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アクティブダンジョンマスター・俺は外に出る!  作者: 親方、空からゾンビが!
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閑話:ダンジョンのある生活7

「そういう訳で世話になるで。今後ともよろしゅ~頼むわぁ」

「宜しくお願い致します」

「あの、よ、宜しく……です」


 マサルさんのダンジョンに住人が増えました。商人の女の子クリスティーナさんと護衛兼付き人のシゲルさん、それに時のダンジョンマスターのユキノちゃん。この3人が一緒に生活していく事になるようです。

 あ、そうでした。あたしも自己紹介をしないと。


「あたしはユーリと申します。後ろにいるのが護衛のルカーネロさんですよ」

「ルカーネロです。フフ、今後とも宜しくお願いいたします。ではさっそくですがシゲルさん、ボクと手合わせ願えませんか? このダンジョンではボクの相手になる男性は少なくて困っていたところなのですよ」

「ほほぅ、ボクでよろしければ相手になりますよ。フッ」


 早くもルカーネロさんとシゲルさんとの間で火花が飛び散っています。同じ護衛という立場から、互いの実力をその目で確かめたいのでしょう。2人は揃って運動スペースへと移動して行きました。


「お~いシゲル~、ダンジョン探索はどないするんや~? ――って行ってもうたがな」

「クリスティーナさんは探索がしたいんですか?」

「せや。金稼いで旗揚げするのがウチの目標やねん。商売人たるものはやな、こうドカ~ンと稼がなあかん思うんよ。せやったらダンジョンで稼ぐのが手っ取り早いやん?」

「でも安定して稼げるわけでは……」

「何言うとるん。商売人にはギャンブルはつきものや。せやろ?」


 少なくとも商売人の台詞ではないと思われますね……。


「けどシゲルが居ないと探索でけへん。今日のところは自室で大人しくしとこか~って、そういや部屋の割り当て聞いてへんわ」

「部屋なら余っているので、好きな部屋を使って良いそうですよ? あたしが案内するんで付いてきて下さい。ついでに遊戯部屋なども紹介しますので。ユキノちゃんも一緒にどうぞ~」

「はい!」



★★★★★



 最初に案内したのは食堂です。訳あってコアルームから一番近い場所にあります。


「奥ってさっきのコアルームやんな? その隣がキッチンで、二つとも手間の食堂に繋がっとるんか」

「料理や食材を召喚したりするからですよ。食事をリクエストすれば目の前を通っているレーンに乗って流れてくるんです」


 あれ? そういえばこのシステム、どこかで見たような……


「そのシステムは回転寿司のものを取り入れたと、マスターが仰ってましたよ」

「勝手に運ばれてくるのですから便利ですわよね。給士いらずとはこと事ですわ」


 食事時だからでしょうか、ジャニオ様とブローナさんがやって来ました。


「おっ、めっちゃイケメンがおるやん! ウチはクリスティーナや、宜しく頼むでぇ」

「ジャニオと申します。話はマスターから聞いてますよ」

「わたくしはブローナですわ。というより貴女、わたくしのジャニオ様に気安く声をかけないでくださる?」

「なんでや? 話すくらい別にええやろ」

「そうですよブローナさん。ジャニオ様ファンクラブ会長として、今の発言は看過できません」


 すぐブローナさんはジャニオ様を独占したがりますからね。ここはハッキリと釘を刺す必要があります。


 ガシッ!


「ググググ……さ、さぁ、今の発言を取り消して下さい」


 ガシッ!


「グヌヌヌ……わたくしに楯突くと? ならば相手になりましょう」


 グリグリグリ!


「ウグググ……い、言いましたね? あたしも魔法少女の端くれです、魔力全開で挑ませてもらいますよ――っへほほほひっはあはいえ(って頬を引っ張らないで)!」


 グリグリグリグリグリグリ!


「は、はひひへをはひへいはのはう~ひ、あははおほうへふあ(さ、先に手を出してきたのはユーリ、貴女のほうですわ)!」


「アッハハハハ! 面白そうやん、ウチも加勢したる」


 グニグニグニグニ!



 よく分からないですが、クリスティーナさんまであたしとブローナさんの頬を引っ張り始め、その場はしっちゃかめっちゃか。そしてジャニオ様は慣れてしまったのか、(さわ)やかスマイルのままお茶を飲み始める始末。

 どうしましょう、この場を収める人がいません。そう思いつつも不毛な争いを続けていると、意外な人物が止めに入り――いや、乱入してきました。



「ジャニオ様ーーーーーーっ!」

「「「へぶしっ!?」」」


 今まで静観していたユキノちゃんがあたしたちを跳ね飛ばし、ジャニオ様に抱きついて――



「――って、ちょっと待ったぁぁぁ! どうしてユキノちゃんがジャニオ様に!?」

「そうですわ、新入りの癖に生意気ですわよ!」

「人を慕うのに新入りもクソもありません。ボクはジャニオ様に心を奪われました。もう一生ついて行きます!」

「「「なんですと!?」」」


 この発言にはあたしとブローナさんだけじゃなく、クリスティーナさんまでもが驚きを隠せません。

 ついでにジャニオ様、最年少と思われるユキノちゃんに抱きつかれて満更でもない笑みを? もしかしてロリコンでいらっしゃる?(←飛躍すぎです)



「ああ凄い、本当にジャ○ーズ所属の男の人みたい。ボク一度でいいから抱かれてみたかったんです!」

「そ、そうだったのかい? それは良か――」

「はい、だからもっと匂いを――匂いを嗅がせてくだせい!」スハスハ!

「「「…………」」」


 な、なかなか積極的ですね。地味な見た目とは裏腹な行動力に加え、匂いフェチかと思わせるこの言動。これは要注意人物かもしれません。


「ちょ、ちょっとユキノ、ジャニオ様の匂いを嗅ぐだなんてはしたない!」

「でもいい匂いですよ? もうジャニオ様の匂いで鼻が詰まりそうですぅ!」スハスハ!

「クゥゥゥ、良い匂いなのは認めますが、わたくしのような上流階級がユキノのような底辺に下り立つなどできません、クゥゥゥ!」


 まさか言動だけでブローナさんを退けるとは、ユキノちゃんって何者!? 特別な匂いを感知できるスキルを神から授けられた!?(←そんなくだらないスキルは授けません)


 さて、事態はこのまま混迷を極めるのかと思われましたが、これまた意外な形で終息へと向かいます。



 ぐぐぅぅぅ……



 え~と、今の音はユキノちゃんから聴こえたような? 見ると恥ずかしそうに顔を赤くしたユキノちゃんがモジモジしながら……


「す、すみません。2、3日前から何も食べていなくて……」




「夕食にしましょうか」


 誰かがそう告げると全員が頷きました。これにてジャニオ様を巻き込んだ騒動は一応の決着を見せたのです。


「ささ、ジャニオ様~、何でも好きなものを仰ってくださいな~」

「じゃあ塩鯖定食にしようかな」

「きゃふ~ん、ジャニオ様ったら渋くて・ス・テ・キ♪ わたくしも同じものを――っと」


 注文は備え付けのタブレットに入力することで可能になっています。ジャニオ様とブローナさんの注文が終わり、さりげなくあたしも同じ注文をしてクリスティーナさんとユキノちゃんへと渡しました。


「ホンマにこんなもんで注文できるなんて、世の中変わったもんやなぁ。――っと、ウチは柚子胡椒塩ラーメンいうやつにしとこか。なんやさっぱりしていて美味いとか書かれとるしな」


 そうそう、どういう食べ物かの紹介も写真付きで乗ってるんですよ。これならイグリーシアの人たちも何となくイメージできますからね。


「ほなユキノの番や。しばらく食ってないならしっかりと腹に詰め込んどき」

「で、でも遠慮なく注文するわけには……」

「ん? なんや、もしかしてダイエットでもしとるんか?」

「ち、違います。ボクが食べ始めると他の人たちが迷惑を被るというか……」


 詳しく事情を聞くと、ダンジョンに居座っていた闇ギルドの人たちから食事制限を設けられていたようです。少しでも多くの食料を自分たちのために確保したかったんでしょう。ホントにムカつく連中ですね。目の前にいたらケチョンケチョンにしてやるところですよ。(←やるのはルカーネロだけどな)


「ああ、なんて可哀想なユキノちゃん、さぞかし空腹に苦しんでいたことでしょう!」

「せやせや! 闇ギルド奴ら、なんつ~非道な真似しとんねん!」

「空腹な貧民には施しが必要ですわ。何でも好きなものを注文なさいな」

「いいんですか? ありがとう御座います! それじゃあ遠慮なく――」


 パァッと明るい顔を見せるユキノちゃん。これにはあたしもクリスティーナさん、それにブローナさんやジャニオ様も笑顔を向けずにはいられません。

 しかしユキノちゃんの注文を聞いていると、徐々に雲行きが怪しくなっていきます。


「――まずは軽~く牛カルビ丼の特盛と、和牛各種大皿盛り合わせ、石焼きビビンバにオニオンリング、あ、塩キャベツもいいですね。それから――」


 食堂に妙な空気が流れます。各自で夕食を取る感じになっていたはずですが、まさかユキノちゃん、1人で宴会を始める気でしょうか?


「ちょちょ、ちょっとユキノちゃん!」

「エッグカレーに唐マヨ丼に締めは塩ラーメンで――はい? 何ですか?」

「まさかとは思うけど、それ全部1人で食べる気?」

「……あ、すみませんボクったら。皆さんがいらっしゃるんだから倍以上は必要ですよね。じゃあ追加で――」

「「「待て待て待て待て!」」」


 そんなに食べたらおデブになってしまいます。魔法おデブ少女なんて恥ずかしくてやってられません!


「あの~、マスターから注文間違ってないかって念話がきてますが……」

「間違いだなんてとんでもない。全部ボクが平らげます!」

「さ、左様で……」


 それからオーダーした食事が次々と流れてきました。その大半はユキノちゃんの前に集まっており、異様な光景を晒しています。


「ああ、久しぶりのお肉、肉汁が全身に染み渡ります! そしてカレーの香ばしい匂い。これに堪えられる者はそうそういないでしょう。ああ、待っててくださいカレーさん、今行きますので!」

「「「…………」」」


 ここに食い付くし系女子がいます。何というか、この光景を見ているだけでお腹が膨れてくるというか、食べる気が失せてくるって言えばいいんでしょうかね。とにかくお箸が進まなくなりましたよ、はい。


「あ"~~~締めのラーメンさいっこ~~~ぅ! もう何杯でも食べれそうです!」


 ユキノちゃんの胃袋はどこへ続いているのでしょうか?(←多分宇宙の果てまで) 今からでもマサルさんの苦労が目に浮かぶようです。


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