Chapter19: 敷島ゆかりの考察
最終列車で帰ってきた栃内くんは、駅のホームに降り立ち、空を見上げて驚きました。地方都市を出たときには満天の星空が広がっていたのに、数駅離れたアパートのある街には、今にも雨が降り出しそうな雲がどんよりと広がっていたからです。
――酔っ払っているせいで曇って見えているに違いない!
いいえ、実際に空は曇っていました。そして、酔っ払っているのには違いありません。
栃内くんは駅構内を出て、アパートに向けてほてほてと歩き出します。雨はすぐにポツリポツリと降り出してきました。曇ってたのが本当だったとわかり、傘も持っていなかったため、早歩きになって家路を急ぎます。
アパート近くの公園まできても、まだ雨は弱いままでした。
どうやら本降りになる前に帰り着きそう。
しかし公園を通り抜け出ようとしたとき、足が止まってしまいます。
街灯わきにあるベンチに、若い女性がひとりで寝ていたのです。
真夜中にもかかわらず、雨が振り始めているにもかかわらず、彼女はいったいなにをしているのでしょう。終電に間に合わず不貞寝しているのでしょうか? そもそも駅にたどり着く前に力尽きたのでしょうか?
放っては置けずに近づいてみると、なんと、大学の同級生――敷島ゆかりでした。
彼女はお酒の臭いをプンプン漂わせています。
靴だって履いていないではありませんか!
彼氏と別れてヤケ酒でもしていたあげくの末路でしょうか?
栃内くんは目を覚まさせようとトライしました。でも、敷島ゆかりはすっかり泥酔しているらしく、心地よさげに寝息を立てるばかり。そうこうしている内に、雨脚が強まってきまい、しかたなく一時避難させることにします。
アパートへ着いたときにはもう土砂降りの様相でした。
玄関に横たえた敷島ゆかりは、全身ずぶ濡れになっても依然として深い夢の中です。
栃内くんは試しに頬を叩いてみました。
敷島ゆかりは眠り続けています。
今度は腹を殴ってみました。
それでも起きる気配がありません。
彼女はお酒が入ると、ちょっとやそっとじゃ起きない都合のいい質のようです。
栃内くんはよからぬイタズラを思いつき、敷島ゆかりをベッドへと――
○
「ちょっとまったあぁぁぁ!」




