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僕の見合い相手が大人過ぎて、ヤバイ。

「もしもし、ビクトリア?」


「おお!晃弘か!電話、嬉しいぞ」


「今、大丈夫?」


「大丈夫じゃ」


「学校の時間だと思うけど、大丈夫かな?」


「わらわは学校は火曜日と木曜日だけじゃ」


「そうなんだ。今時間ありますか?」


急に敬語になってしまう。正しい日本語を伝えなければいけないという、義務感が生じる。なぜだろうか。


「あるぞ。好きなだけ、お喋りできるな」


「あのさ、電話でも、相手の心って読めるの?」


「読めんな。できるのは、言葉の重みを計るぐらいじゃ。嘘や真実、どんな気持ちか、どれぐらいの気持ちか、そういうところじゃな」


良かった。僕のおせっかいのような、行為は、彼女の高貴な態度への、侮辱だと感じさせてしまうかもしれないと思ったからだ。


「なんじゃ。わらわが心配なのか?そんな声をしておるぞ」


そして、既に読み取られたか。


「あのさ、ビクトリア」


「ビッキー」


「あのさ、ビッキー」


「うむ」


「人の心を読む事って、セーブしたりできるの?或る程度までに、意識して制限できるの?」


「できんかったが、十歳になると、そういう事を学んだな」


!!・・・そうか。・・・・・良かった。本当に。


「そうなんだ。ソレは・・・良かったと思うよ」


「なんじゃ。もしかして晃弘は、わらわの心が他人の闇を垣間見てしまい、疲弊し、磨耗しているのではないかと思い立っての電話か?」


「・・・うん」


「大丈夫じゃ。そういう訓練を受けておる。・・・そうか。先の一件では、晃弘にしか教えておらぬといったか。それは、そういう王家の血の者以外で、という意味じゃったが・・・すまんかったな」


「いや、いいんだよ。大丈夫そうだから」


「そうか。なんじゃ。最近、他人の心を垣間見て、他人の心を知る事が非常に恐ろしい事だと感じたのか?」


「・・・・うん」


「人は人、他人は他人じゃ。わらわは今は自分を磨く事しか、考えておらん。未来のためにな。晃弘も、そうだ。晃弘。いいか?」


「うん」


「自分は自分であって、他人じゃない。お前は、優しすぎるのが欠点じゃ。それは、致命的な一点だと、わらわは思う。晃弘、その考えは、とても危険な事じゃ」


「・・・うん」


「でも、強大な力を持ってなお、その考えに至るとは、天晴れじゃぞ」


「・・・ありがとう」


「少しは、元気が出たか?」


「うん」


どうやら、励まされたのは、僕のようだ。励ましてほしかったり、言葉を投げかけてくれたかったのは、僕だったのだ。


「わらわが晃弘の妃になるなら、ずっと、晃弘を元気にしてやるぞ」


きっと、そうだと思う。


「あはは・・。まずは、成人してからだよ。お互いにね」


「そうじゃな。だが、予約という形で婚約はさせてもらうぞ。良い男はみな直ぐに結婚してしまうらしいからな」


「僕もそう思う。けど、人生、長いから」


「そうじゃな。特に魔法使いは、お前の考えてる500年とは何じゃ?」


「・・・・・・・・」


「説明ありがとう。今の分かりやすかったぞ。そうじゃな。ブランクカードを譲ってもらうぞ」


「分かってるさ。ビッキー。ありがとう」


「こちらこそじゃ。そうだ。近くまで来る事があったら、連絡しろ。一緒にマイアーニの新作スイーツを食うぞ。イタリア王室ご用達の名は伊達ではない。晃弘の度肝を抜かす美味さだぞ」


「楽しみにしてるよ」


「やっぱり、明後日じゃ。会いたくなった。学校が終わり次第、イタリアに来るんじゃぞ。いいな」


「・・・・・わかったよ。予定を入れておく」


「うむ。それがいい。楽しみにしておるぞ」


「うん。ありがとう」


電話を切った。やっぱり、違うな。年下とは思えない。


「さすが、王室の生まれ。・・・・違うね」


何故か、僕の頬に涙が流れた。年下に、泣かされた。

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