到達点
僕は悪魔に頭を潰されそうになっていた。頭蓋骨にひびが入りかけている。このままだと脳が潰される状況だった。
僕は半分諦めていた。力も入らず、痛みの感覚も消えてきている。今までの戦いとは違う殺し合いに恐怖していた。
───風が気持ちいい…
風が優しく僕を撫でる。そして葉っぱが落ちていくのを目撃した。その時にふと疑問が頭をよぎる。
───なんで風で葉っぱは揺れるのだろう。
それは誰もが当たり前に思う事。そして当然のことだった。しかしその当然が、最適な動きだと僕は考えた。
悪魔が視界から消える。そしてほんの少し遅れて衝撃音が僕を襲う。これ以上に驚いたのは、僕の拳がさっきまで悪魔がいた場所に突き付けられていたことだ。
拳には微かに殴った時の衝撃のようなものが残っていた。そう、僕は悪魔に反撃したのだ。瀕死の状態で、無意識に。
───死にたくない。
死にたくない。生きたい。そんな考えが僕の頭に浮かぶ。まだ肉体も、精神も諦めていなかったのだ。戦えと言っているのだ。
「はは…」
薄々感じていた。僕は負けず嫌いだと。ブラックベアに負けたくないと思ったように、この悪魔にも負けたくないと思った。
勝ちたい。もう負けたくない。死にたくない。生きたい。戦う理由なんて単純なものでいいのだ。誰かを守るだとかは二番煎じなのだ。
闘いではなく戦い。僕は最初からこれを苦難ではなく勝ち負けで考えていた。
「やってやるよ…俺がお前を殴り倒してやるよ…」
心臓の鼓動が速くなるのを感じだ。興奮しているのだ。強敵との戦いに。死との戦いに。
土煙の中から何かが飛び出してくる。依然として俺の体は動かないままだった。しかし、最適な行動をすることにより、相手を叩き潰す力技。それが今の俺にはあった。
───"最適化"《オプト》ッ!
この力技をオプトと名付けることにした。オプトは最適化の意味を持つ。そしてこの力技も最適化の極致だ。この名前になるのは必然だった。
「なんなんだよ…その力は…」
地面に叩きつけられた悪魔がそう呟いた。俺は悪魔を見下ろしながら膝立ちしていた。
両者動けない状況だった。しかし、その静寂を打ち破るように俺の体は中高く舞い上がった。その瞬間、地面が抉れる。
「くらえッ!」
禍々しい炎が俺を吹き飛ばした。その炎は俺の意識を確実に殺した。俺は気絶したのだ。
「この高さから落ちたら確実に死ぬ…だろ…」
《死なせないよ。》
私は学園に着いた時に物凄い衝撃波を感じていた。急いでその場所に行くと雪が炎に焼かれていたのだ。
私は間一髪で雪を抱き抱え、すぐに消火した。雪は幸い気絶しているだけだったため、一命は取り留めた。
「なんなんだ…お前ぇ…」
凄まじい威圧感と共に恐怖が私を駆り立てる。そして悟る。この悪魔は6柱の1人だと。
「雪、後は任せて。」
身体が震えながらも私は悪魔に立ち向かう。恐怖を克服し、雪を助けるために立ち向かった。




