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法と政治の無知な批判者に告ぐ  作者: i/o


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十九言目 今更シリーズ、日本国憲法第三章(国民の権利第三十条まで)

僕が解説したいところだけ解説するので疑問があれば僕なりの解釈でお答えいたします。

k 本当は解説する気はなかったけどここを語らずして日本国憲法は語れないことからこの章の解説はしたいがこの章はだいぶ長いため一旦、日常生活と縁の深い憲法十条から三十条までを解説したい。ここの部分は「愚痴 日本国憲法が国民に課す義務」の回と重なる部分が多いから少し簡略的になるかもしれない。そこは承知の上で読んでほしい。


s ニ十個もある条文は結構長く感じますからね。そもそも明治憲法時代は国民の権利とはどんなものだったのでしょうか。


k 鋭いね。そもそも国民の権利はなかったと言ったら驚くかな?


s え!どういう意味ですか。


k 当時の条文では「臣民権利義務」と言う章であって「国民」と言う言い方はされていなかった。なぜならば主権は天皇にのみ存在してわれら国民はその配下と言う感覚だったから(厳密に言ったら違うが紹介はしませんので疑問があればお答えします)「臣民」と言う言い方がされていた。


s 今更ですが明治憲法って結構支配的ですよね。憲法が権力の暴走を抑えるという意味ではあまり機能しきらなかった気が……


k また後の機会で解説したいけど明治憲法前文には「朕カ在廷ノ大臣ハ朕カ為ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ責ニ任スヘク朕カ現在及将来ノ臣民ハ此ノ憲法ニ対シ永遠ニ従順ノ義務ヲ負フヘシ」と言う規定がある。(告文、憲法発布勅語含めたらとんでもない長さになるため別解説)


s ワカラナイデスッテバ。


k 文語体だから分かりづらいよね。簡単に言ってしまえば「現在及び将来の臣民は憲法に対し永遠に従順の義務を負わなければならない。」と言う意味。明治憲法は国民を縛るものであった。まあ、権力の暴走を許したとはいえ、天皇自体の独裁を許さなかったのは明治憲法の良心だったのかもしれない。話は変わるけど憲法は基本的人権の尊重を決して失わせないために僕らが努力する義務はある。そんなことも含めてここからは解説していきたい。


「第十条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

② 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

③ 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

② 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

第二十三条 学問の自由は、これを保障する。

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

② 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

② 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

③ 児童は、これを酷使してはならない。

第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。

② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」


 ものすごく長いでしょ。これだけでも自己都合だけど省略している。これが僕らに与えられた権利と果たすべき義務だ。その内、義務はどこにあるかな?


s 十二条、二十六条、二十七条、三十条ですか?


k 半分正解。本当に十二条は特殊な位置にあるから別として二十六条・二十七条・三十条に保護する子女に対する教育を受けさせる義務、勤労の義務、納税の義務がある。このうち、義務しか書かれていないのは「三十条」しかない。教育を受けさせる義務や勤労の義務は権利としての側面もある。


s それを見るとここまで多くの権利があるのに義務はほとんどないのですね。そう言えば教育の義務は一体誰に課されているのですか?


k 保護者だ。何故これが憲法にあるかと言えば、昔は子どもは貴重な労働力だったから権利だけだと「学校に通わせるぐらいなら働け」という家庭が出てくるためだった。ちなみに教育に関しては日清戦争の賠償金を使い義務教育の無償化を達成した部分がある。戦争は美化されてはならないが、子どもの教育のためにお金を使ったその精神はまた忘れてはならない。


s 納税は……まあ、当然ですよね。


k ここで解説したいのは、納税がどこまで許されるかということだ。愚痴の回では語り切れなかった部分もあるからこの機会に解説したい。


「第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」


 この条文は、公務員が守るべき義務となっている(日本国憲法の順守義務は天皇、国務大臣、その他公務員等の権力者側が守るものの為)。となると納税は法律で定めて国民に課させなければならないが当然、税自体はいくらでも課すことができる。これだけだと暴走を許すから多くの条項がそれを縛っている。


「第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」


 この条文に矛盾するもの、例えば「〇〇出身県の人にだけこの税金を課す」と言うのは門地の差別となるため許されない(地方特別法のような例外は考えないものとして)。十三条にある生命、自由を脅かすレベルの重税は当然禁止。このように納税に関しても憲法の内容が互いに権力の暴走を許さぬように牽制しあって均衡を保っている。


s そこまで税金は自由ではないのが憲法と言う概念を表している気がしますね。それでいて明治憲法とは違い「法律の範囲内において」と言う文言は全て削除されていますね。そうなると権利同士の衝突はどうなるのですか?


k 「公共の福祉」と言う文言で制限している。この文言だけで泊めているのはやはり戦前にあった治安維持法・国家総動員法・国防保安法・国民優生法(旧優生保護法)・言論、出版、集会、結社等臨時取締法などによって「法律の範囲内」と言う解釈上、ほぼ国民の権利が体をなさない歴史を持っているからだ。意外と知らない法律が多分出てきたと思うけど今度調べてみてほしい。明治憲法はこれらの人権を著しく制限する法律を認めていた。法律で定めさえすればなんでも制限できたから。


s さっき連ねられていた法律はどれも現在であれば人権侵害どころの話ではないほどにひどいですよね。治安維持法に至っては疑いだけで拷問を喰らって死人すら出ていましたから。


k あまり本文自体の解説はできなかったけど日本国憲法が与えている権利と権力を縛る力はやはり、


「国民の不断の努力」


 によってしか受けつがせることはできない。この条文にあるものは今となってはもはやなんでわざわざこんな当たり前のことを書いてあるのかと言うほどに多くの人が享受している。でも、学び直さなければ受け継がれることはない。




 人権。これは、日本では八十年ほど前にできた新しい概念。何千年と続いた権力による支配からの脱却を目指してできたこの条文は、まだ新しすぎる。だから、僕らが守っていきたい。新しくとも認められる権利は必ずあるし、人間と言う運命を背負った僕らに与えられる至高の「力」なのだから。

 解説と言っても持論を述べただけと言われて反論できるものではないのでそこはどうかお許しください。

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