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外れスキル『文字喰い』から始める禁書の魔導師  作者: 月影光貴


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第3話 謎の教団と旅立ち

教団はアットホームな職場です。

 拘束された男は兵士達に囲まれてもまだ喚き続ける。


「どうやった! 禁書を読み解くのにどれだけの力が必要だと思っている! 教団の力を持ってしても……」


 教団というワードが引っかかり質問をするヴィヴィベル。


「教団?」


「そうだ……!」


 男は狂気に染まった顔で笑う。


「7冊の禁書はいずれ我が教団の下に! 残る6冊の禁書も、お前が持つ1冊目もいずれは手に入れるッ!」


 そうニヤッと笑うと黒い魔法陣が地に現れ、男は沈んでいく。


「転移魔法!?」


「禁書の伝承者……貴様を必ず迎えに行く」


 男の逃亡により戦いは完全に終わった。町長や兵士達は彼と彼女を讃えた。


「君たちのおかげだ!」


「えへへ、そんな事は……」


 いざ褒められると照れちゃうな〜!!

 アレ? 視界が……


 その瞬間、視界がぐるっと回り倒れた。

 身体の奥が空っぽになる感覚がした。手足どころか指や(まぶた)すらまともに動かせない……

 ソラリスが駆け寄り必死に声をかけるが届かず気絶してしまう。

 次に目を覚ますと自宅のベッドの上で、ソラリスが隣で武器のメンテナンスをしていた。


「ソラリス……?」


「起きた! やはり無茶し過ぎよ」


 クールな横顔が一瞬柔らかく感じる。


「ごめん……」


「ふふっ、無事で良かった。あとご両親には全て伝えてあるわ」


 その話声を聞いたのか2階のヴィヴィベルの部屋に両親が入ってくる。


「起きたか! 話は聞いたぞ」


「目を覚ましてくれて良かったわ」


「父さん母さん! ……心配かけてごめん。でも僕やりたい事が……」


 そう伝えようとすると父が遮って言う。


「その目を見ればわかる。我が子だからな」


「……うん、旅に出ようかなって。この力を得たからには理由があると思うんだ! それに禁書の事も知りたい!」


 それにここに止まれば教団の襲撃が続いてしまう。

 僕が去らないと町が滅びかねない……


 その心の内を見透かしたように父は言う。

 

「お前は優しい子だ、絶対に生きて帰ってこいよ」


「うん!」


 そうして1日が終わり、翌日旅立ちの準備を終えて玄関で別れの挨拶をする。


「お金は持った? 食料も?」


 母はすごく心配そうに言う。僕は恵まれているな。


「大丈夫!」


 まあ少し不安だけどね。成人もしてないのに1人旅とか、やっぱり無茶かなぁ……


「まだ背は伸びるはずだから、ちゃんと食事は抜かず食えよ。行ってこい!」


「うん!」


 僕163センチしかないからね……ソラリスは180センチもあるから羨ましいよ……


 こうしてヴィヴィベルはこの春、旅を始めるのであった。

 少し歩き町の門に着くと、門に寄りかかる見覚えのある顔がいた。


「ソラリス!? 別れの言葉をわざわざ言いに来てくれたの!?」


「違う」


 髪をファサァとしてクールに立つ。


「へっ?」


「護衛。同行するわ」


「ご両親は?」


「好きな事をしろって。あと私は別に兵士でもない普通の冒険者だから着いて行けるわ」


 わざわざ同行してくれる優しさに胸が熱くなり、彼は少し嬉し泣きする。


「ヴィヴィベル=ローゼンドルネンに涙なんて似合わないわよ、ほら行きましょ」


「本当にありがとう!」


 僕の手を握って彼女は門を潜り抜けた。

 僕達の長き旅路と戦いの始まりだった。


————————————————


 一方でその頃、巨大な神殿では無数の黒いローブが跪く。

 1人の幹部が報告する。


「第1禁書が目覚めました」


 玉座に座る人間が目を見開く。


「継承者は?」


「正体不明の赤髪の少女です。それも会得済みでした」


 回収された教団員はヴィヴィベルの容姿を丁寧に伝えていた。それ故の大きなミスを犯す、性別の誤認。

 彼の声が高く顔立ちが整いすぎて性別を見誤ったのだ。


「……馬鹿な」


 空気が凍りつく。


「子供、それも女が禁書を読み解いたのか?」


「そうなりますが、あり得ません」


「絶対に辺境の町の少女が成せる偉業ではありません」


 男達の報告に、玉座の人間がゆっくりと立ち上がる。


「ならば、その少女を回収しろ」


「はっ! 残る6冊も我らの手に」


 黒衣の者達は一斉に頭を垂れる。


 禁書を巡る戦いが、静かにしかし着実に進み始めた。

アンジャッシュしている教団サイド。

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