十言目 憲法と政治と自衛隊
結構センシティブな話題です。あくまで個人の意見ですので公式ホームページや法令などを自分で詳しく確認するようにしてください。
s 最近、自衛隊の憲法明記が話題になっていますよね。国会を二分する話題が相当な速さで進んでいる気がします!
k 国家を二分する話題ならば数年かけて議論するべきじゃないかな?まあ、それは別として今回は自衛隊と憲法の関係を話題にしたい。結構センシティブな話題だけど自衛隊を貶す意図があるわけではなくむしろ日本のために命を張ってくれていることに感謝したうえでこの話をしたいと思う。
s 自衛隊と言えばやはり軍隊か軍ではないのかという憲法第九条問題がありますよね。七十年以上かけて議論されていく中で大きく変わってきましたね。
k その通りだ。最初の内は自衛力の保持すら禁じられているという解釈ではあったが近年は、日本に極めて大きな影響が来て国家存亡の危機のような大ピンチになったときには自衛隊を出すことを認めている。七十年以上たって二極状態(アメリカとソ連)から多極化した世界に移り変わっていく中でこの変化は必然だったのかもしれない。
s 最近、自〇党で自衛隊員が制服を着て国歌斉唱をした問題がありましたよね。そもそも何で日本では自衛隊の政治参加が禁止されているのですか?
k 制限と言っても選挙権はある。それは当然なんだけど被選挙権はない。
s 憲法には差別禁止の規定がありませんでしたか?
k その規定は「人種、信条、性別、社会的身分、門地(出身地)、教育、財産又は収入」によって差別をしてはいけないという規定があるが「職業」の規定はない。これは戦前に軍が政治に大幅な干渉をし軍の同意なしには内閣を作ることができなくなり、戦争へ向かう歯止めが利かなくなった反省からきている。それを考えると自衛隊と言っても軍に近い性質を持つものはできるだけ政治に干渉させたくないというのが憲法の考えなんだ。
s じゃあ、自〇党は自衛隊に制服を着させて国歌を歌わせたのはセーフなのですか?大相撲の千秋楽に流れる国歌とは違うのですか?
k 大相撲の時に流れる国歌はもちろん政治目的でないから大丈夫なんだ。そのうえで自〇党は政治団体。そこに自衛隊員が干渉しているというのは私人行為としても好ましくない行為だ。ましてや制服を着たり自衛隊であることを明かして国歌を歌うのは自衛隊法第六十一条の政治的行為の制限に違反していると言える。
s その法律では何が制限されているのですか?
k 詳しく言えば「隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない。」というのが一項目にある。他にも二項あるが今回は省略させてもらう。今回問題になったのは完全に特定の政党を利しているということだ。国歌を歌っただけとはいっても、国歌は国の象徴、いわば国そのもの。それを特定の政党のために歌ってあげるというのは普通に考えてアウト。罰則では最大で三年間刑務所に拘禁される。それぐらいの事をしていると自覚してほしい。
s それを考えると結構重大な政治倫理違反があるように感じますね。
k 僕に言わせればこの後どうなるかは知ったことではないけど戦前にあった政治への軍の干渉によって日本は第二次世界大戦へと踏み込んだという歴史を決して忘れてほしくない。これは他人事ではなく国の行き先を暗闇に突き落としかねない大きな問題になるかもしれないということを考えてほしい。
k ここで本題の自衛隊と憲法の関係について考えたいけど、s君はどう思っている?
s 僕としては災害の時に駆けつけてくれる頼もしい存在で無くなったら災害大国である日本の危機と言っても過言ではないと思います。それを思うと自衛隊はあってほしいと思いますね。憲法で制限を受けているのだとしたらもう少し幅を広げてもいいと思います。
k もちろんその意見もある。しかし、現在の憲法で世界でトップ10に入るほどの防衛費をつぎ込んでいる。その現状でわざわざ変える必要もあるのかという考えもある。
憲法第九条
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
この文章から見ると一見自衛隊は違憲に見える。歴史的に見ても砂川事件の伊達判決、長沼ナイキ訴訟における福島判決では自衛隊は違憲とされている。のちに国側の上告で統治行為論によって最高裁で憲法判断は回避されてしまったがその凡例があるという事実が自衛隊の曖昧さを表していると思う。
s 本当に際どいところにいるのですね。
k ごもっとも。政府の見解では必要最低限の国を守るものであれば、国の交戦権を有するに至るほどの物でない限りでは「戦力」未満の実力組織を持つことは認められている。それに国際法(国連憲章)でも個別自衛権は容認されている。それが自衛隊を合憲と判断する理由なんだ。しかし学会からしてみればもう他国と交戦できるほどの「戦力」を有しているから違憲だというのは明確だ、というのが学会の考え。
どちらにせよ自衛隊は無くてはならない存在だから学会の人も自衛隊を廃止せよと言う人はほとんどいないだろう。でも憲法と矛盾している状態が七十年以上続いているこの現状は放置して良い問題ではないというのは大半の人が抱く思いだと思う。
s いっそのこと日本国憲法を変えないという手もありませんか?
k 僕の意見では、あまり好ましくないと思っている。あくまで個人の意見だけど憲法と矛盾している状況を容認しているのはある意味憲法を順守しなくともよいという口実になってしまいかねない。だって自衛隊が憲法に違反しているけど別に解体されていないのだから憲法も守る必要がない。そういうことが起きかねない。極論かもしれないけどそういうのを防ぐためにも自衛隊の存在は明記して平和主義を貫くことができる条文にしてほしいと僕は願っている。
s 自衛隊はそもそも何で憲法に違反しかねないギリギリのラインにあるようにできてしまったのですか?
k 本来、アメリカはこれを想定していなかった。戦後、朝鮮戦争によってアメリカ軍が駆り出されたとき日本を守るアメリカ軍が消え失せたせいで日本に連れてきたアメリカ軍人の家族が危険にさらされることを恐れた。でも日本国憲法ができた日本に軍隊は持つことはできない。マッカーサーは日本を「東洋のスイス」にすべく徹底的な軍排除を行ったがそれが仇となってしまった。そこで苦渋の決断で日本政府に軍に準じる実力組織の設立を命令した。これが全ての始まりだったんだ。
s 今更ですが何故アメリカは日本国憲法に矛盾しかねない命令を出せたのですか?
k GHQの命令は日本国憲法より上だったからね。他にも日本国憲法より上とされるものとしてはサンフランシスコ平和条約がある。憲法と言えど戦勝国の命令に逆らう真似は絶対にできなかったんだ。
s 何か都合がよすぎる気がしますね。
k 戦勝国と敗戦国の関係ってそんなものだよ。
s ここまで議論していると最近の国会での議論は速くなってきている気がします。
k もう少しゆっくり議論してほしいかな。僕の意見としては自衛隊を明記するのであれば徴兵制を禁止する規定も追加してほしい。そんな小さな声でもいいから憲法改正の時には拾ってほしい。
憲法改正は最後に判断するのは国民です。国民の過半数で決まります。他人事ではなく国の命運をあなたの手がいつか握るときが来るかもしれません。その時に苦労しないように少しでもここで考えがまとまったのであれば本望です。自分とみんなの幸せのために何ができるか。どれだけゆっくりでいいから真剣に考えてほしいです。
一番長かったかもしれないです。そして一番議論が割れる議題だと思います。常日頃から僕たちを守ってくれている自衛隊の人たちに感謝します。そのうえでこの議論はしています。どうか何か一つだけを敵対視するのではなく全体的に何が良くて何が悪いのか分かるように考えてほしいです。
議論してほしい内容などがあればできる限り議題にしてみます。これからも不定期ですが応援よろしくお願いします。




