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19.ダブルベッド

サブタイトルが…。

いや、今まで暗かったので、能天気な雰囲気が伝われば何よりです。

皆様の箸休めになれば成功です。


朝、目覚めると儚が隣にいることに安心した。


彼女と同棲していると言っても、同じベッドで目覚める事はあまりなかった。

同棲しだしたのは儚が倒れたのがきっかけで。人間不信になりかけている節があるとのことだったため、寝る時まで傍にいると安らげないと考えたのだ。

そのため夜を共に過ごしても、朝まで共にいることはまずなく、一人の時間を持てるようにと気遣っていた。儚の体を、心を一番に大事にしているのだと証明したかったのだ。


俺は「体だけを目当てに彼女と同棲しているのではない」と伝えたかった。



本当は、一日中彼女の傍にいたかった。

…これからの約束を口にした事はないけれど、ずっと共にいるのだから焦る必要はない。それだけを支えにすれ違いの生活にも耐えてきた。


倒れてからの儚は、まるで周りを拒絶するようによく眠った。だから、俺の仕事が忙しくなればなるほど、彼女と話す時間は減っていた。

ほんの少し、俺の帰りを寝ずに待っていてほしいと思ったこともあったが…。寒いリビングで待ち切れずに眠っている姿を見つけてからは、むしろ先に寝ているようお願いするようになった。




―――それでも、これからは遠慮しなくてもいいのだろうか?


俺の腕の中でも安心して眠ってくれるようすを見ると、寝室を分けていた事が無駄に思えてしまう。

こんな風に、毎朝ともに目覚めることが出来れば、幸せだろう…。起きている彼女に逢えなくても、寝顔を毎朝見る事が出来れば満足できる気がする。


今日にでも、ずっと欲しかったダブルベッドを買いに行ってもいいだろうか?

…欲が出てしまっているのは分かっているが、儚が許してくれるのならずっと傍にいたい。

今はまだ早いかもしれないが、近いうちにベッドを新しくしようと心に決めた。






俺は早速、儚が喜びそうなデザインを下見だけでもしようとネットで探しだした。眠っているとはいえ、彼女と離れたくなかったので、ベッドまでノートパソコンを運んできて、儚の横で寝っ転がりながらデザインを眺める。普段、仕事をするためだけに使っているようなものなので、『儚との生活のために』活用できると思うと、それだけでうれしく思えた。


知らず知らずに頬が緩んでいたのだろう。

寝ぼけ眼の彼女が「なに、嬉しそうな顔してみてるの?」と聞いてきた時は本気で焦ってしまった。すぐにでも寝室を一緒にしたいと言いたいのだが、彼女にとってはどちらがいいのかまだ分からない。このことはもう少し時間を置いた方がいいだろうと俺は適当に質問をはぐらかし、パソコンを閉じた。



まだ、問題が解決したわけではない。でも、俺は昨日までとは違いどこかすっきりした表情になった儚に安心するあまり、早期に解決することを諦めた。それで前に後悔したのにもかかわらず、俺はこの問題がどれだけ深刻なのかをよく理解していなかったのだ。



その日の夕方、俺は久しぶりの休みを満喫し。

儚と近場のスーパーまで買い物に来ていた。あの時はまだ、買い物帰りに突然意識を失い、病院に運ばれることになるとは思いもしていなかった―――。






続きは、第三者目線でお送りします。

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