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法と政治の無知な批判者に告ぐ  作者: i/o


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27/29

二十三・五言目 戦前シリーズ「昭和十六年改正治安維持法(現代語訳は一章の罪のみ掲載)」

猛者向けです。

 近衛文麿内閣による昭和十六年改正の原文の全文と一章のi/o現代語訳を載せます。出典はウィキソース(治安維持法(昭和十六年法律第54号))です。解説は前回の内容で済ませていますが詳しくやってほしい場合は感想次第で考えるつもりです(感想の強制っぽくて申し訳ないですが)

昭和十六年改正治安維持法


「第一章 罪

 第一條 國體ヲ變革スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ從事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ七年以上ノ懲役ニ處シ情ヲ知リテ結社ニ加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ爲ニスル行爲ヲ爲シタル者ハ三年以上ノ有期懲役ニ處ス

 第二條 前條ノ結社ヲ支援スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ從事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ五年以上ノ懲役ニ處シ情ヲ知リテ結社ニ加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ爲ニスル行爲ヲ爲シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ處ス

 第三條 第一條ノ結社ノ組織ヲ準備スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ從事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ五年以上ノ懲役ニ處シ情ヲ知リテ結社ニ加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ爲ニスル行爲ヲ爲シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ處ス

 第四條 前三條ノ目的ヲ以テ集團ヲ結成シタル者又ハ集團ヲ指導シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ處シ前三條ノ目的ヲ以テ集團ニ参加シタル者又ハ集團ニ関シ前三條ノ目的遂行ノ爲ニスル行爲ヲ爲シタル者ハ一年以上ノ有期懲役ニ處ス

 第五條 第一條乃至第三條ノ目的ヲ以テ其ノ目的タル事項ノ實行ニ関シ協議若ハ煽動ヲ爲シ又ハ其ノ目的タル事項ヲ宣伝シ其ノ他其ノ目的遂行ノ爲ニスル行爲ヲ爲シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ處ス

 第六條 第一條乃至第三條ノ目的ヲ以テ騒擾、暴行其ノ他生命、身體又ハ財産ニ害ヲ加フベキ犯罪ヲ煽動シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ處ス

 第七條 國體ヲ否定シ又ハ神宮若ハ皇室ノ尊厳ヲ冒涜スベキ事項ヲ流布スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ從事シタル者ハ無期又ハ四年以上ノ懲役ニ處シ情ヲ知リテ結社ニ加入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ爲ニスル行爲ヲ爲シタル者ハ一年以上ノ有期懲役ニ處ス

 第八條 前條ノ目的ヲ以テ集團ヲ結成シタル者又ハ集團ヲ指導シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ處シ前條ノ目的ヲ以テ集團ニ参加シタル者又ハ集團ニ関シ前三條ノ目的遂行ノ爲ニスル行爲ヲ爲シタル者ハ一年以上ノ有期懲役ニ處ス

 第九條 前八條ノ罪ヲ犯サシムルコトヲ目的トシテ金品其ノ他ノ財産上ノ利益ヲ供与シ又ハ其ノ申込若ハ約束ヲ爲シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ處ス情ヲ知リテ供与ヲ受ケ又ハ其ノ要求若ハ約束ヲ爲シタル者亦同ジ

 第十條 私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ情ヲ知リテ結社ニ加入シタル者若ハ結社ノ目的遂行ノ爲ニスル行爲ヲ爲シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス

 第十一條 前條ノ目的ヲ以テ其ノ目的タル事項ノ實行ニ関シ協議ヲ爲シ又ハ其ノ目的タル事項ノ實行ヲ煽動シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス

 第十二條 第十條ノ目的ヲ以テ騒擾、暴行其ノ他生命、身體又ハ財産ニ害ヲ加フベキ犯罪ヲ煽動シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ處ス

 第十三條 前三條ノ罪ヲ犯サシムルコトヲ目的トシテ金品其ノ他ノ財産上ノ利益ヲ供与シ又ハ其ノ申込若ハ約束ヲ爲シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス情ヲ知リテ供与ヲ受ケ又ハ其ノ要求若ハ約束ヲ爲シタル者亦同ジ

 第十四條 第一條乃至第四條、第七條、第八條及ビ第十條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

 第十五條 本章ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ軽減又ハ免除ス

 第十六條 本章ノ規定ハ何人ヲ問ワズ本法施行地外ニ於テ罪ヲ犯シタル者ニ亦之ヲ 適用ス


第二章 刑事手続

 第十七條 本章ノ規定ハ第一章ニ掲グル罪ニ関スル事件ニ付之ヲ適用ス

 第十八條 檢事ハ被疑者ヲ召喚シ又ハ其ノ召喚ヲ司法警察官ニ命令スルコトヲ得檢事ノ命令ニ因リ司法警察官ノ発スル召喚状ニハ命令ヲ爲シタル檢事ノ職、氏名及其ノ命令ニ因リ之ヲ発スル旨ヲモ記載スベシ召喚状ノ送達ニ関スル裁判所書記及執達吏ニ属スル職務ハ司法警察官吏コ之ヲ行ナフコトヲ得

 第十九條 被疑者正当ノ事由ナクシテ前條ノ規定ニ依ル召喚ニ應ゼズ又ハ刑事訴訟法第八十七條第一項各号ニ規定スル事由アルトキハ檢事ハ被疑者ヲ勾引シ又ハ其ノ勾引ヲ他ノ檢事ニ嘱託シ若ハ司法檢察官ニ命令スルコトヲ得

 前條第二項ノ規定ハ檢事ノ命令ニ因リ司法警察官ノ発スル勾引状ニ付之ヲ準用ス

 第二十條 勾引シタル被疑者ハ指定セラレタル場所ニ引致シタル時ヨリ四十八時間内ニ檢事又ハ司法警察官之ヲ訊問スベシ其ノ時間内ニ勾留状ヲ発セザルトキハ檢事ハ被疑者ヲ釈放シ又ハ司法警察官ヲシテ之ヲ釈放セシムベシ

 第二一條 刑事訴訟法第八十七條第一項各号ニ規定スル事由アルトキハ檢事ハ被疑者ヲ勾留シ又ハ其ノ勾留ヲ司法警察官ニ命令スルコトヲ得

 第十八條第二項ノ規定ハ檢事ノ命令ニ因リ司法警察官ノ発スル勾留状ニ付之ヲ準用ス

 第二二條 勾留ニ付テハ警察官署又ハ憲兵隊ノ留置場ヲ以テ監獄ニ代用スルコトヲ得

 第二三條 勾留ノ期間ハ二月トス特ニ継続ノ必要アルトキハ地方裁判所檢事又ハ区裁判所檢事ハ檢事長ノ許可ヲ受ケ一月毎ニ交流ノ期間ヲ更新スルコトヲ得但シ通ジテ一年ヲ超ユルコトヲ得ズ

 第二四條 勾留ノ事由消滅シ其ノ他ノ勾留ヲ継続スルノ必要ナシト思料スルトキハ檢事ハ速ニ被疑者ヲ釈放シ又ハ司法警察官ヲシテ之ヲ釈放セシムベシ

 第二五條 檢事ハ被疑者ノ住所ヲ制限シテ勾留ノ執行ヲ停止スルコトヲ得刑事訴訟法第百十九條第一項ニ規定スル事由アル場合ニ於テハ檢事ハ勾留ノ執行停止ヲ取消スコトヲ得

 第二六條 檢事ハ被疑者ヲ訊問シ又ハ其ノ訊問ヲ司法警察官ニ命令スルコトヲ得

 檢事ハ公訴提起前ニ限リ証人ヲ訊問シ又ハ其ノ訊問ヲ他ノ檢事ニ嘱託シ若ハ司法警察官ニ命令スルコトヲ得

 司法警察官檢事ノ命令ニ因リ被疑者又ハ証人ヲ訊問シタルトキハ命令ヲ爲シタル檢事ノ職、氏名及其ノ命令ニ因リ訊問シタル旨ヲ訊問調書ニ記載スベシ

 第十八條第二項及第三項ノ規定ハ証人訊問ニ付之ヲ準用ス

 第二七條 檢事ハ控訴提起前ニ限リ押収、捜索若ハ檢証ヲ爲シ又ハ其ノ處分ヲ他ノ檢事ニ嘱託シ若ハ司法警察官ニ命令スルコトヲ得

 檢事ハ控訴提起前ニ限リ鑑定、通訳若ハ翻訳ヲ命ジ又ハ其ノ處分ヲ他ノ檢事ニ嘱託シ若ハ司法警察官ニ命令スルコトヲ得

 前條第三項ノ規定ハ押収、捜索又ハ檢証ノ調達及鑑定人、通事又ハ翻訳人ノ尋問調書ニ付之ヲ準用ス

 第十八條第二項及第三項ノ規定ハ鑑定、通訳及ビ翻訳ニ付之ヲ準用ス

 第二八條 刑事訴訟法中被告人ノ召喚、勾引及ビ勾留、被告人及証人ノ訊問、押収、捜索、檢証、鑑定、通訳並ニ翻訳ニ関スル規定ハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外被疑事件ニ付之ヲ準用ス但シ保釈及責付ニ関スル規定ハ此ノ限ニ在ラズ

 第二九條 弁護人ハ司法大臣ノ豫メ指定シタル弁護士ノ中ヨリ之ヲ選任スベシ但シ刑事訴訟法第四十條第二項ノ規定ノ適用ヲ妨ゲズ

 第三十條 弁護人ノ数ハ被告人一人ニ付二人ヲ超ユルコトヲ得ズ

 弁護人ノ選任ハ最初ニ定メタル公判期日ニ係ル召喚状ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ十日ヲ経過シタルトキハ之ヲ爲スコトヲ得ズ但シ已ムコトヲ得ザル事由アル場合ニ於テ裁判所ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニアラズ

 第三一條 弁護人ハ訴訟ニ関スル書類ノ謄写ヲ爲サントスルトキハ裁判長又ハ豫審判事ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス

 弁護人ノ訴訟ニ関スル書類ノ閲覧ハ裁判長又ハ豫審判事ノ指定シタル場所ニ於テ之ヲ爲スベシ

 第三二條 被告事件公判ニ付セラレタル場合ニ於テ檢事必要アリト認ムルトキハ管轄移転ノ請求ヲ爲スコトヲ得但シ第一回公判期日ノ指定アリタル後ハ此ノ限ニ在ラズ

 前項ノ請求ハ事件ノ繋属スル裁判所及移転先裁判所ニ共通スル直近裁判所ニ之ヲ爲スベシ

 第一項ノ請求アリタルトキハ決定アル迄訴訟手続ヲ停止スベシ

 第三三條 第一章ニ掲グル罪ヲ犯シタルモノト認メタル第一審ノ判決ニ対シテハ控訴ヲ爲スコトヲ得ズ

 前項ニ規定スル第一審ノ判決ニ対シテハ直接上告ヲ爲スコトヲ得

 上告ハ刑事訴訟法ニ於テ第二審ノ判決ニ対シ上告ヲ爲スコトヲ得ル理由アル場合ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得

 上告裁判所ハ第二審ノ判決ニ対スル上告事件ニ関スル手続キニ依リ裁判ヲ爲スベシ

 第三四條 第一章ニ掲グル罪ヲ犯シタルモノト認メタル第一審ノ判決ニ対シ上告アリタル場合ニ於テ上告裁判所同章ニ掲グル罪ヲ犯シタルモノニ非ザルコトヲ疑フニ足ルベキ顕著ナル事由アルモノト認ムルトキハ判決ヲ以テ限判決ヲ破毀シ事件ヲ管轄控訴裁判所ニ移送スベシ

 第三五條 上告裁判所ハ公判期日ノ通知ニ付テハ刑事訴訟法第四百二十二條第一項ノ期間ニ依ラザルコトヲ得

 第三六條 刑事手続キニ付テハ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外一般ノ規定ノ適用アルモノトス

 第三七條 本章ノ規定ハ第二十二條、第二十三條、第三十條第一項、第三十二條、第三十三條及第三十四條ノ規定ヲ除クノ外軍法会議ノ刑事手続ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テ刑事訴訟法第八十七條第一項トアルハ陸軍軍法会議法第百四十三條又ハ海軍軍法会議法第百四十三條、刑事訴訟法第四百二十二條第一項トアルハ陸軍軍法会議法第四百四十四條第一項又ハ海軍軍法会議法第四百四十六條第一項トシ第二十五條第二項中刑事訴訟法第百十九條第一項ニ規定スル事由アル場合ニ於テハトアルハ何時ニテモトス

 第三八條 朝鮮ニアリテハ本章中司法大臣トアルハ朝鮮總督、檢事長トアルハ覆審法院檢事長、地方裁判所檢事又ハ区裁判所檢事トアルハ地方法院檢事、刑事訴訟法トアルハ朝鮮刑事令ニ於テ依ルコトヲ定メタル刑事訴訟法トス但シ刑事訴訟法第四百二十二條第一項トアルハ朝鮮刑事令第三一條トス


第三章 豫防拘禁

 第三九條 第一章ニ掲グル罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタル者其ノ執行ヲ終ワリ釈放セラルベキ場合ニ於テ釈放後ニ於テ更ニ同章ニ掲グル罪ヲ犯スノ虞アルコト顕著ナルトキハ裁判所ハ檢事ノ請求ニ因リ本人ヲ豫防拘禁ニ付スル旨ヲ命ズルコトヲ得

 第一章ニ掲グル罪ヲ犯シ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リタル者又ハ刑ノ執行猶豫ノ言渡ヲ受ケタル者思想犯保護観察法ニ依リ保護観察ニ付セラレ居ル場合ニ於テ保護観察ニ依ルモ同章ニ掲グル罪ヲ犯スノ危険ヲ防止スルコト困難ニシテ更ニ之ヲ犯スノ虞アルコト顕著ナルトキ亦前項ニ同ジ

 第四十條 豫防拘禁ノ請求ハ本人ノ現在地ヲ管轄スル地方裁判所ノ檢事其ノ裁判所ニ之ヲ爲スベシ

 前項ノ請求ハ保護観察ニ付セラレ居ル者ニ係ルトキハ其ノ保護観察ヲ爲ス保護観察署ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ノ檢事其ノ裁判所ニ之ヲ爲スコトヲ得

 豫防拘禁ノ請求ヲ爲スニハ豫メ豫防拘禁委員会ノ意見ヲ求ムルコトヲ要ス

 豫防拘禁委員会ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

 第四一條 檢事ハ豫防拘禁ノ請求ヲ爲スニ付テハ必要ナル取調ヲ爲シ又ハ公務所ニ照会シテ必要ナル事項ノ報告ヲ求ムルコトヲ得

 前項ノ取調ヲ爲スニ付必要アル場合ニ於テハ司法警察官吏ヲシテ本人ヲ同行セシムルコトヲ得

 第四二條 檢事ハ本人定マリタル住居ヲ有セザル場合又ハ逃亡シ若ハ逃亡スル虞アル場合ニ於テ豫防拘禁ノ請求ヲ爲スニ付必要アルトキハ本人ヲ豫防拘禁所ニ仮ニ収容スルコトヲ得但シ已ムコトヲ得ザル事由アル場合ニ於テハ監獄ニ仮ニ収容スルコトヲ妨ゲズ

 前項ノ仮収容ハ本人ノ陳述ヲ聴キタル後ニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ但シ本人陳述ヲ肯ゼズ又ハ逃亡シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ

 第四三條 前條ノ仮収容ノ期間ハ十日トス其ノ期間内ニ豫防拘禁ノ請求ヲ爲サザルトキハ速ニ本人ヲ釈放スベシ

 第四四條 豫防拘禁ノ請求アリタルトキハ裁判所ハ本人ノ陳述ヲ聴キ決定ヲ爲スベシ此ノ場合ニ於テハ裁判所ハ本人ニ出頭ヲ命ズルコトヲ得

 本人陳述ヲ肯ゼズ又ハ逃亡シタルトキハ陳述ヲ聴カズシテ決定ヲ爲スコトヲ得

 刑ノ執行終了前豫防拘禁ノ請求アリタルトキハ裁判所ハ刑ノ執行終了後ト雖モ豫防拘禁ニ付スル旨ノ決定ヲ爲スコトヲ得

 第四五條 裁判所ハ事實ノ取調ヲ爲スニ付必要アル場合ニ於テハ参考人ニ出頭ヲ命ジ事實ノ陳述又ハ鑑定ヲ爲サシムルコトヲ得

 裁判所ハ公務所ニ照会シテ必要ナル事項ノ報告ヲ求ムルコトヲ得

 第四六條 檢事ハ裁判所ガ本人ヲシテ陳述ヲ爲サシメ又ハ参考人ヲシテ事實ノ陳述若ハ鑑定ヲ爲サシムル場合ニ立会ヒ意見ヲ開陳スルコトヲ得

 第四七條 本人ノ属スル家ノ戸主、配偶者又ハ四親等内ノ血族若ハ三親等内ノ姻族ハ裁判所ノ許可ヲ受ケ輔佐人ト爲ルコトヲ得

 輔佐人ハ裁判所ガ本人ヲシテ陳述ヲ爲サシメ若ハ参考人ヲシテ事實ノ陳述若ハ鑑定ヲ爲サシムル場合ニ立会ヒ意見ヲ開陳シ又ハ参考ト爲ルベキ資料ヲ提出スルコトヲ得

 第四八條 左ノ場合ニ於テハ裁判所ハ本人ヲ勾引スルコトヲ得

一 本人定リタル住居ヲ有セザルトキ

二 本人逃亡シタルトキ又ハ逃亡スル虞アルトキ

三 本人正当ノ理由ナクシテ第四十四條第一項ノ出頭命令ニ應ゼザルトキ

第四九條 前條第一号又ハ第二号ニ規定スル事由アルトキハ裁判所ハ本人ヲ豫防拘禁所ニ仮ニ収容スルコトヲ得但シ已ムコトヲ得ザル事由アル場合ニ於テハ監獄ニ仮ニ収容スルコトヲ妨ゲズ

 本人監獄ニアルトキハ前項ノ事由ナシト雖モ之ヲ仮ニ収容スルコトヲ得

 第四十二條第二項ノ規程ハ第一項ノ場合ニ付之ヲ準用ス

 第五十條 別段ノ規程アル場合ヲ除ク外刑事訴訟法中決定ニ関スル規程ハ第四十四條ノ決定ニ、即時抗告ニ関スル規程ハ前條ノ即時抗告ニ付之ヲ準用ス

 第五一條 豫防拘禁ニ付セザル旨ノ決定ニ対シテハ檢事ハ即時抗告ヲ爲スコトヲ得

 豫防拘禁ニ付スル旨ノ決定ニ対シテハ本人及輔佐人ハ即時抗告ヲ爲スコトヲ得

 第五二條 別段ノ規程アル場合ヲ除ク外刑事訴訟法中決定ニ関スル規定ハ第四十四條ノ決定ニ、即時抗告ニ関スル規定ハ前條ノ即時抗告ニ付之ヲ準用ス

 第五三條 豫防拘禁ニ付セラレタル者ハ豫防拘禁所ニ之ヲ収容シ改悛セシムル爲必要ナル處置ヲ爲スベシ

 豫防拘禁所ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

 第五四條 豫防拘禁ニ付セラレタル者ハ法令ノ範囲内ニ於テ他人ト接見シ又ハ信書其ノ他ノ物ノ授受ヲ爲スコトヲ得

 豫防拘禁ニ付セラレタル者ニ対シテハ信書其ノ他ノ物ノ檢閲、差押若ハ没収ヲ爲シ又ハ保安若ハ懲戒ノ爲必要ナル處置ヲ爲スコトヲ得仮ニ収容セラレタル者及本章ノ規定ニ依リ拘引状ノ執行ヲ受ケ留置セラレタル者ニ付亦同ジ

 第五五條 豫防拘禁ノ期間ハ二年トス特ニ継続ノ必要アル場合ニ於テハ裁判所ハ決定ヲ以テ之ヲ更新スルコトヲ得

 豫防拘禁ノ期間満了前更新ノ請求アリタルトキハ裁判所ハ期間満了後ト雖モ更新ノ決定ヲ爲スコトヲ得

 更新ノ決定ハ豫防拘禁ノ期間満了後確定シタルトキト雖モ之ヲ期間満了ノ時確定シタルモノト看做ス

 第四十條、第四十一條及第四十四條乃至第五十二條ノ規定ハ更新ノ場合ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テ第四十九條第二項中監獄トアルハ豫防拘禁所トス

 第五六條 豫防拘禁ノ期間ハ決定確定ノ日ヨリ起算ス

 拘禁セラレザル日数又ハ刑ノ執行ノタメ拘禁セラレタル日数ハ決定確定後ト雖モ前項ノ期間ニ算入セズ

 第五七條 決定確定ノ際本人受刑者ナルトキハ豫防拘禁ハ刑ノ執行終了後之ヲ執行ス

 監獄ニ在ル本人ニ対シ豫防拘禁ヲ執行セントスル場合ニ於テ移送ノ準備其ノ他ノ事由ノ爲特ニ必要アルトキハ一時拘禁ヲ継続スルコトヲ得

 豫防拘禁ノ執行ハ本人ニ対スル犯罪ノ捜査其ノ他ノ事由ノ爲特ニ必要アルトキハ決定ヲ爲シタル裁判所ノ檢事又ハ本人ノ現在地ヲ管轄スル地方裁判所ノ檢事ノ指揮ニ因リ之ヲ停止スルコトヲ得

 刑事訴訟法第五百三十四條乃至第五百三十六條及第五百四十四條乃至第五百五十二條ノ規定ハ豫防拘禁ノ執行ニ付之ヲ準用ス

 第五八條 豫防拘禁ニ付セラレタル者収容後其ノ必要ナキニ至リタルトキハ第五十五條ニ規定スル期間満了前ト雖モ行政官庁ノ處分ヲ以テ之ヲ退所セシムベシ

 第四十條第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス

 第五九條 豫防拘禁ノ執行ヲ爲サザルコト二年ニ及ビタルトキハ決定ヲ爲シタル裁判所ノ檢事又ハ本人ノ現在地ヲ管轄スル地方裁判所ノ檢事ハ事情ニ因リ其ノ執行ヲ免除スルコトヲ得

 第四十條第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス

 第六十條 天變事變ニ際シ豫防拘禁所内ニ於テ避難ノ手段ナシト認ムルトキハ収容セラレタル者ヲ他所ニ護送スベシ若シ護送スルノ暇ナキトキハ一時的ニ之ヲ解放スルコトヲ得

 解放セラレタル者ハ解放後二十四時間内ニ豫防拘禁所又ハ警察官署ニ出頭スベシ

 第六一條 本章ノ規定ニ依リ豫防拘禁所若ハ監獄ニ収容セラレタル者又ハ拘引状若ハ逮捕状ヲ執行セラレタル者逃走シタルトキハ一年以下ノ懲役ニ處ス

 前條第一項ノ規定ニ依リ解散セラレタル者同條第二項ノ規定ニ違反シタルトキ亦前項ニ同ジ

 第六二條 収容設備若ハ械具ヲ損壊シ、暴行若ハ脅迫ヲ爲シ又ハ二人以上通謀シテ前條第一項ノ罪ヲ犯シタル者ハ三月以上五年以下ノ懲役ニ處ス

 第六三條 前二條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

 第六四條 本法ニ規定スルモノノ外豫防拘禁ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

 第六五條 朝鮮ニ在リテハ豫防拘禁ニ関シ地方裁判所ノ爲スベキ決定ハ地方法院ノ合議部ニ於テ之ヲ爲ス

 朝鮮ニ在リテハ本章中地方裁判所ノ檢事トアルハ地方法院ノ檢事、思想犯保護観察法トアルハ朝鮮思想犯保護観察令、刑事訴訟法トアルハ朝鮮刑事令ニ於テ依ルコトヲ定メタル刑事訴訟法トス」



*ーーーーーーーーーー*



ここからはi/oによる現代語訳をさせていただきます。



*ーーーーーーーーーー*



現代語訳バージョン(当時は〇〇罪みたいなものがなかったのでカッコ内にてi/oがわかりやすくするために付け加えたものです。)




「第一章 罪

第一条(国体変革を目的とした結社とその団員に対する罪)

国体を変革することを目的として結社を組織した者、又は結社の役員その他指導者たる任務に従事した者は死刑又は無期もしくは七年以上の懲役に処する。事情を知ったうえで結社に加入した者、又は結社の目的遂行の為にする行為をした者は三年以上の有期懲役に処する。


第二条(前条の支援組織を結社し又は指導、従事、参加する罪)

 前条の結社を支援することを目的として結社を組織した者、又は結社の役員その他指導者たる任務に従事した者は死刑又は無期もしくは五年以上の懲役に処する。事情を知ったうえで結社に加入した者、又は結社の目的遂行の為にする行為をした者は二年以上の有期懲役に処する。


第三条(第一条の組織を準備する罪)

 第一条の結社の組織を準備することを目的として結社を組織した者、又は結社の役員その他指導者たる任務に従事した者は死刑又は無期もしくは五年以上の懲役に処する。事情を知った上で結社に加入した者、又は結社の目的遂行の為にする行為をした者は二年以上の有期懲役に処する。


第四条(第三条のための集団の結成、指導、参加者として関わった罪)

 前三条の目的のために集団を結成した者、又は集団を指導した者は無期又は三年以上の懲役に処する。前三条の目的を以て集団に参加した者、又は集団に関し前三条の目的遂行の為にする行為をした者は一年以上の有期懲役に処する。


第五条(一条から三条までの行為を協議または扇動する罪)

 第一条から第三条までの目的のために、その目的たる事項の敢行に関し協議もしくは煽動をなし、又はその目的たる事項を宣伝しその他その目的遂行の為にする行為をなしたる者は一年以上十年以下の懲役に処する。


第六条(第一条から第三条までの暴動に関する罪)

 第一条から第三条までの目的のために騒乱、暴行その他生命、身体又は財産に危害を加える犯罪を煽動した者は二年以上の有期懲役に処する。


第七條(皇室の冒涜に関する罪) 

 国体を否定し、又は神宮もしくは皇室の尊厳を冒涜する事項を流布することを目的として結社を組織したる者又は結社の役員その他指導者たる任務に従事した者は無期又は四年以上の懲役に処する。事情を知ったうえで結社に加入した者、又は結社の目的遂行のためにする行為をした者は一年以上の有期懲役に処する。


第八条(前条のために結社をし又はそれの指導、参加する罪)

 前条の目的を以て集団を結成したる者又は集団を指導したる者は無期又は三年以上の懲役に処する。前条の目的を以て集団に参加したる者又は集団に関し前三条の目的遂行の為にする行為をした者は一年以上の有期懲役に処する。


第九条(一条から八条までの犯行を目的とした組織から金品等を貰い受ける罪) 

 前八条の罪を犯すことを目的として金品その他の財産上の利益を供与し又はその申込もしくは約束をした者は十年以下の懲役に処する。事情を知ったうえで供与を受け又はその要求もしくは約束をした者は同じ刑に処する。


第十条(私有財産制度否定の組織を結社した者、加入した者の罪)

 私有財産制度を否認することを目的として結社を組織したる者又は事情を知ったうえで結社に加入したる者もしくは結社の目的遂行の為にする行為をした者は十年以下の懲役又は禁錮に処する。


第十一条(前条の協議、敢行の扇動についての罪)

 前条の目的のためにその目的たる事項の敢行に関し協議をなし、又はその目的たる事項の敢行を煽動した者は七年以下の懲役又は禁錮に処する。


第十二条(前十条の暴動に関する罪)

 第十条の目的のために騒乱、暴行その他生命、身体又は財産に危害を加える犯罪を煽動した者は二年以上の有期懲役に処する


第十三条(十条から十二条までの犯行を目的とした組織から金品等を貰い受ける罪)

 前三条の罪を犯すことを目的として金品その他の財産上の利益を供与し、又はその申込もしくは約束をした者は五年以下の懲役又は禁錮に処する。事情を知ったうえで供与を受け又はその要求もしくは約束をした者は同じ刑に処する。


第十四条 第一条から第四条、第七条、第八条及び第十条の未遂罪はこれを罰する。


第十五条 本章の罪を犯した者が自首をしたときは、その刑を軽減又は免除する。


第十六条 本章の規定は誰かを問わず本法施行地外において罪を犯したる者にまたこれを適用する。」


*ーーーーーーーーーー*






ちょっと解説、昭和三年からなんの罪が追加されたのか……。解説させていただきます。


 第一条の刑罰が「結社した者は死刑、無期、五年以上の懲役又は禁錮。事情を知ったうえで加入した者は二年以上の懲役又は禁錮」だったのに対して昭和十六年の改正によって、


「結社した者は死刑、無期、七年以上の懲役、事情を知って参加したものは三年以上の有期懲役」といった感じで禁固刑が削除され厳罰化されました。


 又、国体転覆を目的とした刑罰の適用範囲が大幅に拡大されていました。国体転覆を謀る組織に対する支援組織、準備組織の処罰が追加。

 扇動、暴動に関する罪も厳格化。


 私有財産制否定、共産化を目的とした結社は刑罰が変わることなく十年以下の懲役と据え置かれました。


 改正によって新たに皇室に対する罪も追加され国体転覆と天皇に対する冒涜は同一視されました。昭和十六年の改正(現代から見れば改悪)によって、政権に対する批判は国体転覆の扇動とみなされるようになり報道の自由や言論の自由が封殺されていきました。政権に対する批判は政権を支配する軍部に対する批判、その軍部を批判することはその軍を統帥する天皇に対する批判であり冒涜と拡大されていきました。


 実際に死刑は適用されることはなかったとはいえ多くの文化人や政治家が投獄されました。そして特別高等警察による極めて非人道的で苛烈な拷問によって自白を迫られ命を落としたものがいます。


 GHQの命令によりポツダム宣言違反とみなされた「治安維持法」は昭和二十年に撤廃されましたが、現在でも国に対して治安維持法の被害者たちによる救済を求める声があります。


 2026年現在、政府の見解としては当時の憲政下では合法だったという見解を出しています。






 当時の憲法下で治安維持法が合法だったからと言って、それは許されるのだろうか。そうであれば問題が特高警察に合ったのだとしても、不当な拷問で亡くなった彼らに対する行為も正当化されてしまう。秘密警察の存在を容認した治安警察法とともに問題視されて然るべきだ。

 もし憲法が合法だからと許したのであったとしても、反省はしなければならないしその誠意は見せなくてはならないだろうか。


 忘れてはならない負の法の歴史。ドイツにかつて存在した全権委任法とは違った歴史に名を残す悪法。

 その被害の実態を知るものは戦争経験者の数と同じく減少している。法の支配が、民主主義を破壊した忘れてはならない歴史。


 日本で独裁者が生まれなかったのにこういう法律ができた事実は、民主主義が民衆によって守る大切さを現代に伝えている。

ちなみに、この内閣の陸軍大臣は東条英機元内閣総理大臣でした。

全部書こうとしたら心が折れたので、詳しく現代語訳したい場合、原文をチャッピーに転載してください。

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