表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/26

2.兆し



―――同棲しだしてからも。

はかなはいつも、かに怯えているようだった。何故そう思ったのかはわからない。ただ、何かに怯えていることだけは感じ取れた。

確かなのはそんな儚に気付きながら、俺は何もしなかったということだけだ。


いや…出来なかったというべきか。




前に一度、夜中に目が覚めて水を飲もうとリビングへ行くと、小さな音が流れているのに気づいた。よくよく耳を澄ますと、それは聞いたことのある曲だった。

俺と儚は、彼女が一人になる時間も必要だろうと別々に休んでいるため、彼女が起きているのかと、気軽に思っていた。一度、とある理由で彼女が倒れてから…なるべく負担をかけないようにと考えた結果だ。

部屋のなかをのぞくと、予想通り彼女がいた。だが、暗闇のなかで儚が毛布にくるまって震えているのが見える。


この寒い中、暖房もつけずにいるのだから当たり前だ。しかし、暗闇の中で歌を口ずさむその姿に、どこか俺は違和感をおぼえ儚にそっと近づいた。




「儚……?」


声をかけると、びくりと身体からだを震わせた。

その様に、先程感じた思いは間違っていなかったのだと確信を深める。やっぱり、おかしい…声をかけたのにも関わらず、なにも答えない。


「…儚?眠れないのか?」


恐る恐るといった様子で、俺は儚の横に座った。

こんなことは正直初めてで、戸惑っていたのだ。何か眠れなくなるようなことがあったのだろうか…。


顔をそっとのぞき見て、彼女の顔に光るものを見つけ驚いた。どうして泣いているのか理由もわからないまま、思わず儚のことを抱きしめた。

しかし、そんな俺の行動に彼女はまた一瞬大きく震える。


「いっ…いや!!」


儚は弱弱しく抵抗したが、そんな事も気にせずに俺は儚を抱きしめ続けた。

こんな風に拒絶されるのは初めてで、どうして…そして何におびえているのか考える余裕もないまま、彼女を放す事は出来なかった。



けれどその晩、最後まで儚の身体から緊張がとけることは無かった…。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ