表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/97

リッチ②

 ボワァとリッチーが闇をまとった瞬間に、俺が「下がれ!」と叫んで、俺たち3人は後ろに大きく跳ぶ。だけど、ジローがリッチーが放った黒い塊に吹き飛ばされた。


「ジロォォォォォォ!」


 着地と同時にタマは火をまとって『ファイヤーボール』を浮遊させる。


 ドォン! 


 飛んでくる黒い塊と『ファイヤーボール』の1つがぶつかり合って破裂した。


 タマが「グッ」と声をもらして『ファイヤーボール』を連射すると、飛んで来る黒い塊とバンバンと当たって均衡を保つ。


「タマ、大丈夫?」


「大丈夫っす。今のうちにジローを」


「わかった」


 俺が「ジロー、大丈夫?」と駆け寄ると、ジローは「フガフガ」と鼻を鳴らして笑ったが、派手に吹き飛ばされていたから大丈夫じゃないね。


 直撃を受けた場所は火傷したようにただれて、血が出ていた。


 俺はカバンから出したポーションをかけて、ジローの傷が治っていくのを確かめる。


「ジロー、大丈夫?」


「フガ、ありがとう、アニキ」


 ジローがほほえむので、その頭をなでてからタマを見る。


「本気でやらないとこっちが殺される」


「でも、どうしてっすか? なんでリッチーさんがこんなことを?」


「わからない」


 俺はそう言って首を横に振る。


 リッチーの考えはわからないだけど、本気でやらないとやられるのは間違いない。


 迷っている場合じゃないね。


 俺はシミターを抜いて、タマの『ファイヤーボール』に近づけた。ボッとシミターが火をまとったので、俺はリッチーに向かって走り出す。


 飛んで来る黒い塊を斬ると塊は霧散した。


 すると、リッチーが「やるじゃないか」と笑って、それから黒い塊を俺とタマに飛ばしながら地面に手をつく。


「おぞましき悪魔よ。地の底より怨嗟の手を伸ばし、愚かなる神の下僕に闇を、我が敵を縛りつけよ『ウンブラ・マヌス』」


 リッチーが詠唱を終えると、シャーッと地面からいくつもの黒い手が伸びる。俺がそれを避けて、ブワッとシミターを振るうと、黒い手を火が打ち払った。


 次々に避けては斬る。すると、俺の握るシミターにまとわりついていた火が黒く変わった。


 うん?


「なんだと!」


 リッチーが叫ぶ。


「なにコレ?」


 俺がシミターを振るいながら首をかしげると、リッチーはカタカタカタカタと笑った。


「それは『インフェルノ』悪魔を焼く火だよ」


「『インフェルノ』」


「いいぞ、君は本当にいいよ。ポチ」


「うん?」


 リッチーがまとう闇が一層深くなると「フガァァァ」と言ったジローがリッチーを弾き飛ばした。


 ドォン!


 リッチーが森に飛び込んで、木々が周囲に弾け飛ぶ。


 そこにタマの『ファイヤーボール』が次々に叩き込まれたと、バンバンと弾けて周囲の木に火が移る。黒い煙が立ち登り始めたが、リッチーが「甘い!」と跳び起きて『ファイヤーボール』ごと周囲の火を吹き飛ばした。


 黒い闇をまとうリッチーが俺たちを見て「本気で来い!」と叫ぶ。


「殺す気で来ないなら俺がお前たちを殺す!」


「なっ、なんで?!」


「冥府の門の話は聞いたのだろ? 冥府の門には門番がいる。そんな決意では門番を倒すことなんてできないぞ」


「それはわかるけど、それでなんでリッチーを殺す気でやれって話になるのさ?」


 俺が聞くとリッチーは「どうした?」と首をかしげた。


「『どうした?』じゃないだろ? ちゃんと説明してよ」


「俺を倒すこともできないのか? では俺がタマを殺すぞ」


 俺がギッとにらむと、リッチーはカタカタ笑う。


「ほら、どうした? 愛する者のためなら、世界を敵に回せるのだろう? その覚悟を俺に見せてみろ!」


 ニヤリと笑ったリッチーが両手を前に出した。


「おぞましき悪魔よ。地獄より深き闇、魂が救われることなき闇に、愚かなる神の下僕を引きずりこめ『デスペリア・アルカ』」


 俺たちの足下の地面にブワッと闇が広がると、俺たちは跳び上がったけと、タマが黒いキューブに包まれた。


「タマ!」


「どうする? 時間がないぞ!」


「この野郎!」


 俺は着地と同時に地面を蹴った。


 魔力でグゥーンと加速してリッチーに迫る。リッチーが飛ばして来た黒い塊を斬り裂いて、リッチーに迫ると俺の足元から黒い手がバァーッと飛び出して来た。


 一番初めに伸びてきた手をシミターの腹で弾きながら飛び上がって、シミターで斬り裂きながらそれらもすべて避ける。


 リッチーが後ろに下がりながら飛ばして来た黒い塊も弾いて、俺は再び着地と同時に前に出て、逃げるリッチーに追いすがった。


 グッと歯を食いしばる。


 心臓はドクドクと脈をうって『タマが闇に包まれてどのぐらい経った』と俺を煽る。


 ドガドガと黒い塊が体をかするが、気にせずに前に出た。


「捨て身か? それではなにも救えぬぞ」


「うるさい、黙れ!」


 俺が叫んだとき「フガァァァァァァ!」とジローがリッチーに突っ込んだ。


「グゥ」


 リッチーの体勢が崩れた瞬間に、俺のシミターがリッチーの首に届いた。と思ったのだが、黒い塊を腹に受けて、俺の体が大きく後ろに吹っ飛ぶ。


「甘いな」


「フンガァァァァァァ!」


 ジローが再び体当たりをしたが、リッチーは「そればかりか?」とひらりと避けて、ジローの脇腹に黒い塊を打ち込んだ。


「やめろぉぉぉぉぉぉ」


 ガゴッと音がして、ジローが「ケブゥ」と血を吐いた。


「ジロー!」


 ドスンとジローがその場で横倒しに倒れると、リッチーは俺を見た。


「ほら、お前の覚悟が足りないからジローも死ぬぞ」


「きさまぁぁぁぁぁぁ!」


 俺がそう叫ぶと、シミターがまとう黒い火がボワッと燃え上がる。


 そこからもリッチーの攻撃を避けて、俺はシミターを振り続けた。だけど、リッチーに俺の攻撃は届かない。


 リッチーが俺の胸に手をおいた。


「まだ、ダメだな」


 そう呟いた瞬間に俺は後ろに大きく吹き飛ばされた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ