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外れスキル『文字喰い』から始める禁書の魔導師〜魔導書から誰も読めない禁書も喰らい最強へ〜  作者: 月影光貴


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第5話 ソラリスという人間

ソラリスメイン回

 湖の前で武器を背負い鎧姿のままストレッチをするソラリスと依頼人の男と会話するヴィヴィベル。


「それで何故、薬になる貴重な薬草原石があるとわかるのですか?」


「私の固有魔法です。……それより彼女は鎧のまま湖に入るつもりで? 大丈夫ですか?」


 重い鎧に衣類を着たままなら、普通の人間であればまともに泳げず溺死するだろう。


「大丈夫」


 でも、潜るだけでこの報酬……。受注されないから増額したとしても高すぎる。警戒するに越したことはない。


 ソラリスはそう一言呟くと、袋を手に湖へ歩き始めた。


「まあ、大丈夫だね」


「……え?」


「適応」


 困惑する依頼主をよそに、無言で水の上を歩き始めたソラリス。更に依頼主は困惑する。


「えぇ!? 何でそんなことが出来るんですか!? 聞いたこと無い力だぞ!?」


 依頼主はソラリスの事が何もわからないので慌てふためく。ヴィヴィベルは平然と眺めている。

 能力に驚かれて結局はあまり有名じゃないのかと、少しがっかりしたのか呟くソラリス。

 だが事実は冒険者や兵士などなら知らない人はほぼいない、遠方にもその名は轟いている。



「やはり、私は有名じゃないらしい……」


 そう言うと湖の真ん中で歩くのをやめてポチャッと沈んで行くソラリス。飛び込んだ彼女を見て依頼主は青ざめた。


「し、死にますって!」


 拳を握って縦に振りながら強く言う。


「大丈夫ですよ」


「なにが!?」


「昔からあんなです、彼女の固有魔法【適応】です。水中に適応して呼吸などが可能になって、極寒でも凍傷も凍死もしません」


 小さい頃からそうだった、彼女は潜ったら暫く上がってこなかったし、なんなら魚も何匹か取って帰ってきた。

 羨ましいよ、僕の固有魔法は結果オーライとしても普通に使う分には弱いと言うか無いに等しいし。


 そして、彼女のとてつもなく強い固有魔法に絶句して黙る男。


「だから溺れないんです」


「羨ましいですな……私は鉱石の位置がわかるだけですから」


「適材適所ですよ、実際それで今稼いでいるじゃないですか。それに()なんて文字を食べて消すだけですから」


 そう言いながら指を立てて振る。


「そ、そうですか」


 女性コンビだと思っていたが片方は男性だったのか……

 これが多様性……


「はい!」


 男が何を思っているか知らず、片手を上げて可愛げに元気に返事をするヴィヴィベル。


——————————————————


 一方で水底。


 ソラリスは泳ぐわけでもなく水中を闊歩している。髪だけが水流で(なび)いている。

 目当ての石をハルバードで殴って砕き袋に詰め終えた瞬間、巨大な魚型魔物が襲いかかった。


「遅い」


 やはり魔物が来たか。……っ!

 この魔物はDランクだぞ、あの男何を考えているッ。


 ソラリスはFランク依頼に釣り合わない魔物が出てきて怒る。

 だが冷静にハルバードで水流ごと魔物の胴体を切り裂く。

 しかし、2体目、3体目と現れた。


「邪魔」


 魔物の牙でびっしりの口を素手で掴むと怪力で顎を砕いて蹴り上げた。

 そのまま同時に片手で持つハルバードは魔物の横っ腹を抉っていた。

 

 そして距離を取りハルバードの持ち方を変えた。


「ソルナハルバードッ」


 武器は音を立てて変形し魔弾を放つライフルに早替わり。

 引き金を引くと水を切り裂き青い魔弾が走る。

 魔物の頭部を貫いた瞬間に弾の軌道が変わる。

 そして続けて横の魔物の頭部も吹き飛ばした。

 ソラリスにかかれば魔弾の操作など朝飯前だ。


 静寂。

 ソラリスは残りの石を詰めて、魔物の死体を持って浮上した。


「終わった」


 何事も無かったかの様に澄ました顔で上陸すると魔物の死体を投げた。


「お疲れ! アレ? これってDランクの魔物じゃない?」


「そうだ、この依頼はFランク。初心者が受けていたら死んでいたぞ」


 少し怒り気味に依頼主の男に詰め寄る。場合によっては死者が出かねないのだから無理もないだろう。


「わ、悪かった! 知らなかったんだ、原石も分けるし賞金も1.5倍にする!」


 慌てふためく男は誠意として金額を増やすと言う。

 それに強気に返答するソラリス。


「2倍」


「そ、それじゃあ私の儲けがない!」


「その魔物も売り捌けば良い、味は良いし頭部以外無傷だ」


「わ、わかった!1.7倍だ!」


 それに彼女は即答する。


「1.85倍、四捨五入切り捨てで良い」


「〜〜っ! あぁ! わかった! 仕方ない、要求を飲もう」


 そう言うと石を一部分けてもらい、依頼主の馬車に乗り町に戻ると大量の賞金を貰う。

 そして空腹を満たす為に町の酒場に入る。

 ソラリスはステーキを何枚も食べ、ぶどうジュースで肉を流し込む。

 ヴィヴィベルは水とサラダを食べていると、彼女が彼の皿に無理やり肉を乗せた。


「うわっ!? な、何!」


「背を伸ばしたいなら、そんな意識高い系みたいな味気ない食事はやめた方がいい」


 そう言いながら、今度はりんごジュースを飲み干したソラリス。性格に似つかわしくなく甘い物が大好きなのだ。


「わかったよぉ……」


 もそもそ肉を食べるヴィヴィベルだった。

 彼はあまり量を食べないタイプ、だから背が伸びないのだろう。

 そして2人は酒場に金を払い宿に向かう。


「いらっしゃい! 部屋は何部屋で?」


「2部屋……」


 それ遮るソラリス。


「1部屋、安いダブルベッドで」


「え゛っ!?」


 彼は変な声を出して驚く。唖然としていると部屋が決まってしまい、2人は部屋に入る。


「ぼ、僕と添い寝する事になるけどいいの!?」


「安いから。風呂に入ってくる」


 そう言うと魔力を流すと壁の魔法陣から水が出るタイプの浴室に行った。

 浴室から出てくるとめちゃくちゃ派手な下着姿で出てくる。

 その上、引き締まった身体に似合わぬ豊かな胸、大きな尻、しなやかな太もも。究極の肉体美だ。

 顔の良さも相まって求婚された回数は数知れず。そして断り続けた回数も数知れずだ。


「うわああ!? 服着てよ! ぼっ、僕も入ってくる!」


 顔を赤くして顔を逸らしながら浴室に逃げていくヴィヴィベル。


「……少しくらい、いや、もっと反応すると思った」


 ソラリスは顔を赤らめて呟く。

 

 そして夜になり眠ろうと2人添い寝で背中合わせて寝転がる。

 ヴィヴィベルはずっと気になっていた事を問う。


「本当に僕に着いてきて良かったの?」


「幼馴染だから」


「それだけ?」


 少し沈黙。ソラリスは静かに答えた。


「……大切だからだ。それ以上必要か?」


 ヴィヴィベルは少し照れくさそうに答えた。


「……ありがとう」


 そう言うと眠りについた。それに気づくとソラリスは向きを変えて彼を抱き寄せて一言。


「意気地なし……」


 その呟きは、眠るヴィヴィベルには届かなかった。

 少しだけ頬を赤く染めながら目を閉じた。


 魔法でランタンの火は消えた。



————————————————


 一方、その頃。神殿では黒衣の男達が跪く。


「継承者は旅へ出ました、狙いが自分だとわかって町を守る為に出て行ったのでしょう。……町を滅ぼしますか?」


「そうか。いや、滅ぼさなくて良い。怒りが禁書の力にどう作用するかもわからないからな」


 玉座の人間は立ち上がり指示をする。


「回収部隊を送れ。必ず第1の禁書を奪還せよ」


 その言葉を皮切りに教団は動き始めたのであった。

身長も胸もケツもデカい恋する乙女。

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