十四言目 議員定数と議員の給与
選挙がない今だからこそ。
s 最近、議員の裏金問題がひどいですよね。もう一年くらい経ちますかね。まだ終わった気配がしないのに何かもう忘れ去られそうで怖いです。
k 僕も怖いよ、こういう政治の汚職は風化させてはならない。昭和疑獄事件、田中金脈問題、リクルート事件、ロッキード事件といった多くの汚職は「政治とカネ」の問題として取り上げられている。決して風化させてはならない歴史であってこれは民主主義の根幹を揺るがしかけた大事件ということを忘れてはならない。それはそれとして何故そもそも国会議員の給与は高給だと思う?
s なんでですかね。給与がいっそのことサラリーマンと同じくらいだったら良いのにと思うこともありますけど。
k 一つ聞いてみると、君がもし警察官で月給8万円としよう。養う家族がいて今の日本の物価で、もし賄賂を渡されたら家族ともども飢えに苦しむことはできるかい?
s 無理ですね、自分だけならまだしも家族を養う身でそれは賄賂受け取るなという方が無茶ですよね。
k そういうことだ。ある程度の給与は保証しないと賄賂が横行する可能性が出てくる。公務員の給与は安定している必要がある。裁判官なんていい例で給与は弾劾裁判にかけられるようなことでもない限り絶対に減給されない。これは司法への行政の干渉を極限まで抑える必要があるからだ。
裁判官に有罪にしなかったら給与を減らすと脅すというのはあってはならないことだからね。国会議員の給与も賄賂をもらっても意味がないくらいの給与をもらいいていれば賄賂を受け取るリスクは相当減る。国会議員の給与が高い理由はそれだけではないんだけどね。
s それ以外に何がありますか。賄賂防止以外に。
k 「第四十九条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。」この規定が憲法に定められている。もし国会でタダで働けと言われたら国会議員になろうと思うかい?
s そういうことですか。確かに給与が保証されていれば国政に参加する気力は出てきますよね。
k そういうことだ。憲法で定められている以上国会議員の給与は高い水準に保たれなければならない。国会議員の給与のことを歳費というけどこれはかつて議員というものは無償で働くべきという概念だったのも理由かもしれない。無償だと議員という職業柄、兼業・副業は困難を極める。だからこそ国庫から相当の給与を貰えるんだ。民間からもらうと賄賂になりやすいのも国庫から受け取らなければならないという記述がある理由だろうね。
s それにしても高いですね。裏金問題があるとそれでも不信感はたまりますよ。それは一旦おいておいて最近はそれ以外にも日本◯新の会が連立政権を組む条件として国会議員の議員定数削減を条件にしていましたよね。一見すると歳費を出す量が減って良い気がしますけど何が問題となるのですか?
k ……一票の格差は知っているか?
s いきなり何なんですか。知ってますけど。確か人口が多い地域ではたくさん票を貰わないと当選できないのに人口が少ない地域では少ない票で当選できてしまう問題ですよね。平等投票に反しているという理由で選挙結果を無効と訴えて裁判する報道がよくありますから……あ!
k ということはだよ。一票の格差をなくすためには人口が多いところには多くの議員を配置して少ないところには議員数を削減する必要があるんだ。東京一極集中が激しくなる中、東京に数十人規模で議員定数を用意しないと一票の格差が更に広がる。だからむしろ議員定数は増やさないと一票の格差は広がっていくんだ。歳費が減っても民意が届かなくなるのは相当やばい。議員定数削減は一票の格差が広がりかねない愚策……と感じるのは自分だけかもしれないけど、議員定数を減らすというのは単純に税金が減るというメリット以外にもそういう物があると考えていてほしいかな。議員定数を減らすという条件を当時の過半数割れの自◯党の弱みに付け込む形で押し付けた感じがするからな……議論がなし崩しになる気がするんだ。本当に怖いよね。民主主義の根幹が揺らぎかねない重大な問題を一部の党の利のためだけに、熟議もなされずに議論を進められるのは。
s そう言われると随分と怖いですよね。それにしても国会議員の歳費はなにか不透明感があります。それが裏金が起きた理由でしょうね。
k だいぶ不透明だよね。旧文通費(正式名称は文書通信交通滞在費、現在は調査研究交通滞在費)は2025年8月に例の裏金問題を受けて改正されるまではぶっちゃけ使途(使い方、そのため私費に使っても相当なことがなければ責められることはあまりなかった)を表す必要はなかったから第二の「歳費」と言われていた。一年前までだよ。裏金問題が公になっていなければ今も旧文通費は使途の公示や未使用分の返還義務はなかった。旧文通費は現代の議員からすれば確かに必要不可欠かもしれない。交通費や広報、秘書の雇うためのお金など多くの支出があり国会議員の負担がすごいのも事実。それでもそのお金はあくまで「仕事用」。歳費という「私事」と混同されては意味がない。改正されたとはいえまだ国民による監視は止めてはならない。
s それを思うと風化って恐ろしいですよね。いつの間にか裏金問題を叫んでいる一般市民は少数になってきてしまいました。忘れていってしまうのが人間とはいえ、どうすれば汚職は無くせるのでしょうか。
k はっきり言えば人間だから汚職は消えない。でも、それを闇に葬りさせないのが国民の役目だと思う。憲法にもあるけど「第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」というものがある。汚職はその一部を優遇する極めて重い罪だ。国を支える人間として、それができない人間に対して僕らは選挙で見極める権利がある。議員という公務員を見定める権利を選挙がない今だからこそ自覚してほしい。次の選挙でもしかしたら冷静に見る力がつくかもしれないから。
s ……民主主義には完成形はありませんものね。
民主主義は国民が背負っている。




