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僕のカウンセラーがテクニシャン過ぎて、ヤバイ。

「作戦は以上になります。それでは、解散!・・・晃弘君だけ、後で室長室へ来て」


来週の土曜日からローマ教皇が来日する際に、政府が用意できる最大の最高の護衛として特事の特務課である、僕達が仕事する事になった。社長である祖父の命らしい。本来なら、特事と政府の繋がりは緊急案件を除いて無いのだけど、祖父は総理とポーカー勝負で負けたので請け負う事になったらしい。ちなみに総理が用意した品は、最高の職人である『萌人』(もえんちゅ)の半年で作成した、実物大た~~るにゃん一分の一フィギュアだ。僕達が仕事するのも、当然の対価だと、僕は確信する。


「失礼します」


「かけて」


「呼び止めて悪かったわね。昨日の教皇直属近衛軍から、打ち合わせの際に貴方の耳に入れて欲しいという情報があったの」


「なんですか?」


「直属近衛軍の最高戦力に位置する、『フェイシー』というエージェントがいるんだけど、彼女についてよ」


「はい」


「彼女は非常に好戦的で、魔女狩りのように、ナイトフル使用者の人間は駆逐すべきだと主張しているらしいの。それで、貴方の殺害計画を企ててるらしいわ」


「なるほど」


「だから、その旨を伝えておきます。こちらもギリギリまで調整を進めておきますから、晃弘君も、気をつけてね」


「わかりました」


「最後に一つ」


「はい」


「これから予定ある?」


・・・・・こ・・この展開は・・・ま・・まさか・・・。


「特にないですけど・・・」


「良かった。これから、カウンセリングルームに行って、カウンセリングを受けてもらえない?」


「カウンセリング・・ですか」


「ええ。度重なる闘い、魔力の行使、魔法の使用。プリズムマジックによる肉体の再生はあっても、間違いなく、精神は疲労しているはず。ただ、彼女に話すだけでもいい。ご飯を食べた話でもいいし、人を助けた話でもいい。とにかく、何か、精神を解放する場所が必要だと思うの」


カウンセラーと話す事なんて、何一つ思いつかないけど・・・。


「既に、遅いかと思うけど、もし良かったら、これからカウンセリング室に向かって」


「それは規則か何かですか?」


「本来はそう・・・。なんだけどね。これは私の案です。私が昔勤めていた場所には、どこもそういう場所があってね。どう・・?ただ話すだけでいいの」


「そのカウンセラーの人って、信用できる人なんですか?」


「ええ。その人は大丈夫。私の後輩で、幼馴染だから」


ちょっとした動揺を感じてしまった。


「・・・・・そうね。私も全部喋らせてもらうわ。彼女の就職先がなかなか見つからなくて、社長に頼み込んで、一席カウンセラーを作ってもらったの。しょうがないじゃない!かわいいんだから!せっかく室長になったのに、権力を使って身内びいきするぐらい、たまには良いじゃないの!・・・・・私はそう思います」


「・・・・・・・・・・・・・行きますよ」


僕はとんでもない大人の事情をぶちまけられた気がしたが、気にせずスルーしよう。理由の一つにかわいいという単語があったが、特に僕が気にする必要はない。僕はカウンセリング室へ向かう。


ドアを叩く。コンコン。


「どうぞ」


ドアを開けると、金髪の長い髪の美人な女医さんが、長い足を組んで座っていた。


「はじめまして。どうぞ、かけて」


僕は椅子に座る。


「私の名前は篠山静瑠ささやま・しずるよ。宜しくね」


「宜しくお願いします」


「早速だけど、何か話したい事とかない?」


「特に無いですね・・・」


「そう。それなら私が少し話して良い?」


「どうぞ」


「さっきフラレました」


「・・・・・・・・・え?」


「フラレたのよ・・・・しくしく」


よく見ると、目が赤い。泣き腫らした後のようだ。


「告白したんだけど・・・これからもお友達でいてくださいって言われたわ」


「・・・・・・・」


「ショックよショックよ!昨日は告白するぞ!って思って眠れなかったのに!最悪の気分よ・・・」


「そ・・・それは、元気出してください。地球上の半分以上は男性なわけですから」


「・・・・・・・・」


ガックリとうな垂れている。・・・・何この空気・・・。


「あ・・・あの・・・・」


「なに?」


「元気出してください・・・」


「ほっといてよ!六年ずっと好きだったのよ!?生まれて初めて、告白したのに、これから帰って、退職願出して、四国のお遍路にでも行こうかって考えてるの。はあ・・・・・・人生最悪・・」


人生最悪、だなんて言葉がポツリと呟かれた。おいおい!カウンセラーが患者の前でそんな事呟いていいのか!?問題じゃないのか!?っていうか、さっきより、しおれてるよ!?大丈夫なの!?


「でも、その気持ち、分かりますよ」


「分からないわよ。子宮から出てきて17年のあなたじゃ。こっちは、もうそろそろ華の二十代終わるっつーのに!!クソ!!」


カ・・カウンセラー・・ですよね!?仕方が無い。ここは、僕の経験談でも語って聞かせようか。


「僕もえーっと、子供の頃から好きだった人が、他に好きな人が出来て、ショックだった事があるんですよ。・・・七年くらいかな・・・それ以上かも、意識はしてなかった時期も合わせると」


「へぇ・・・」


僕の目をじっと見る。続きを促しているようだ。


「その時は、本当にショックで。あるとき、休みの日に、彼女が別の男の子と一緒に手を繋いでたのを見たんです。正直言って、あの衝撃は今でもはっきりと覚えてます。最悪の気分でした。吐き気さえ出て、膝が震えました。子供の頃の話で恐縮なんですけど、この子と結婚するのかなぁ。なんて思ってたんですよ。子供の頃なんですけどね。そうじゃなかったんだって、分かって。それから、その日は遅くなるまで、足が限界になるまで、歩いたのを覚えてます。本当の意味で自分勝手な事なんですけど、裏切られた気さえ、しました・・・」


「それで・・・立ち直れた?」


「その時・・・えっと、ここだけの話なんですけど、いいですか?」


「ええ。どうぞ。機密保持があるから。どうぞ」


「純愛物である、アダルトゲームに手を出したんです。魔法少女ものなんですけど」


「それってどういうお話?」


「ある日主人公の前に、異次元世界から魔法少女が落ちてくるんです。それから、魔法少女を主人公が助けるようになって、イベントがいろいろ起きて、最終的には、主人公と魔法少女はひっついてハッピーエンドで終わるんです」


「なるほど・・・今もそういうゲームをやってるっと?」


「ええ。やってます。最近は時間が無いから、たまに・・ですけど」


「そういうゲームって、つまり、Hなシーンがでてくるわけよね?」


「・・・・・ええ。出てきます。フルボイスで、ですね」


「そういうのを聞いて、興奮して、マスターベーションに使うわけなのかな?」


「・・・・・はい。幸せな気分になれるんです。リアルな体験のように、主人公と自分を重ねて・・」


「なるほど・・・そういうゲームって、酷い描写とかは無いの?ヒロインが・・・こう・・・無理矢理・・・とか」


「魔法少女た~~るにゃんは、そのシーンは無いんです。た~~るにゃんは、強いんです。でも、他のキャラには、ありますね・・・」


「そういう陵辱シーンを見ても、興奮する?」


「初めは嫌悪感しかありませんでした。ただ・・・嫌で・・・よく文章もスキップなんかして、飛ばしてたんです」


「・・・でも?」


「初めは、CGでした。エロ画像掲示板なんていう18禁の掲示板ってあるじゃないですか。それを見て・・・・だんだんと、興奮してきたんです」


「嫌がる女の子を陵辱するシーンを見て、興奮してきたと?」


「・・・・はい。・・・・・・」


「どういう部分が、興奮するの?具体的には」


「・・・・ドン引きしないでくださいね・・・・」


「しないわよ。私は話を聞くのが、お仕事だから。どうぞ」


「女の子の顔に、興奮するんです。嫌がる顔の中にも、微かな愉悦の表情が混じっているような・・・そんな部分のあるCGに、特に興奮するんです」


「他には、好きな、これが好きで、興奮する!みたいなのは、無いの?」


「・・・・・あります」


「話してみて」


「・・・・・・・・・・・」


「何でも話してみて。それでどうこうなるわけじゃない。この世の中に善悪なんて無い。あなたが、どういったものに、どういった反応をするのか、私は知りたいだけ。・・・話してみて」


「・・・・その・・・レイプシーンに、興奮するんです・・・・・・・・・・あの!二次元のですけどね!・・・大好きなんですよ・・」


「どういったシーンが好きなの?」


「女の子が、便座に縛り付けられて犯されているシーンに、興奮します」


「あなたは、そのシーンにおいて、どのような妄想をして、興奮するの?」


「・・・僕もレイプシーンで、自分も加わって、犯しているシーンで、興奮するんです。その時も、その犯している女の子の表情が重要なんです。なんというか・・・全てにおいて、負けているような、ドン底にいるというか・・・かわるがわる犯されている中、僕もその中で参加するんです。僕ぐらい、いいだろうって。みんなしているんだから、僕だっていいだろうって」


「なるほど。次に好きなシーンは?」


「触手に犯されている女の子に、興奮します」


「どんな風に興奮するの?」


「触手って・・・わかりますかね・・・男の男根そのものの、象徴だと、僕は思うんですよ。シンボル。男自体に、犯されている女の子は、他のシチュエーションとは違って、他の誰でもない訳なんですよ。顔が無い。肉体が無い。あるのは、ただ、男根である、触手だけ。そんな触手に犯されているわけです。言い換えれば、他の、顔だったり、声だったり、筋肉質の肉体だったり。その個性というか、要素の欠如によって、犯されている女の子は、僕そのものに犯されているという妄想を容易にするんです。ただ、触手だから、気持ち悪い。グロテスクだ。じゃないんですよ。もっと、本質に意味がある。僕はそう思うんです」


「なるほどなるほど。うんうん。最近はどう?ここ半年では?」


「それが、不思議とない・・んですね。義務的に抜いている感じです。半年前までは、一日に三回ほどマスターベーションを行っていたんですけど、ここ最近は一日に一回だけです。眠っているときに、むらむらしてしまうんですよね。抜かなかったら。多分、脳の中の中毒作用じゃないかって、僕は思ってるんですけど」


「なるほど。なるほど。つまり、ここ最近では、そういう過激なレイプシーンに対して、興味が薄れた・・・という感じかな?」


「ええ。不思議と。そうですね。はっきりといわれてみれば、その通りです。僕は最近、過激なレイプシーンに対して、興味が薄れたように感じます。・・・今改めて実感しました。そうですね。確かに、薄れてます・・・どうしてかな・・・・・」


「同じように、半年前から、あなたはナイトフルと、魔法カードによって、力を得て、その力を、人々のために、使い始めて、減り続けた・・・という事ね」


「・・・・そう・・かもしれませんね。よくわからないですけど」


「私から言わせてもらうなら、それまで、あなたは、女性に対して劣等感を、コンプレックスを持っていたんじゃないかしら?どう?」


「・・・・ありました。極力、他の異性には、近づかなかったし、喋ろうとしませんでした」


「他の?」


「ええ。幼馴染の女の子と、彼女のお姉さんぐらいには、よく喋ってました」


「もしかして、その幼馴染の女の子に、怖い経験や、暴力的な仕打ちを受けていた?」


「・・・・・・・・・・・・・・はい」


「なるほど。それが原因じゃないかしら?」


「でも、大昔の話ですよ?それこそ、小学校低学年の・・・」


「それでも、中学生の頃、彼女が他の異性と付き合っているのを知って、衝撃を受けた。そうでしょ?」


「・・・はい。その通りです」


「他にも・・・」


「他にも?」


「なんていうか、僕にはよく分からないんですよ。男には無い、生理っていうのもあるし、男とは違うし、男女の仲っていうのは、決定的に、生物学的にも違うじゃないですか。だから・・・怖いんですよ。知らないものが、怖いんです」


「だから、その怖さのために、女性に対して、コンプレックスを持っていると?」


「ええ。そう自分では思います。確かに、美鈴のせいで、暴力的な女性が怖いというのもありますけど」


「それでも、あなたは、美鈴さんのことが、好きだった。よね?」


「はい。幼い頃から、漠然とした感じでしたけど・・・」


「なるほど。子供の頃から一緒っというのが、一緒に時間を過ごしたという理由で、味方だと感じたり、家族だって感じたわけね?」


「そうです!そういう感じに近いですね。好きっていうよりは・・・でも、彼女が好きになった男の子と手を繋いでるのを見て、確かにショックだったんですよ!」


「それはそうだと思う。例えば、実の兄妹で、急に妹が、好きな男の子ができて、付き合い始めるのを、兄が目の当たりにしたとしても、そのお兄ちゃんは、ショックを受けるわよ。それは、当然の事だと思うわ。変化するっていうことは、戸惑ったり、ショックを受けるもの。それが、思春期である頃だったら、尚の事そう。あなたのも、きっと、そういう事なんだと思うわ」


「確かに・・言われてみれば、そういうものかもしれませんね・・」


「あなたは、誰にでもある戸惑いや衝撃から、負けて、女性に対してコンプレックスを持った。負けてって言い方も変ね。耐え切れず、ね。そのコンプレックスで、あなたの心の闇で、女性に対して、酷い目に遭わせてみよう、とか、グチャグチャにしたいっていう、心が表れた。その性的倒錯嗜好が、二次元へとはけ口が向かって、解消されて続けた。その闇は、恒常的に増加していった。最終的には、人間ですらない存在による、女の子への陵辱にまで発展していった。だけどあなたは、コンプレックスを克服した。だから、最近は、闇の声が無く、そういった欲求が薄れていったんじゃないかしら?」


「・・・・そうかも・・しれないですね・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「少しは、自分自身の事が、生理整頓できたかしら?」


「ええ。大分・・・そういうことなんだなって、思ったら、随分と楽になりました。ありがとうございます」


随分と、僕の頭は意識的に綺麗にふるい分けできたと思う。着て良かった。


「こういうのが、カウンセラーのお仕事だからね。はい。これが私の名刺。一応、特事のカウンセリングは行っているけど、基本はあなたの専属だから、何でも、いつでも、話したくなったら、電話でもいいから、話してね」


「ありがとうございます。ちょっと、心のもやが晴れたみたいです。すっきりしました」


「そう言って貰えると、嬉しいわ」


「本当にありがとうございました!それでは、失礼致します」


僕はドアから出て行く。着て良かった。最近は事有る毎に、顔がもやっとした感じになるけど、今回は、すっきりだ。僕は不思議な満足に包まれて帰路についた。

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