18 生きれば生きるほど
今日は無月が家に来てくれた。無月を迎え入れた私はわくわくが止まらなかった。何故かというと……
「春海、誕生日おめでとう」
「ありがとう、無月」
ホールケーキは大きすぎるし、家族とのお祝いでも食べるだろうからと無月は1ピースずつケーキを買ってきてくれた。ピンクのクリームのショートケーキはとても可愛くて、思わず頬が緩んだ。嬉しくて一口ずつ味わって食べる。甘酸っぱいクリームとふわふわのスポンジケーキの相性は抜群だ。ふと、無月がじっと私を眺めているのに気づく。
「無月、どうしたの」
「ねえ春海、2月26日の誕生花って知ってる?」
「え、知らない」
「今日はね、スノードロップ、フクジュソウ、ローダンセが誕生花なんだって」
「そうなんだね。フクジュソウしか見たことないな。幸せの黄色いお花」
「そっか。ちょうど今頃咲いてるよね」
確か家の庭のフクジュソウが今年も咲いていた。妙な間をあけて、無月がまた口を開く。
「花言葉は知ってる?」
「ううん、教えて。スノードロップは?」
「希望、慰め、逆境の中の望み」
「フクジュソウ」
「幸せを招く、永久の幸福、悲しき思い出」
「ローダンセ」
「……変わらぬ思い、終わりのない友情」
「そうなんだ。どれも素敵だね」
「……うん」
無月が何やらごそごそとしている。それになんだかそわそわしている気もする。不思議に思っていると、無月は目の前に可憐なピンクの花束を差し出した。
「無月、これ」
「ローダンセだよ。ローダンセのドライフラワー。どうしても春海に捧げたかったんだ。……変わらぬ思い、終わりのない友情を」
「無月……」
感動して、受け取ってから見惚れてしまう。可愛らしい花々、そこに秘められた意味達。時が経つのを怖がる私に、時が経っても変わらないものを贈ろうとしてくれた無月の気持ちが何より嬉しくて、思わず泣いてしまった。涙声でありがとうと言うと、無月は少し悲しげに微笑んだ。




