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法と政治の無知な批判者に告ぐ  作者: i/o


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二十九言目 大日本帝国憲法前文

書こうと思っていたのですがその前に色々なこと(戦前シリーズ等)が浮かんだので後回しにしたことをお詫び申し上げます。

s 日本国憲法の前文の解説はしてもらいましたがそういうと、大日本帝国憲法の前文については教科書でも中々語られることがありませんね。


k はっきり言うと内容が難しいというのがある。一回前文の全文、見てみよっか(圧)


s (マジでムズいやつだこれ……)




 告文、憲法発布勅語は除いて掲載

 大日本帝国憲法前文


「朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ万世一系ノ帝位ヲ践ミ朕カ親愛スル所ノ臣民ハ即チ朕カ祖宗ノ恵撫慈養シタマヒシ所ノ臣民ナルヲ念ヒ其ノ康福ヲ増進シ其ノ懿徳良能ヲ発達セシメムコトヲ願ヒ又其ノ翼賛ニ依リ与ニ倶ニ国家ノ進運ヲ扶持セムコトヲ望ミ乃チ明治十四年十月十二日ノ詔命ヲ履践シ茲ニ大憲ヲ制定シ朕カ率由スル所ヲ示シ朕カ後嗣及臣民及臣民ノ子孫タル者ヲシテ永遠ニ循行スル所ヲ知ラシム

国家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗ニ承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ朕及朕カ子孫ハ将来此ノ憲法ノ条章ニ循ヒ之ヲ行フコトヲ愆ラサルヘシ

朕ハ我カ臣民ノ権利及財産ノ安全ヲ貴重シ及之ヲ保護シ此ノ憲法及法律ノ範囲内ニ於テ其ノ享有ヲ完全ナラシムヘキコトヲ宣言ス

帝国議会ハ明治二十三年ヲ以テ之ヲ召集シ議会開会ノ時ヲ以テ此ノ憲法ヲシテ有効ナラシムルノ期トスヘシ

将来若此ノ憲法ノ或ル条章ヲ改定スルノ必要ナル時宜ヲ見ルニ至ラハ朕及朕カ継統ノ子孫ハ発議ノ権ヲ執リ之ヲ議会ニ付シ議会ハ此ノ憲法ニ定メタル要件ニ依リ之ヲ議決スルノ外朕カ子孫及臣民ハ敢テ之カ紛更ヲ試ミルコトヲ得サルヘシ

朕カ在廷ノ大臣ハ朕カ為ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ責ニ任スヘク朕カ現在及将来ノ臣民ハ此ノ憲法ニ対シ永遠ニ従順ノ義務ヲ負フヘシ」


s 告文と勅語除いてこれですかい。


k 告文と勅語入れたら三倍くらいになって嫌気がまして解説する気力が消える(ぶっちゃけた)から飛ばしたよ。まあ、一応前文は定義上そのはずだし!(俺は血迷ったか)


s 血迷いましたか。それは置いておいてやっぱり古文は苦手なので語訳、お願いします!


k 頑張るね!




i/o現代語訳、大日本帝国憲法前文(告文、憲法発布勅語は除く)


「朕の先祖の偉大な功績を引き受け万世一系の帝位を実践し、朕が親愛する所の臣民(日本国憲法における国民)は即ち朕が先祖の恵撫慈養(慈しんで労り、大切に育てること)をした所の臣民のことを想う。その安泰と幸福を増進しその非常に優れた徳と良い能力を発達させることを願う。又その補佐により共に国家の進運を与えていくことを望みすなわち明治十四年十月十二日の詔命を実践しここに大憲(憲法)を制定し朕が先代のしきたりにならう所を示し、朕が後嗣(跡継ぎのこと)及び臣民及び臣民の子孫たる者をして永遠に命令を守って行う所を知らしめる。

 国家統治の大権は朕がこれを先祖に引き受けてこれを子孫に伝える所である。朕及び朕が子孫は将来この憲法の条章に従いこれを行うことを誤ってはならない。

 朕は我が臣民の権利及び財産の安全を尊重し、及びこれを保護しこの憲法及び法律の範囲内においてその享有を完全にする必要があることを宣言する。

 帝国議会は明治二十三年をもってこれを召集し、議会開会の時をもってこの憲法をして有効にする時期とすべし。

 将来もしくはこの憲法のある条章を改定するの必要なるそのときを見るに至るのであれば、朕及び朕が継統の子孫は発議の権をとり、これを議会に付し議会はこの憲法に定めたる要件によりこれを議決する以外の手段で、朕が子孫及び臣民は、あえてこれが紛更を試みることをしてはならない。

 朕が在廷の大臣は朕のためこの憲法を施行する責任を負うべく朕が現在及び将来の臣民はこの憲法に対し永遠に従順の義務を負わなければならない。」



s これでもまだ分かりづらいですね。古文選択しておけば良かったです……


k (古文選択していないからネットで文法調べたとか今更言えないな……)そんな感じのところで大分分かりやすくはなったと思うけれど、段落ごとに分けて考えると分かりやすくなるかも。

 ものすごく要約すると

 「先祖から受け継いだ伝統を更に良くし、補佐進運をしてもらうために明治憲法を制定する。それによってしきたりに習うことを示しそれを守って実践していく。

 

 天皇は臣民の権利及び財産を尊重し保護する。この憲法及び法律の範囲内においてそれは阻害されない。

 憲法を変えるべきその時期が来たときは天皇又はその子孫が発議し議会が憲法の規定によって議決する。それ以外の方法によって天皇の子孫及び臣民は勝手に変更してはならない。

 天皇が在廷の大臣は天皇のためにこの憲法を施行するべく、臣民はこの憲法に対して永遠に従順の義務を負う」


s 「国家統治は天皇にのみできてそれを子孫に伝えていく。天皇含めた我らはこの憲法に従い、運用を誤ってはいけない。」という一文がありますが運用を誤ってはならないというのは?


k 言葉通りだ。明治憲法制定に関わった一人である伊藤博文は憲法によって「立憲君主制」が実行され臣民の権利が尊重されることを願った。軍部はそれを無下にしたというところか。


s 臣民とか言いますが、なぜ国民という言い方がされなかったのでしょうか。


k 天皇の部下、という解釈ではあった。国民という意味とは少し違ってくる。


s そうなると、明治憲法自体はしっかりと効力を有していたのですね。


k そうなるね。ナチスドイツではヒトラーが憲法を無力化させたのに対し、日本は改憲を一切行わず、それどころか条文を良いように解釈して動かしたわけだから違った恐ろしさがある。ただ、サイパン島陥落のときに東條英機内閣が総辞職させられた点については、ナチスドイツと違い内閣、帝国議会、裁判所、天皇というそれぞれの権力が機能していたことを表す。軍部の暴走ということだから、明治憲法が悪法だったのではなく、明治憲法が悪用されたという解釈のほうが正しいのだろうな。


s 明治憲法には確かに多くの欠陥があったにしても、憲政という点では大正デモクラシーや護憲運動があったおかげか、憲法自体が無力化される法律はできなかったのでしょうね。


k 法律も使う人間が悪用しようとすればどんなことだってできてしまう。最悪の場合、憲法を破棄するという事もできてしまう。その使う人間を選ぶことができるのはやはり国民にあるんだよ。明治憲法の理念が無碍にされたその痛恨の歴史は絶対に繰り返してはならない。






 最後の文に臣民が憲法を守る義務を負うと書かれてあるが、日本国憲法では公務員等の権力者側にかされている。同じように見えて結構違うものである。


 民主主義国家において、法は支配する道具ではなく、権力の暴走を抑える手段であるということを心に留めて置かなければ過ちを繰り返すばかりか、それ以上の悲惨な結果が待っているかもしれない。


 歴史を僕たちは、今この瞬間も眺め続けている。

誤字脱字があったら報告をお願いします。明治憲法自体、穴が多かったのでしょうが、市民革命の中途にあったその時代では限界だったのかもしれない。その歴史を見つめなければ同じ未来がやってくる。

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