二十七言目 何故、国旗に刑はあるのか。
本当に批判的に書いて言います。反論は承知の上で書いています。
s ぶっちゃけてしまえばkさんって結構左翼といえば左翼ですね。
k 極左ではないと信じたいけど。まあ、できるだけ真ん中で話して解説していきたいと思っているけど。そんな中で今日、多くの議論を呼びそうな法案が可決成立した。
「日本国国旗損壊罪」
これ、結構前に僕は罰則をつけるのは反対だと言ったね。前回以上に議論が不十分なまま成立してしまった。ネットでこういう事をいうと国賊の如く叩くから本当に嫌だ。国旗を思う心って人間次第で、国民次第。日本という国は今の人間がやっていかなければならない。
というか、そもそも日本国国旗って定義は「国旗国歌法」で定められている。そっちを改正すればよかったのではないかと思う。
s そもそも表現の自由ってなんでここまで尊重されるのでしょうか。
k 戦前にあった治安維持法は国体の変革を目論めば検挙された。しかし、その実態は思想犯の検挙であり自白でしか成立しない犯罪も多く存在した。画家が写景を書いていたときに共産主義的なことが見えたらその時点で逮捕されて過酷な拷問を受けた。もちろん治安維持法で防がれたてろがあったのかもしれない。
「十人の真犯人を逃すとも 一人の無辜を罰するなかれ」
この格言を完全に無視した法律によって小林多喜二は拷問死した。写真を見たことがあるけどあまりに悲惨な写真で見るのが辛かった。自白を吐かせればそれだけで犯罪は成立する世界で、多くの市民が命を奪われたり尊厳を奪われたりした。
s 十人の真犯人と一人の無辜は一人の無辜を優先するのですか。
k そもそも裁判の意味って何だと思う?
s それは有罪にするための手続きではなくて?
k 違う、もしそうであれば裁判所なんていらない。警察だけで十分だ。自由に逮捕できて、有罪にできて、気に入らない人間を前科者にできる。裁判所の意味って「有罪を決する場所」ではなく「本当に有罪かどうか審議する場所」だ。有罪率99.9%だとしても、裁判所がないと残りの0.1%が救われない。第一、君が0.1%に絶対に遭遇しないなんて言い切れないだろ。
s 自分には関係ないと言ったら本当にその目に合うのが人生ってもんですかね。
k 話を戻すけど、外国国旗は罰せられるのに日本国旗は罰せられないのかという点で言えば、ものすごく簡単に言おう。
日本の外交上、滅茶苦茶弱くなるから。
s ……へ?
k 最近の例ではウクライナ軍が第二次世界大戦時のホロコーストに使われた部隊の名前を復活させた際に猛反発し、ウクライナ大統領の勲章を剥奪した事があったよね。それぐらい外交ってものすごく繊細なんだ。その上で話をすると日本は輸入大国であり、貿易産業に頼らなければ国家存続の危機に瀕する。現に石油が輸入できないと日本は終わりかねないだろ。
s まあ、日本はたしかに脆弱ですかね。
k そのうえで外国の国旗を壊してみろ。外交関係が悪化した場合日本が危うくなる。ぶっちゃければ死罪でもおかしくない行為なんだ。それを罰しようとするのは当然のことだろ。G7で唯一外国国旗や国章の損壊に対する罪について書かれてあるが、ヨーロッパと日本を比べるなんて地政学的にも産業学的にもおかしいってもんだ。だから外国政府からの請求があった際に罰せられる規定がある。
s 外国政府からの請求が大きな点ですね。それを考えてみると日本国国旗は政府が公訴するわけではなく捜査機関に一任される。ということは最初のうちは適用を慎重にやろうとしてもそのうちゆるくなっていってしまうもの。人間ってそういうものだからということですね。
k そのとおりだよ。そしてもう少し深堀りしてみるか。刑って何であると思う?
s 刑……、言われてみると何であるのでしょうか。犯人を懲らしめるため?
k それも正解だ。もし刑罰が存在しない世界線があったと考えよう。犯罪という概念すらないからなんでもやっていいし何をやられても文句は言えない。殺されても文句は言えない。でもそれって人間が協力して生きる生物ということを考えると上手く生活することはできない。
s 疑心暗鬼になって誰も信じられなくなりますね。
k そうだ。そのうえで刑罰というものを作る。するとどうだ。刑があるからやめようという判断になる。これが刑罰の原点だ(それを判断できない心神喪失者は罰しないのはこれが理由)。じゃあ、逆に刑がとてつもなく厳しくて、思想犯罪というものがあったらどうなるか。刑罰が暴走して北朝鮮みたいになる。冗談抜きで。
※例えば「あの首相には落選してほしい」と頭の中で考えたとしよう。これを罰する規定は誰にとって有益か。首相だ、すなわち権力者にある。それにこういう犯罪って自白でしか成立させられないから憲法的にアウト(自白が被告に不利な唯一の証拠であれば罰せられないのは、自白というものが証拠上外部の人間に正しいことを証明させることが他の証拠がなければ極めて難しいから)。あと自白って憲法で禁止されている威圧的だったり暴力的だったりする方法で簡単に取れるから証拠としての制限がものすごく厳しい。
s 結構刑罰って人間と関わりが深いですね。
k ちなみにだが、逮捕は犯罪だということは知っていたか?
s 嘘でなくて?
k 本当の話だよ。逮捕監禁罪というものがあってだな。現行犯をさっさと警察に渡す場合を除いて逮捕は犯罪。となると政府が犯罪を特別に正当化して逮捕をできるようにしている。だから憲法による極めて強いブレーキが科せられている。
僕がかつてないほどに赫怒しているのは、政府に対してである。国会に対してである。政治とカネの問題を解決せぬままとある政党を信じた妄信的な国民たちにである。日本国旗は日本そのものであり先人たちの守ってきたとても大切で穢されてはならないものであると感じる。
だからこそ、刑罰なんて科してほしくない。罰則を課さなければならないほどに日本国国旗を損害する人間が居るのか。僕だって国旗を穢されるところなんて絶対に見たくない。
なら、なぜ国旗に限定するのか。外国国旗国章損壊罪は「国章」が含まれる。アメリカであれば鷲であるように汚せば罰せられる。日本なら「菊の御紋」だ。これは穢しても問題がないらしい。
言語道断。菊の御紋を汚すのは国民として許せるのか。天皇制の是非を置いておいたとしても許されるものではない。なら何故国旗にこだわる。
愛国心の強制か。
国旗国歌法を改正し国旗を大切に扱う義務を科せば良い。なぜ犯罪として取り締まるのか。
後々のことを考えようともしない政府と、国会、そしてそれに流されるように賛成する人間に対して僕は言いたい。
本当にある愛国心は、哲学の領域だ。それを軽々しく扱うな。
どうか、もう一度議論してほしい。罰則の是非や国旗の定義、政府抗議デモに対する処置に対してもっと議論してほしい。
もっとも、「脱税の疑惑がある国会議員」という憲法遵守義務を果たさない「日本人」による改正は「改正」なのか甚だしいものだが、そんな人間が愛国心と言っているようで。
呆れてものも言えない。
人間の尊厳が奪われないことを切に願う。だから、もっと議論してほしかった……




