恐怖の悪魔
強くなりたい。僕はそう思った。悪魔の力がなくても戦えるようになりたい、楓を守れるようになりたい、あのブラックベアに勝ちたい、様々な考えが頭に浮かぶ。
僕が学園に帰っているとコツコツと誰かが後をつけてくる。そして僅かに感じられる緊張感があった。
僕は後ろを振り返るが、底には誰もいなかった。僕は少し怖くなり足を速める。しかし、誰かの足音も速くなる。
そして背後から僕の肩に手が置かれる。そして耳元で囁いてくる声があった。
「やぁ。こんばんは。」
吐息混じりの声。気味が悪かった。僕は咄嗟に攻撃した。しかし、そいつは僕の拳を軽々と受け止めた。
「酷いなぁ〜。いきなり攻撃するなんてさっ。」
目の前に立っていたのは人間とはかけ離れた生物だった。そう、悪魔だ。しかもただならぬ雰囲気を醸し出していた。
「君が死の悪魔くんの依り代?かぁ〜」
死の悪魔の事を知っているようだ。悪魔は軽々しい口調で僕に質問してくる。
「ブラックベアと戦ってみてどうだったぁ?」
いつから見られていのか、悪魔は僕とブラックベアが戦っていたのを知っていた。
「凄かったよぉ。まさかブラックベアを投げ飛ばすとはねぇ〜。」
悪魔は軽快なステップを踏みながらそう呟く。正直不気味だった。そして悪魔はこう言った。
「君が恐怖する所、見たいなぁ〜」
瞬間、悪魔は僕の腹部に手を置き、僕はいきなり吹き飛んだ。腹部は赤く腫れ上がり、立ち上がれなくなるほどの痛みがあった。
「耐久力は人間レベルなのかなぁ?死の悪魔くんはもっと強かったよっ!」
僅かな恐怖。ブラックベアとは違った強さ。抗うことのできない、無敵の敵だった。
「うっん〜この恐怖…最高の味だよぉ…」
今の僕ではこの悪魔には勝てない。つまり今取るべき選択は1つだけだった。それは逃げる事。
学園まで逃げれば朝霧朧がいる。そして朝霧朧ならこいつを倒せるかもしれない。
「逃げようとしても無駄だよ。君にはマーキングしちゃったから。」
僕は突如痛みに襲われる。そして腹部に矢印のような模様が浮かび上がる。
「君の居場所はいつでもどこでもわかる。だから逃げても無駄っ。」
───反則だろ…
この体力ではこいつからは逃げ切れない。しかも位置が常にばれている。つまりこいつは僕が一人の時を狙えるという事だ。
「でもなぁ〜このマーキングを使う必要はないかもなぁ〜」
悪魔は僕に近づき、頭をとてつもない力で握り潰そうとする。僕はひたすらもがいた。しかし悪魔の力に勝てるはずがなかった。
「あぁ〜…いい味だぁ〜…もっと恐怖してぇ〜」
僕は死ぬのだろうか。怖い、死にたくない。そんな恐怖の感情が僕を襲う。しかしそれは悪魔をさらに興奮させる。
「あぁぁぁぁぁあ…さいっこおぉ…」
僕はどうしたら生き残れるのだ。どうすればこの悪魔に勝てるのだ。必死に思考を巡らせる…




