうね。
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s 大日本帝国が誕生したとき、「神仏分離令」が出されましたよね。日本古来の神と分離させたかったとはいえ多くの文化財が失われたことを鑑みると「悪法」ですね。
k 新政府からすれば国家のあり方を「神話」に繋げてしまえば天皇に権力を集中させやすい。これが国家神道を進めたかった理由だろうね。
s 文化財の保護より政府としての基盤を固めたかったのですね。
k 戦後、政教分離原則が日本国憲法第二十条に定められた。GHQとしてはやはり天皇集権型国家としてのあり方を根本から変えさせるために政教分離、特に「神道」と「政府」は分離させたんだ。
天皇集権型は軍国主義(日本軍を指揮できるのは天皇のみのため政府は強く干渉できず軍部の暴走を許した)を作った要因でもあるからその元になりかねない要素は排除することにした。もちろん日本の神話自体を薄くして国力を落とそうとした狙いもあるだろうけど一番重要なのは「政教分離」にあったのは間違いない。
s そっか。だから戦後日本においては学校での「日本神話」の教育はあまりされないのですね。
k 「日本神話」は当然神道の一部となる。故に「行政の属する」教育機関は憲法及び教育基本法の制約を受ける。子どもに偏った思想を植え付けないようにするためだ。だから、教育現場では宗教を教えるにしても差別することなく均等に教えるのが原則だ。
s 「行政の属する」とは?
k 私立の教育現場ではキリスト教や仏教を教えることもある。政治教育と違い、法律で定める学校であっても行政に属さなければ宗教教育はできる。
s 日本にとって宗教が重くなるのは戦前の記憶の一部というのもあるのでしょうか。
k 戦後ドイツは、人によって国旗を掲げることに少し抵抗を持つようになってしまった。ナチスドイツが国旗を神聖化したのが原因だ。戦後の苦い思い出はどの国家でも似ているものがあるのかも知れない。
s 国家が宗教に干渉するとろくなことにならないのですね。
k 別にいいとは思うけど、それを制御する力が無いのであれば制約はつけるべきだ(制御なんてどの政治体であっても無理だろうが)。
s 大日本帝国が滅亡した。それは日本にとって神道が「政治」から解き放たれた瞬間とも言えるのですね。
k 滅亡て。まあそうなんだけど。神道が政治から離れるのは初めてのことだったのかも。今まで政治活動に利用され続けて、いつの間にか宗教自体が腐敗しかけた。
政教分離ができないと、政治批判が宗教に対するバッシングに向かっていく。そうなるとその宗教を信じる人が消えていく。政教分離は宗教を守るためでもある。
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「政治」という常に変遷し続け進化し続けなければならないものに「宗教」という伝統を重んじ続ける組織は現代において混じることはできない。進化と伝統。
それぞれが独立することは双方にメリットが有る。
宗教が神話たる所以は潔白さにあると思う。人々を救い人間たちが共に助け合う。政治も目指す目標は同じだ。
政教分離の観点からそんな事を言う気にはならないが、
政治家も、ちったあ「宗教」の原点を見て国民のことを考えて欲しいものだ。
政教分離って本当によくできていますよね。




