十六言目 今更過ぎるけど日本国憲法前文の解説
衆議院のサイトにものすごく詳しい日本国憲法前文の資料があるためそっちの方が信ぴょう性があることに留意して、この個人の思想が入っている解説を読んでください。
k 最近何かが足りないと感じていた。何かが、だ。そしてそれに今やっと気が付いた。そう!「憲法の解説」DA!
s タイトルが「法と政治の無知な批判者に告ぐ」なのに遅すぎやしませんか。タイトル回収がマッチポンプ(自分が無知だった)過ぎる……。なにがともあれやっとここにたどり着いたわけですね。
k 実はこの時のためにためておいたのさ。
s 嘘つけ絶対忘れていたやろ。
k 茶番はここまでにしておこう。しかし、憲法ともなると解説するのは非常に面倒くさい。できればやりたくないとは思うがこのタイトルからの目線がとても痛いし、何よりみんなに憲法が身近だということを知ってほしいから解説する。結構細かく分けていくからよろしく!
s 忘れていたくせに随分ウキウキですね。
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k まずは憲法前文だ。この部分は憲法の一部をなすと言われているからこの文言を変えるのにも憲法改正の手続きが必要と言われているよ。その上でどうぞご覧ください。
「 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」
s 今更ですけどものすごく長いですね。四段落くらいあるということはそれぞれ目的があるのですか?と言うか憲法の存在意義がここに込められているのですか?
k 鋭いね。そもそも憲法とは国家権力の暴走により多くの民衆が苦しめられてきたことから始まる。一人の君主が何でも命令できることが二度とないようにするためにこの「憲法」という概念ができた。そもそも昔は法律自体、王が法律に正当性を持たせるために書いているというのもあって法の支配と言うにはほど遠い世界だった。近代日本も同じだった。大日本帝国憲法によって権力の暴走を抑えようとしたが軍部がいいように使って権力の暴走を招いた。
s 軍部の暴走とはいえ、政府と言う形であってナチスドイツのような独裁者は現れませんでしたね。それを思うと衆議院がその暴走を止められなかったという意味では当時の衆議院にも問題があると言えますね。
k 軍部はそういう意味では君主と変わらないものだった。その上でこの憲法はその暴走を二度と起こさないためにも多くの条項で権力者を縛る目的がある。
憲法の三原則として「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義」が掲げられている。それでもさっきs君が言ったように大日本帝国憲法時代の衆議院は止められなかった。そしてその衆議院を選んだのは誰か。「国民」だ。当時選挙権及び被選挙権を有するのは男性だけとはいえ戦争に足を突っ込んだのは全員ではないとはしても(一億総懺悔とは言わずとも)国民なのだから反省しなければならない。話が随分それてしまったね。ここからは憲法前文の解説をしよう。まあ、見ての通りだけど。
s kさんもだいぶ大雑把ですね。それはおいておいて、この一段落目の、
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」についてはどういう意味ですか。
k 簡単に言ってしまえば「日本国民(ここでは主権者を指すため天皇は入らない)は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動する。僕らとその子孫のために全員で協力した成果と、日本全土に対する自由がもたらす幸せを確保する。政府の行為によつて再び戦争による悲劇が起ることのないようにすることを決意し、国民に主権があることを宣言し、この憲法を確定する。と言うか、政治というものは国民が真剣に考えて(政府に)信託したものだから、その権威は僕ら国民に由来し、その権力は国民の代表者が権力を行使し、その福利は僕らが享受する。これは人間全員に言えることであってこの憲法はそれの原理に基くものだ。僕らはこれに反する一切の憲法、法律、政令及び詔勅を排除する。」
と言う感じ。ものすごくフラットに書いてあるから詳細を求めると少し違う部分が出ると思う。そこはどうかお許しを。
s それは閲覧者に言ってくれ。それを見て思ったけど天皇は「国民」には入らないのか。選挙権もないのか。
k もし選挙権があると誰に投票したか分からなくとも天皇がこの人に投票した可能性があるというのもあってその権力者(例えば国会議員)に箔が付く。そうなるとその権力者の権力が均衡が崩れるほどに大きくなってしまい暴走する恐れもあるのもあって投票はできない。そもそも、儀礼であったとしても天皇は法律を認める側なんだから法律を認めさせてもらう側との権限を混ぜてはいけない(法律は天皇の出す国璽によって効力を有する。もちろん天皇が勝手に決められるわけもなく、内閣が助言と承認によって国璽を出させる)。だから日本国憲法の定める天皇は基本的人権が制限されるのだ。
s そうなると天皇制自体、天皇自身にとってあまり好ましく思えないが……でも被災地に駆けつけてくれると本当に頼もしいから天皇は国民のよりどころとは感じますね。
k 別に、国民は天皇制についていつでも廃止できるとされる。なぜならば天皇制は国民の総意によって成り立つからだ。もちろん今すぐ廃止しろと言う人間はごくわずかだしここまで紡いできた伝統を捨てるのはあまりにも惜しいから僕はそう言うつもりは一切ないけど。まあ、シビアな問題だから切り込むのは難しいが、天皇制は国民が存続してほしい、という願いが残ったから憲法にその旨が書いてある、憲法一条の話になってしまったけどそこは知っておいてほしい。
s その続きも口語訳してくださいよ!
k やってやろうじゃないか。二段落目だ。「日本国民は、永遠の平和を願い、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、僕らの安全と生存を保持しようと決意した。僕らは、平和を維持し、支配者だけによる政治とそれによる支配、圧迫と偏狭(狭い考えの事)を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。僕らは世界中の人たちが、平等に恐怖と欠乏(足りない事)を受けることがない、平和のうちに生存する権利(平和的生存権)があることを確認する。」
s こっちはさっきと違って反省と言うよりかはこれからの理想を語っているように感じますね。
k 政治は理想を掲げてなんぼだから現実しか見ない政治に意味はない。理想と現実を折衷できるようにしたいし、その中でも日本という国はその先陣を切って反映しようという意思が込められている。そして大日本帝国憲法時代にあった「治安維持法」「国家総動員法」そのほかに「防空法」(空襲が来ても逃げてはならず、空襲による火災の鎮火を最優先にするようにしていたため逃げ道を奪われた多くの国民が犠牲になった原因ともいわれている)のように圧政やそれによる弾圧をこの世界から無くすという願いと目標を掲げている。
s 最後の文はどんなものなのですか?
k 最後の前文を見てみよう。口語訳だ。「僕らは、どんな国家も、自分の国のことだけに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、全てに通じることであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信じる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。」
s これを見ると日本だけに言っているわけではないように思いますね。
k アメリカファーストを掲げているアメリカの某大統領に一番言いつけたいよね。そもそも何で自国の事のみに専念してはならないと思う?
s 第二次世界大戦が起きた原因が自国最優先主義だからですか?
k 正解だ。多分、日本の満州事変の事を指しているかもしれないけど、欧米列強の行ったブロック経済により日本やドイツ含めた枢軸国が戦争を行うに至った原因も含めて自国第一主義だと思う。もちろん戦争を仕掛けた側も自国最優先にしたせいで占領地で多くの民間人を不当な支配下に置いた。ナチスドイツのホロコーストとかが代表的で自国最優先の結果が他国への侵攻とその地域のユダヤ人に対する惨劇だ。日本も東南アジアの欧米列強からの独立の一因になったとはいえ奴隷のように現地住民を扱い日本語教育を徹底させその土地の文化を廃れさせようとした。
政治道徳に従うこととは自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信じる。この文章はあの世界大戦によって引き起こされた自国第一主義に対する戒めなんだ。
s それでは最後の一文は一体何なのですか?
k 日本国民は国家の名誉にかけてこの崇高な理念と目的を全力を挙げて達成することを誓う。これは多分「愚痴」の回で話しているけどこれは国民が背負う義務だからね。さっきも言ったように戦争を行う原因は少なからず、不況の打開策と考えた国民にある。当時が相当な苦境であったとしても勝ち目のない戦争に足を突っ込んで地獄を見た。この文章は、例えどんな時でもこの憲法前文で掲げた理想を「現実」という言葉で目をそらしてはならない。
日本国民はこの前文の掲げた理想郷を作るために全力を挙げて闘っていく。どんな障壁も乗り越えていく。そう誓っている。これは憲法が言っているのではない。八十年前、第二次世界大戦と言う地獄という言葉ですら生ぬるい惨劇を体験した平和を願う者たちがもう二度とあの惨劇を後世に渡って経験させないと誓った文章だ。これだけはただのアメリカからの押し付けと言ってはならないものだと思う。
この前文が語るものはみんなが平和に暮らせる社会だ。それを達成するためには。国民が全力を挙げて政治に挑む覚悟を説いている。憲法の進める政治の行く末は国民が決められる、いや、国民一人一人にしかできない固有の権利だ。その権利は、義務でもある。
アメリカから押し付けられたからと言うだけでこの憲法を変えたいというのは確実に間違っているといえよう。大日本帝国憲法時代に許した権力の暴走が現代日本で八十年間起きていない事実を考えたうえで憲法はこれから日本という国とどう歩んでいくべきか。それが一番大切なはずだ。
憲法は国の理想を示すものだ。憲法を変えるということは日本と言う国がどう進むべきかを変えることに他ならない。一時的な国家の風潮によって憲法は変わってはならない。
その憲法のもとで暮らしていくのはあなたとその子どもたちなのだから。
全文ではなくてすみません、気力が持ちませんでした。前文だけでご勘弁を……




