僕のメイドさんが気が利きすぎて、ヤバイ。
らいーおんーはーつーよいー
ッキキ
「・・・・ご主人様、お乗りくださいませ」
ミカミタワーから出た瞬間に僕の真横にスポーツカーが急停車した。アップしてた気分がだだっ下がりだ。
「・・・・・・あの、これからコンビニ・・・」
コンビニで今週の悦楽天使買うんです。なんて言えない。カウンセリングを受けて、僕は自信を持ってエロ本を買えるような心意気になれたのだ。
「ご主人様、お乗りくださいませ」
分かった。乗れ!って事ですね。分かります。
「・・・・・」
男性店員しかいない重宝しているコンビニが、小さくなっていく。
「用件は・・・なん」
「佐織様の事についてでございます」
「・・・・はい」
「ご一緒にシーファンシーへ行かれた晩の事でございます」
「・・・はい」
「凄まじく、ご主人様のメンタルが折れていました。結局、緊急アラームによって事無きを得たみたいですが、あのまま続いてたら、どうされるおつまりだったのでしょうか?」
多分、心の貞操は奪われてました。なんて、敗北宣言は、僕の口から言えない。
「大丈夫。た~~るにゃんが心配する事にはならなかったよ」
「左様でございますか。私の推測では、おそらく、ご主人様の心の貞操は奪われていたように感じましたが、いかがでしょうか?」
「大丈夫だよ・・・・」
「・・・・・怒りませんから認めてください。まずは」
「・・・・・・・・・・・多分、折れてました」
「ですよね」
「ですよね・・・・・」
「まぁ事無きを得たので、良かったですが、このような事態にならないため、身を固めてはどうでしょうか?」
「まだ、いいよ」
「今回のお見合いのお話、受けてはいかがでしょうか?」
いい加減うんざりしてきたが、怒鳴ったり、怒ったり、クビだ!!なんて取り乱す事はできないのだ。
「受けません」
ずっと、彼女は僕のために、ひいては三上のために、尽くしてくれているのだ。痛いほど分かる彼女から溢れ出る使命感は、ある種の神々しささえ、たたえられている。
「そうですか。ですが、警告しておきます」
「はい」
「万一、ご主人様が、三上の名に恥じるような行いをされた場合、私は、ご主人様に対して、狼藉行為も辞しません。私はご主人様に対して、非常に脆弱な存在ではありますが、同様に、私に対して一般人は、非常に脆弱な存在だといえます」
「・・・・どういう意味?」
「どう捉えられるかは、ご主人様次第ですが、これは、警告です」
「はっきり言ってくれ」
「ご主人様の考えてらっしゃる事ではありませんよ」
「・・・僕の考えが、読めるの?」
「ええ。ちなみに、これは、能力や才能ではありません。技術です」
「へぇ」
「万一の場合は、佐織様の戸籍データを改ざん致します。三上家では無いように。そうすれば、問題はなくなります」
「・・・・・分かったよ。でも、これだけは言っておくよ。確かに・・・」
「お止めください。一度は揺れて、折れた精神は、二度と真っ直ぐになりません。鉄板は、折れ目がつくのです。今回のは、純粋に幸運だという他ありません。以上が、警告の内容でございます。心得てくださいませ」
「・・・わかったよ」
「・・・・これをお受け取りくださいませ」
紙袋に入った本のようだ。
「今週のペンギン海賊と、快楽天使でございます。私が買っておきました。どうぞ、お受け取りくださいませ」
・・・・・・・メイドさんにエロ本を買ってもらうご主人っていう図は、どうなんだろうか。
「ありがたく頂戴しておくよ。えっと・・」
「御代は結構でございます。私からの差し入れでございます」
メイドさんにエロ本を差し入れしてもらうご主人っていう図は、酷い図だと思う。
「ありがとう。あのさ。もしかしてさ。プライベートな勤務時間外も、もしかして、僕を見張ってる?」
「はい」
「分かったよ。今日からウチで泊まればいいと思うよ。使ってない客室もまだたくさんあるし」
「ありがとうございます」
面倒の種をまた一つ増やしたみたいだけど、正直言って、これ以上た~~るにゃんの負担を増やしたくない。彼女のミカミへの忠誠を過小評価していたみたいだ。
「ところで・・趣味ってあるの?」
「ありますよ」
「なに?」
「監視と盗聴でございます」
「・・・・・ミカミタワーに行って」
「かしこまりました」




