僕の預かったマーメイドが世間知らず過ぎて、ヤバイ。 中編
ピピピピピピ
ピッ!
「もしもし、晃弘です」
「アッキー!オッハー。今日サボったらしーね?どっか行ってるんでしょ?私も一緒に行っていいでしょっ!ねっ!ねっ!」
「・・・・・・今度、にしようか。また今度」
「ダメだよー!もう私、アッキーの真上に居ちゃうんだもんっ!」
僕はそのままの姿勢で見上げた。パ・・パ・・・・パイ・・・パンツ履いてない女の子が僕の真上に立っていた。僕と視線を合わせると、彼女は左手でVサインを作る。
「大丈夫ですよー。アッキーの他見えないよーにしてますから!ねーー!一緒に遊びましょうよー!どうせ、世間知らずの人間じゃない誰かがアッキーに懐いて、今は人間社会のお勉強をしているってところでしょ?私がいれば、楽しく学習させてあげられると思うんだけどなーっ!」
凄まじく正確に事態を把握していた。凄まじい洞察力だ。
「わかったよ。だけど、・・いい?」
「どうーぞー」
「過激な事は言わない、しない、やらせない。一般的に、平均ぐらいのテンションで同行してくれるならいいよ。但し、絶対に、変な事を教えないでね。約束守れるならいいよ」
「えーーー。つまんないなー。でも、ま。アッキーと一緒に過ごせるんならいいかなぁ。ところで、全部剃ったんだけど、どう?もじゃもじゃの方が好き?」
「三次元でそういう好みは無いよ」
「知ってます。二次でだよ!」
使用CGには、北米版が好みです。なぜなら、バッチリ丁寧な描写が映えるパイパンも、中々悪くないんじゃないかな?毛が生えてたら、そういう細々とした美術的鑑賞の妨げになっちゃうからねっ!でも、それはキャラに依るところが大きいよね。お姉さんキャラだったら、むしろあったほうが自然であり、ナチュラルなんじゃないかな。
言えるわけ・・・ないだろう・・っ!?
「もう少し仲良くなったら教えるよ」
「ぶーぶー」
栞は下りてきて、インビジブルモードを解除した。
「それじゃ、あそこで買い物してる二人に、言ってきますね!私もパンツ買わないと」
そんな事を言って駆けていく。危ない。本当に危ない。
さっきまでの光景が、僕の網膜に焼き付いていた。おそらく、漫画やアニメなら鼻血を出していたところだろう。
「・・・・・・う。・・・マズイ。ちょっと興奮してしまった・・ジャガージャッカー。苦しいだろうけど、ここは我慢だよ」
僕は三人が大きく笑顔で手を振るのに応えた。
「次はどこに行こうかな・・・」
そんな事を考える。図書館とか。結構勉強にも良いし、本も置いてある。映画館でろくな体験をしてなかったけど、定番だし、何よりここの劇場は最高のシートだ。女の子三人もいるんだし。今日は楽しんでもらうために映画館かな。
「晃弘様ぁー」
そんな言葉が遠くから放たれる。恥ずかしい。
「栞さんって楽しい人ですねー」
そう言って、三人はとことこやってくる。バッフェルクイットはそのお店の設定している値段以上の金額を買うと、品物をそのままバッフェルクイットから家まで届けてくれるサービスがある。彼女達が握っているのは、ソフトクリームだ。ダブル、ダブル、トリプル。・・・美味しそう。
「だよ。僕の同僚」
「同僚以上に、私を救ってくれた王子様なんですよー!」
「凄いですね~~!王子様だったんですね~!」
「アハハ・・・ありがと・・・・次は、図書館とか・・映画館とか・・」
「ご主人様、今の時刻でしたら、ヤング・シャーロックの大冒険に間に合いますが、いかが致しましょうか」
「おお。良いね。次は映画館に行こうか」
「映画館ってどういう場所なんですか~?」
「テレビの何十倍も大きい画面で見れる、大迫力の特別な時間なんだよ、エリカ」
「そうなんですか~。凄いですね~」
確かに、解説してもらって助かるし、同じ女子同士、た~~るにゃんとは違ったティーンエイジャーの視点の意見をくれる。・・・後は、問題行動、過激発言さえ無ければパーフェクトだと思う。
「それじゃ、映画館で!」
僕は、あえて、佐織と真歌子姉さんと一緒になった映画館を避けたつもりだったけど、案の定、その問題の映画館しか上映されていなかった。
「ここもお店屋さんなんですね~」
売店の隣には、シネマノベルティーグッズやら売られてるスペースもある。
「すいませーーん。チリドッグ七個とコーラXを四つ、ポップコーンXXXくださーーい」
そう言って、栞は、冗談抜きで、十人前ぐらいはあるだろう、ポップコーンを両手で持ってきた。
「私、絶対、ポップコーンのトリプルエックスを頼もうって思ってたんですよ!念願叶って、感無量ー!です。私席まで先にいってますね!」
そういって、山盛りのポップコーンを両手で抱えて席に移動していく。
「・・・・た~るにゃん」
僕はた~~るにゃんに耳打ちする。
「・・・はい」
「僕は端っこに座るから、た~~るにゃんは、僕の隣に座ってね」
「・・・かしこまりました」
ここに来たら、確実にそういうイベントしかこなしていなかったのだ。先手を打った。僕はそう、何度も何度も同じ手にひっかかるような、愚鈍な主人公ではないのだ。今日こそ、シネマライフを満喫しよう!
「チョコレートチップコーヒーにビーンズをつけて、ミルク多めで、砂糖はW、追加でマロンデニッシュを乗っけてください~~」
そんな事を僕の隣でエリカは注文する。
「ウインナコーヒーをベーシックでください」
た~~るにゃんもだ。
「・・・・・アメリカンコーヒーください」
映画館で飲み物を注文するなんて、ある種の邪道じゃないのか!?半年前の僕は、たまに来る映画館は毎月一日の千円の日、もしくは、20時以降のレイトショー。無駄に高すぎる飲み物の余裕なんて、これっぽっちもありもしなかったのに!どうして、そうすいすい注文してしまえるのだろうか。・・・僕は無駄な劣等感を感じてしまった。
「・・・ミッ・・ミルクと砂糖Wでっ!!」
「それでしたら晃弘様~ウインナーコーヒーで良かったんじゃないでしょうか~か?」
・・・・・・・・。
「初めはコーヒー本来の味を。そして、それから少しずつ砂糖とミルクを足していくんだよ。これで、そのお店のコーヒーの理解を深める事ができるんだ・・・と・・・おも・・うよ・・・・・・」
言ってるうちに恥ずかしくなってきた。遅れをとってはいけないと感じてしまったのだ。僕って見栄を張る性格じゃないのに。それでも!僕はちゃんと、エリカの監督者であり、ある種の保護者でいなければいけないのだ。
「なるほど~。さすが晃弘様ですね~」
「ま、まぁーね!」
そんな僕を冷ややかな目で見るた~~るにゃんの視線が少し痛かった。




