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列車
列車に人が乗っていく。
それをぼーっと眺めながら、じっと彼らを見送っている。
まだ私の切符は時間じゃない。
だから彼らを見送った。
知らない彼らを見送った。
いつか向かう道だとぼーっと静かに眺めている。
隣の君が立ち上がった。
列に見知った顔が見えた。
頭がサッと冷たくなった。
列車があちらに向かって走り出す。
嫌だ、お願い行かないで。
列車は無情に走り出す。
泣いて叫んで、願っても。
列車は構わず進んでく。
愛してるは結局ただの飾りだ。
君はどれだけ私を愛していたとしても、一番悲しんでいる時に私を置いていく。
列車は遠くに見えなくなった。
見えぬ君は、物言わぬ記憶になった。
彼を乗せた列車は、いつも見ていた列車だった。
同じ列車がまた誰かを迎えに来た。
――それが悔しかった。
君が誰かとまったく一緒なんて、腹が立ってしまった。
ひどいな、私はなんてひどいんだろう。
君が恋しくて仕方ない。
涙の跡を残したまま、私はベンチに座り直した。
また隣に誰かが座った。
億劫そうに切符を眺めていた。
彼の頬にも涙が伝っていた。
ふと彼は私を見やった。
「あと何回、あなたは泣いてくれますか」
私は悩んだ、だけどこう言わなくてはと、決心がついた。
「何回でも」
泣けなくなるのはもっと嫌だ。




