十二言目 戦後の憲法は押し付けか、だとしても……
1000PV記念として憲法記念日すぐですので憲法について僕の意見を述べさせていただきます。
s 今年は憲法が施行されてから七十九年なんですか。これで一度も変わっていないのは相当すごいですよね。憲法議論が国会で白熱していますけどその中に日本国憲法はアメリカから押し付けられたものだから変えるべきという意見を聞きます。それは何か正しいような気がして……
k 確かに日本国憲法はGHQが作った草案がほとんどを占めている。これを見るとただの押し付けにしか見えない。まあ、内容が本当に大日本帝国憲法とほとんど変わっていなかったのが原因だけど。
s 何故大幅な変更をしなかったのでしょうか。
k ポツダム宣言で日本政府を解体せず、直接統治とは違う間接統治をすると宣言していたため日本側からしてみればある程度自由がきくと思っていたんだ。それで日本政府としては大正デモクラシーの頃の自由さに戻せばいいだろうと高を括っていたんだ。これが原因かな。天皇大権や天皇の軍の統帥権はほとんど変わっていなかった。今の平和主義や国民主権はない。国民の基本的人権もその案(松本案)では法律で制限できる点が明記されていた。制限を掛けたがゆえに治安維持法や国家総動員法が生まれてしまった反省は生きることがなかった。いきなり内部から変わるのは難しいにしてももう少し変わってほしかったと思うけどね。
s 同じ過ちを繰り返されたらアメリカもたまったものじゃありませんよね。
k ここで断言するが戦争を一切美化するつもりはない。その前提で話をすると日本は第一次世界大戦の戦勝国である事実や日露戦争での勝利。列強と同格という存在が一切反省せず同じことを繰り返す恐怖はアメリカからしても凄まじいものがあったと思う。それもあってこの案が新聞社によってスクープされたときのマッカーサーの感情は怒り心頭だっただろうね。
s そう言えばドイツや朝鮮半島は直接統治されたのに日本はなぜそれを回避できたのでしょうか?
k アメリカ側の思惑としてソ連に統治されて共産化されるのを防ぐ目的があったのと、分割案では日本に極めて懲罰的(日本語の禁止や重い賠償)だったためナチスが生まれたきっかけともなったそれを受け入れるわけにはいかなかったことがあるのだと思う。ちなみに終戦直後はアメリカ側は日本円の使用禁止や英語の公用語化を考えたが、ポツダム宣言の日本政府のある程度の自由(主権)があることを本気で訴えてそれを撤回させたそうで日本もただ受動的に生きていたわけではに事を示す事実だと思う。
s そこから生まれたのがマッカーサー案ということですね。
k ちなみにこの案は明治憲法が起草されたときの他の案に極めて民主的な案(五日市憲法と言われているがその案には問題もあったため参考程度)があり今の日本国憲法にも似ていたと言われていた。それを参考にしたということが囁かれているがそれが本当であればただの押し付けとは言い難いと思う。
マッカーサーは天皇を元首とすること、自衛戦争を含めたすべての戦争を放棄させること、封建制の廃止を命じて多くのGHQ幹部が案作りに励んだ。急がないといけない理由もあったしね。
s 急がないといけない理由って?
k 日本にも不完全ではあるけど主権があるわけで松本案が国会で通ればその変更は困難を極める。ポツダム宣言は三か国の合意で発せられたものである以上、簡単には撤回できはしない。帝国議会に通る前に何としてでもその案を変更させるためにGHQは必死になってマッカーサー三原則をもとに憲法草案を作ったんだ。
s あれ?そういえばマッカーサーは自衛戦争も放棄させるつもりだったのですよね。それであれば何で自衛隊が存在できる余地が残っているのですか?
k 部下がどの国にも自分の国を守る権利はあるという観点から自衛戦争を含めたの徹底放棄をさせることは想定しなかった。だから自衛戦争までもを否定している文章はない。
s この話を聞くと結構余地ができたように感じますね。それでも……自衛戦争は認められない雰囲気がありますね。
k ちなみに芦田修正と言って自衛戦争はできるように芦田均が憲法九条の部分の変更を行った。
「第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
2項ではこの傍点部分を追加した。この修正によって「前項の目的を達成するため」以外の他国に攻撃できる「戦力」には届かない武力の保持であれば認められると解釈することができる。
s 凄い修正ですね。
k この修正について中華民国が軍を持つことが認められかねないとして憲法第六十六条二項「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」という条項を追加させたんだ。これは日本がかつて戦前に軍部が政権を支配したことからそれを防止するために加えられた。これが今も生きているのは本当に凄いと思う。この解釈では戦前に軍で重要な位置にいた者や現役自衛官はなれないという解釈がされている。
s ここまで見ると一概に押し付けられたものではないと感じますね。
k 色々な偶然が重なった結果だと思う。一つ違えば何も変わらないどころかさらに地獄を見るかもしれなかった。日本とアメリカの思惑が交差し続けた結果生まれた平和を願う志が集まったのかもね。
s 押し付けともいえるのは皮肉めいたものを感じます。もし押し付けられていなければ大日本帝国憲法がほとんどそのままで政権批判もできなかったでしょうし、表現の自由もなくてアニメ文化もあまり発達していなくて徴兵制が残ったままで青春は軍生活。想像できません。
k 日本はこの憲法のおかげで今の自由と平和がある。押し付けられたからこそ変わった部分もある。もちろん今の憲法で変えなければならない部分もあるだろう。それでも改憲に反対する人が一定数いるということは今の憲法にこれ以上のものはないと感じている存在の証拠だと思う。憲法は変えられるだからこそ多くの人が本気で真剣に考える必要があると思う。
ただ押し付けられたから変えたいと言うだけの議論は辞めて、変えたら日本はどのような姿になるのかを想像する議論をしたい。
ここまで平和を追い求めた憲法は日本以上のものはない。普通に生きて普通に死ぬ。その幸せを今日もかみしめて憲法の重さを考えたい。夢物語をこの憲法は現実にしたいと本気で常に願っているのだから。
曖昧な部分があります。間違いがあれば誤字報告や感想等で訂正してくださると助かります。
ついに1000PV達成です!皆様の協力のおかげでここまでたどり着くことができました。これからも応援よろしくお願いいたします!




