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9.身から出た錆?

思ったより儚がよく動いて、困惑している作者がいます。

本来一話で終わらせようとしていたのに、暁 (かつき)が絡んだことにより余計に長く(汗)。

また、儚視点でしばらく内容自体は進みませんが、宜しければお付き合いくださいませ。


不思議なおせっかい男に会ってから、まさか説教をするためにまた来ることは無いと考えていたのだが、甘かったようだ。その証拠に、初めて会った翌日も同じ公園でお弁当を食べていたら何が楽しいのかまた、かつきが近づいてきたのだ。


あれからほぼ毎日やってくるため、正直困惑していた。

会いたくなければ場所を変えればいいのだけれど噴水が目の前にあるここは適度に涼しくて気に入っている為、どうしても離れがたい。

何より、それでは私が負けたようで悔しいという気持ちもあった。せめて彼のほうが近づいて来ないでくれれば楽なのに、変な生き物に懐かれた気分だ。


「おっ、今日もおいしそうな弁当だね。

 ただ、少なすぎないか?俺だとその弁当5、6個いけそうだ」


カラカラと笑いながら、彼はかつきはまたパンを食べていた。コンビニの袋なのだしパン以外も買えばいいのに…。つい口に出していたのか、かつきに初めて言われたとまた笑われてしまった。いや、何故そこで笑うのか分からないのだけど。


「俺はいつ飯にありつけるか分からないから、どこでもすぐに食べれる物を選んじゃうんだよ。その上、社食や定食屋とかも時間がないと混んでて面倒だし」


そんなに忙しいのだろうか?ただ、何故か言い訳のように感じてしまうのだが。

せめて、総菜パンとかにすればちょっとは違うだろうに、いつも彼が持っているのは菓子パンなどのほとんど野菜のないものばかりだ。甘党だとしても、これが毎日だと糖分を取り過ぎているだろう。


「―――もしかして、野菜苦手なんですか?」


「……」


私が問いかけた途端びくっと彼は体を震わせ、表情も固まっていたから当たりなのだろう。それにしても、分かりやすすぎる…。

はぁーっと溜め息をつき、私はおもむろに野菜の肉巻きを差し出した。


「いっ、いや別に嫌いなわけじゃないから…」


「人にはきちんと食べろと言いながら、自分は偏食ですか?」


言外に、四の五の言わず食べろと伝える。顔が思いっきり引きつっているが、私の知ったことか。おせっかいを先に始めたのはそちらが先だ。


しぶしぶ口を運んだ彼の瞳が、驚きに見開かれたのにひっそり満足しながら、自分の箸を進める。私の母はなかなか料理がうまく、特におしゃれな料理を作る訳ではなかったが、ありがたいことに私が好き嫌いをしない位には料理上手だった。

ゲテモノや見た目が頂けない料理以外は、たいてい食べれる。…まあ、だからこそ食に関心を持っていないのかもしれないが。あの時は、家族で和気あいあいと食べていたからおいしかったのだ。


私も、そんな料理上手な母の技を少しながら教えてもらっているので、この肉巻きには自信があった。


「う、うまい!野菜なのにうまいなんてありえない」


そんな事を考えていると、どれだけ野菜嫌いなんだと言いたくなるセリフが聞こえてきた。

その上、「こんなうまいものを残すなんてありえないと」言った後、ほうれん草を包んだ、卵焼きを勝手に食べだした。人にご飯を食べろと言いながら、奪わないで

いただきたい。


普段はそこまで騒がしくないのに、わぁーわぁー言っている彼に、ふたたび溜め息が出てしまう。…静かなのが好きなのに、彼と話しだしてから家に帰って夕ご飯を食べるのが、前より辛くなった気がする。


聞いた話だが、彼は私の会社と近いところで働いている上に、取引先ということで何かと私の会社でも顔が知れているようだ。それで何が悪いって、女性たちの目が厳しくなるのが怖いのだ。私は無関係だと言いたいのだが、こんな風に二人っきりでご飯を食べていたら、否定しても聞いてくれないだろう。


女の子は怖いのだ。たとえ男性から寄って来ていても、きちんと断らなければ「実は気があるんじゃないかと」言われ牽制をしていないとすぐに「調子に乗ってると」言われる。



さいわい、その手のことで苛められるようなことは無かったが、女性がいれば必ずそういう事は起こる。しかも、聞いた話の中には彼を狙っている人がうちの会社でもいるのだと言うから油断はしないに限るだろう。

そんな事を考え出すと端に座っていたベンチを、さらに端に移動してしまう。



私の気も知らずに「また料理食わしてねと」笑う彼に、自分でお節介を焼いてしまったとは言え、若干の怒りを感じずにはいられなかった。




儚は、結構世話焼きでしっかりしている子です。

その為、お節介にお節介を返しただけのつもりでしたが、思わぬ

墓穴を掘ってしまったことに気付き、へこんでます。

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