十七言目 今更シリーズ、日本国憲法第一章の解説
続きだしたくなったので書かせてください……。
s 前回、後書きで憲法の解説勘弁してくれとかほざいていませんでしたか?
k マジで申し訳ございません。書きたいという衝動がどうしても消えないのです……
s ならもっとその闘志を早く見せてくれ!混乱するんだよ!
k その点は本当に申し訳ない。しかし、何かシリーズ化してみたいと思い至ったこの闘志は決して消えない!
s (自分語りの間違いでは……)
k そんな感じでシリーズの第二回となる憲法第一章について解説したい!
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k まず、憲法第一条はどんな内容か覚えているか?
s 確か「天皇は象徴」と言うものだったと思います。
k その通り。「第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」という条文から始まる。
s そもそも何で日本国憲法は天皇から始まるのですか?
k 大日本帝国憲法時代の名残だ。形式上とはいえ大日本帝国憲法を改憲したのが日本国憲法(大日本帝国の滅亡によるもの)と言える。大日本帝国憲法(以下明治憲法と呼ぶ)は天皇主権をもとにした国家体制を作りたかったがために天皇と言う存在を第一章に書き連ねた。というか重要なものから書き連ねるのが法律というものだから当然と言えば当然か。
s だとすると天皇制は日本にとっての影響は凄まじいものになるのですね。
k 日本誕生のきっかけの存在でもあるから当たり前に感じる。それにしても天皇制というものはなぜ日本にとって戦前から戦後にかけて支持される存在なのか。戦後では天皇制に対して批判派や世襲制に対する批判(皇位継承は国会による指名とする案も相当数支持されていた)があった。それを踏まえてこれは興味深いものだと思う。
天皇制、これは本来常に支配者としての存在であってここまで国民に近いものではなかったんだ。
s どういうことですか?天皇は一般人と会いに巡業はしなかったのですか?
k そんな罰当たりなことは許されないよ。天皇は神同然。その存在を見ること自体相当な不敬とされていた。昭和天皇がアメリカ訪問の際、ボディーガードから体に覆いかぶさって銃弾から守ると言った際はそんな不敬な真似ができるかと反発したという記録もある。戦後とは言えその名残は消え切らないほどに。
その価値観を変えようと戦前から明治政府は外国の王室の雰囲気を取り込み天皇陛下も国民のためになることを懸命になされた。
だいぶ話は逸れているけど、現代において天皇はそういう存在から常に変化を求められるようになった。一番苦労されたのは間違いなく昭和天皇。象徴天皇制で生きた初めての天皇。
すなわち、政治に決して関わることがない天皇制の時代の始まりでもあったんだ。
s 天皇制とはそれを思うと激動の時代を歩んでこられたのですね。国政に関する権限を持っていないのは形式上以外で存在しないのは何故ですか……って軍部の暴走ですっけ。
k そういうことだ。天皇に権限が集中しすぎていたのもあって軍部は天皇の存在を徹底的に利用し、暴走を招いた。軍に反発することは天皇に対する敵対視そのもの。天皇家の伝統というものが利用されたが故の暴走だった。二二六事件で天皇が軍に対して反乱軍を直接しばくことを命令したのが大きいと聞く。天皇の命令(勅令)の重大性と正当性が垣間見える大事件の一つだ。こういうこともあって天皇は政治に決して関わらせないという決意を日本国憲法に刻みつけたんだ。旧華族ですら現代において相当な影響を持つことがあるこの社会で天皇を政治に関わらせたらどんなことになるかは想像できてほしい。天皇自体が悪くなくとも利用する勢力は必ずいるから。
s 国政に関する権限を持たないというのはそういうことですか。じゃあ、何で天皇と言う存在はまだあるのでしょうか。
k 簡単な話だよ。天皇と言う存在は日本人の心の拠り所だったから。戦争責任を追及されなかったとはいえ普通だったら国家元首という立場上必ず責任は取らねばなるまい。絶対に許されないんだよ。負けると分かっていた戦争に突っ込む決断を許した事実は。それでも、僕らは天皇と言う存在が心の拠り所であり続けた。それが全てなんだよ。
天皇を支持する理由は何だって良い。それが日本人を統合する象徴なのだから。何があっても天皇と言う存在を僕らは認めた。軍部の暴走であって天皇が大罪とは思わないでいてくれたから。これが日本という国家体が天皇と言う王族(皇族)を認めている全てだと言えると感じる。
天皇は僕らに寄り添って災害があったときには我が身もいとわず真っ先に駆けつけ国民の心配をしてくれる。そんな存在に僕らはケチをつけようと思うことがなかった。それが日本国民の総意となっていたんだ。
s 確かに、占領政策で日本を弱くするためにいろいろやったとか言っていますけど本当にそうしたかったなら天皇を処刑していてもおかしくありませんよね。戦後すぐはオーストラリアとかは天皇の処刑に対しての賛成が凄まじいものだったと聞きますし。日本人の心を完全に叩き折るのであればそこまでしていたのでは……
k 言い方が悪いけど生きて利用した方がいいと思ったのが占領国側の思惑。
でもそれは天皇の仏じみた人格があったからで、傲慢な性格であれば結果は違った。皮肉かな。伝統が天皇制と言う存在を守った一因と言うのは。軍部の暴走を許した元凶でもあるのに日本国民は天皇制を許した。凄いと思うんだ。この系譜というものは……
s …………話がだいぶそれてしまいましたね。天皇に関する権限は国事行為とされていて宗教的なものは私的行為とされて別物なんですよね。別にしているのは分かりますが御璽を押して効力を出させるというのは結構政治的ですよね。
k だからこそ憲法には国事行為が定められている。天皇は憲法を守る義務を負うからこそ、天皇に関する事項は結構細かく書いてある。「第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。」という十項目に限定されている。国事行為は一応政治的な力を持っているけど内閣の助言と承認がなければ何もできないため結果的に政治的能力を持たないと解釈されている。
寄り道だけど、七条解散とか言われている衆議院解散。これは本来文章だけ読んでしまえば天皇が衆議院の解散を行うため内閣が承認するものになるが。実際は承認させるという立場だから総理による解散権の乱発になるとして野党は解散権の規制を求めていたりするよ。
s 一番最後になりますが「第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。」と書いてあるのは何故ですか?
k キミ、王様からもらったお金と上司からもらったお金。どっちが価値ありそう?
s ……王様ですよね。意味が分かりましたよ。
k 言った通りだけど天皇家の影響力は凄まじいから財産に関するものは国会がいいかどうかを決める。後天皇は国会の歳入の一部が収入だ。国民の財産は国会、すなわち国民が監視するという役割がある。
s ここまで聞くとだいぶ分かった気にはなりますね。基礎の基礎だけ。
k 詳しい部分は歴史総合とか勉強すればいいと思うけど学んでおいて損はない知識ではある。日本人として学んでおけとかそういうことは言いたくないけど。
s 権力者を縛るのが憲法の役目。それにしてもがんじがらめ過ぎな気はしますけどね。
k しょうがない……とは言えないほど過酷。休みの日って普通の社会人より結構少ないよ。毎回海外訪問や法令の認証。大使との挨拶や栄典の授与とかでとんでもない忙しさを誇るからね。
s 今更ですけど相当過酷な職ですね。
k 本当にね。今国会では旧宮家の男系男子を養子にする案があるけど相当申し訳ない気がする。何で自由に生きていたのに縛られるのか。皇族の宿命とはいえ酷いと思う。逆に女性皇族の結婚後の皇族に残る案は賛成だよ。まあ、皇族を離れたいというのであればそれを優先すべきだとは思うけど。
s 女性天皇はなんで認められないのでしょうか。
k 女系天皇ができる恐れがあるからだ。男性のみが持つY染色体が千年続いている事実は本当に凄いし残すべきとは思う。でも何で女性天皇は認めないのかは分からない。
s 何故でしょうか。女性天皇になって国事行為に対する支障は思い浮かびませんし国民が女性だから天皇は嫌だとか言う人はいないと思います。一体何が悪いのでしょうか。
そもそも、今回の皇室の持続的な存続を考えている会議で何故その案は出ないのでしょうか。女性も皇位継承権があると認めたうえで国民がどっちを天皇にするか考えてもいいはずです。他にも女性天皇を成立させたうえで男性皇族の摂政をつけるということもできるはずです。何でかたくなにここまで女性天皇を認めないのでしょうか……伝統とはいえ、これは本当に日本が世界に対して誇れるものなのでしょうか……
k 僕個人の答えとして言いたいことがある。国民が決められるよ。どうあるべきかは。
だって天皇制は「主権の存する日本国民の総意に基く」のだから。
結構シビアで時事よりです。僕自身としては女性天皇は認める出来と思います。もう、女性天皇を認めたからと言って誰も文句は言わないでしょ。女性だから信じない。それこそ、国賊と感じて他ならない。天皇という職は歴史的に見て女性天皇がつなぎとしての役割とはいえ存在している。たとえつなぎの存在だとしてもミライへつなぐバトンを繋いだその事実を見逃すべきではないはずだ。
ちなみに女系に関してはあまり言いたくない。本当に揉めるから。僕は認めてもいいと思うけど(即矛盾)




