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好きなのに、言えなかった。  作者: 雨宮もか


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第2話 「少しだけ近づいた距離」

翌週の月曜日。

陽菜はいつもより少し早く出社した。

デスクに座り、パソコンを立ち上げる。

すると後ろから声がした。

「おはよう、陽菜さん」

振り返ると蓮が立っていた。

「お、おはようございます」

朝から蓮と話せただけで、胸が少し高鳴る。

そんな自分に苦笑しながら仕事を始めた。

午前中。

上司から資料作成を頼まれた陽菜は、蓮と一緒に作業することになった。

「じゃあ会議室使おうか」

蓮がそう言って微笑む。

二人きり。

それだけで緊張してしまう。

会議室に入ると、向かい合わせで資料を確認した。

仕事の話をしながらも、時々目が合う。

そのたびに陽菜は視線を逸らした。

「陽菜さんって本当に仕事丁寧だよね」

突然言われて、陽菜は固まった。

「え?」

「助かってるよ。いつもありがとう」

優しい声だった。

陽菜の胸がじんわり温かくなる。

「そんなことないです」

「いや、本当」

蓮は笑った。

その笑顔を見ると、好きという気持ちが大きくなってしまう。

午後の作業も順調に進み、気づけば定時が近づいていた。

「今日はありがとう」

蓮がそう言った時だった。

スマホが震える。

蓮のスマホだった。

画面を見た蓮が少し笑う。

陽菜の視線の先には、

『真奈』

という名前が映っていた。

胸がざわつく。

やっぱり仲がいいんだ。

期待してはいけない。

分かっているのに。

帰り道、一人で歩きながら陽菜は空を見上げた。

今日の出来事を思い出す。

嬉しかった。

でも苦しかった。

蓮の優しさは、自分だけのものじゃない。

「期待しちゃだめなのに……」

そう呟いた、その時だった。

ポケットの中でスマホが震える。

陽菜は足を止めた。

画面を見る。

そこに表示されていた名前は――

『蓮』

思わず息を呑む。

こんな時間に、どうして。

震える指でメッセージを開いた。

そこには、

『陽菜さんに相談したいことがあるんだけど、今度ご飯行けない?』

と書かれていた。

陽菜の鼓動が大きく跳ねる。

相談って何だろう。

どうして私なんだろう。

嬉しいはずなのに、不安も押し寄せてくる。

スマホを握る手に力が入った。

そして、もう一度メッセージを見つめる。

――蓮は、私に何を話そうとしているのだろう

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