「秋」 課題1:同じ情景の俳句と短歌をつくってみよう
秋の気配を題材に、
俳句と短歌で同じ解説になるよう構造をそろえた小さな実験です。
言葉の跳躍と、情景の連鎖。
二つの形式の違いを、季節の手触りで比べてみました。
お時間のあるときにどうぞ。
課題1:同じ情景の俳句と短歌をつくってみよう。
◇1◇
<俳句Ver.>
青北風や
花野はいずれ
化野と
<短歌Ver.>
雲流し
裂きて日を射す
青北風は
花野を枯らし
化野とせむ
【解説】
秋、晴天の日に吹く北風は、
野原の花を枯らしていく。
そうして冬ごもりの支度をし、
翌年に備えるのだろう。
無常というのは、ひとりでに起こるものではない。
花野の「くさ」が枯れてなくなると化野、
という漢字遊びをしてみた。
短歌では、下の句への流用を目指した。
◇2◇
<俳句Ver.>
秋落陽
帳も袖も
下させて
<短歌Ver.>
衣替え
秋晴れ泥む
落陽に
下した袖の
皺を数えて
【解説】
秋、日は短くなった。
そうして日が落ちればすぐに暗くなり、
肌寒くなる。
昼間には捲り上げていた長袖を降ろさせるほどに。
短歌では、情景の拡張による物語化を目指した。
読んでいただき、ありがとうございました。
俳句では「核の圧縮」を、短歌では「情景の拡張」を意識し、
同じ解説で読める二つの形式を並べてみました。
秋は、光も風も袖口も、静かに形を変えていく季節です。
その移ろいを、ことばの器の違いで確かめる試みでした。
また別の季節でも続けてみようと思います。




