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勇者と従者と魔王と②

 カタカタと音をたてながら銀色のスケルトンたちが魔法陣から次々に湧いて出てくる。同じように青いゾンビも這い出てきた。


「うぇ、あれって、もしかして全部Cランクか?」


「そうみたいだね」


「マジかよ。リッチーも本気だね」


 俺が顔を引きつらせながら次々に魔法陣から出てくるそいつらを見ていたら、ステフが「あのさ」と声をかけてくるので、俺は「どうしたの?」と聞く。


「リッチーおじさんは私に任せて」


 ステフがそう言うので、俺はステフを見ながら『大丈夫?』という言葉を飲み込んだ。


 これは愚問だろうね。


「ポチたちはあれの相手をお願い」


「仰せのままに、勇者様」


 決意のこもった目をするステフに俺がそう答えると、ステフは「なにソレ?」と笑う。


「俺は勇者ステファニーの従者(仮)だからね。ステフがリッチーを倒すまで、あの雑魚どもは俺たちが抑えてみせるよ」


 近くに来ていたタマとジローも「任せて」と言う。


「それからステフ、これを使って」


「えっ?」


「このシミターは魔力を込めれば、リッチーの闇を吸い取れるから」


「でも、それだとポチが」


「俺は大丈夫だよ」


 そう言って近くに落ちていた人の頭ほどの石を拾うと『鬼門開放』をおこなって、両手で頭の上に持ち上げてから全身を使って投げた。


 ビュン! 


 加速した石が、アンデッドたちにぶつかる。


 バァン!


 そして、着弾地にいたシルバースケルトンを中心に周りにいたアンデッドたちが勢いよく弾けて、さらに周りにいたシルバースケルトンやカダベルたちも倒す。


「すごいね。それはなに?」


「忘れてたけど『砲撃』」


「『砲撃』?」


「まぁ、そんなわけでこっちは大丈夫だから」


 俺がそう言ってシミターを渡すと、ステフが呆れ顔になった。


「ポチは本当にわけわかんない」


「あのな、お前にだけは言われたくないよ」


「なんでよ!」


「いいからステフはさっさとリッチーを倒してやれよ。律儀に待ってくれてるよ」


 俺が指さすとリッチーはプイッと横を向いた。ステフが「わかった」と走っていくので、俺はそれを見届けてからタマとジローに「お待たせ」と声をかける。


「はいっす。それでどうするんすか?」


「うん、チートな2人なら余裕だと思うけど、今回は全部Cランクだし、量もどのぐらい出てくるのかわからないからね。安全に『砲撃』で倒そうと思う」


「「わかった」っす」


「じゃあ、まずはやつらがクレーターから出てこれないようにジローが周りの土を盛り上げて壁を作ってくれる?」


「フガフガ」


 うなずいたジローがクレーターの周りに壁を作り始めたので、俺は目の前に作られた壁に飛び乗る。


「そしたらタマは少し離れたところから『ファイヤーボール』でやつらが壁を上がって出て来れないように牽制してくれる?」


「はいっす。それでアニキはどうするんすか?」


「うん、俺はジローの壁ができあがったらその中にどんどん岩を放り込むから」


「えっ?」


「よし、じゃあ、岩を集めてくるから、離れたところからよろしくね」


「わっ、わかったっす」


 タマがうなずくのを確認して、俺は森の中に転がっている岩を持ち上げてひとつずつ運ぶ。ジローより大きな岩を5つほど運ぶと、ジローがきた。


「アニキ終わった」


「うん、ありがとう。じゃあ、とりあえず投げてみようか? ジローは後ろにいてくれる?」


「フガフガ」


 ジローがうなずくので、俺は一番小さい岩を背負うと、勢いをつけた。


「よっこらせっと」


 飛び上がってグッと全身を使って前周りしながら岩を空に向かって思いっきり放り投げる。


 ビュン!


 俺に投げられた岩が青空に打ち上がって、途中で重力に負けて落下を始めた。ジローが造った壁を飛び越えてクレーターの中に吸い込まれると、ドカァーン! と音がして、衝撃波でジローの造った壁の上部が少し削りとられた。


「どうだろう? いい感じかな?」


「フガ、わかんない」


「そうだね」


 俺がジローにうなずいて「とりあえずもう少し投げてみようか?」と聞くと、ジローが「フガフガ」と答えるので、俺が次の岩を持ち上げるとタマがきた。


「うん?」


「あのぉ、アニキ?」


「どうしたの?」


「えっと、終わったっす」


「終わった?」


「はいっす」


 タマがうなずくと、クレーターの中がまた眩しく光った。


「また出てるんじゃない?」


「そっ、そうっすね」


「よし、もう一度投げてみよう」


 俺がさっきと同じように岩を打ち上げる。するとしばらくして岩がクレーターに吸い込まれていった。


 ドッ、ドッカーン!


 音と共に広がる衝撃波が壁の上部をさらに削ると、しばらくしてまたクレーターの中が光る。


「また出たのかなぁ?」


「どうっすかね?」


「まぁ、いいか。もう一度投げてみよう」


「そっ、そうっすね」


 そんな感じで繰り返して、最後の1個を投げると今度はクレーターが光らなかった。


「うん? 終わったのか?」


 俺たちが首をかしげながら壁のほうを見ていたら「ポチ」と声をかけられたので振り返る。


「ステフ?」


 俺が声をかけると、傷だらけのステフがニンマリと笑った。


「倒したの?」


「ごめん、負けちゃった」


「「えっ?」」


 俺たち3人が驚くと、ステフがその場にドサリと倒れた。

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