会おう合おうあおぉうっ
強敵。この世界で初めて出会う、命を懸けても敵うかどうか分からない程の相手。
「ここは、私ひとりだけの世界だ。他の者は全て私が殺した。あなたの訪問を歓迎する。ずっとずっと誰かを、いや、あなたを、待っていた。さあ、殺し合おう」
「分かりました。殺し合いながら質問してもいいですか?」
殺意全開爆発ドカーンチート。あらゆる毒や呪い付き。無効化され百倍に返された。なるほど。本気でこい、と。
「いいだろう」
「あなたの世界の始まりについて覚えていますか」
「無論。初めは375名居た。全員が他者を殺す衝動の中でしか生きられない同胞たち。そして私が生き残った」
「その後はどうしていたんですか」
「夢想の内で殺し続けた。必ずいつか殺し合える強者と出会えると信じていた。やはり正しかった。あなたと出会えて、嬉しいよ」
「それはどうも」
ここはどういう世界なんだろう。殺し合いは良いとして、補充もされないなら想像を絶するほど寂しい世界だ。
「他所事を考えるとは余裕だな。素晴らしい。あなたは私が渇望し続けた以上の、最高の相手だ」
「そりゃども」
三界到達で半分永命になれた。だったらこの世界……という言葉の定義が難しくなってきてるが、この世界の全体像を明らかにできれば、それが永命化の達成条件なんじゃないか。
と、確かに色々考えてる余裕はないかもしれない。強い。けた外れに強い。気を抜けば、死ぬ。
レーザービームを撃ってみる。遊んでるわけじゃなく一点集中の超高速攻撃として一応考えたんだけど、ダメダメだ。
足りない頭で考えても厳しい。押されている。このままだと本当に死ぬ。せっかく半分永命になったのに、こんな所で、いやどんな所でも死にたくない。
だったら死にたくないチートだ。死にたくないという本物の意志だけを込めて、後はチートに全て丸投げする。
俺の頭では思い付かない動き、攻撃、フェイント、不意打ち。
「がはっ、はっ、はぁっ、ははっ、見事だ。ああ、素晴らしい。私が求めたものが、やっとやっとここに……。愛しているよ、あなたを愛している」
「りゃど……ぜっ……はっ……」
彼女の拘りは理解できないが、拘りへの意志の強さには尊敬を覚える。俺は天界があったから最高のハーレムに溺れ、この世界では何か出来そうだから永命を望んだ。彼女は「同胞たち」を殺し尽くした後、決して満たされる事も無く微かな希望も見えない中、殺す為に生きるという在り方を意志の強さだけで保ち続けた。凄いと思う。
でも、いや、だから、殺す。
「最高だ。私は、今この瞬間の為に生まれてきた」
「セックスに興味はないんですか!」
「あなたの心を覗いてみたが理解不能だ。だが尊重しよう。私の死体なら好きにしても構わないよ」
「そりゃ、どう、もっ!」
全てのリソースを使い果たす。気絶。
起きた。生きてるって事は、勝った……彼女を殺したって事だ。
死体は怖い。いつもは出来るだけ何も感じないフリをしている。一瞬で殺すし、魔物ならすぐ消えるし。でもこの世界に来て初めて限界まで死力を尽くして戦った相手の死体は、怖い。死なないで欲しい。いやもう死んでるんだけど。
死体。
……好きにしても良い、確かにそう言ったよな。俺は何言もあるけど、戦闘狂には二言はないよな。勝者に従うよな。怒らないよな?
とりあえず出来るのは肉体の修復と保存位か。まあこの、殺し合い界?で死体が腐敗するのかどうかも知らない……てかこの世界自体で良く知らないや。適当に放置したり焼いたり消したりばっかりしてたからな。分からないなら保存チートをかけといた方が安心だろう。
まだまだ疲れているので暫く温かくしてよく寝る。
多分、三日位寝た。リソースの回復、てか莫大な増強をひしひしと感じる。
ぐへへ、では好きにさせて貰おうか。自分で言ったんだ、悪く思うなよ。
とはいっても。肉体は既に完璧に修復済みで、それこそ好きにさせて貰いたくなる位綺麗だが、魂?なのかなんなのか、生き返らせる道筋が全く分からない。
そんな時は、そう、チートにおまかせだ。
俺は死体じゃなくて生きてるこの女とセックスしたい。俺は女の顔や裸も好きだけど声も好きなんだ。反応も。だから蘇生して欲しい。ついでに殺戮衝動とか捨てて欲しい。俺に言う資格はないかもしれないが、そこは勝った者の横暴として飲み込んで欲しい。という事でチートよろしく。
チートが発動した。直後、もう一度全てを使い果たして気絶した。
起きた。膝枕だ。直ぐ分かったのは天界での経験があったからですねぐへへ。というか「彼女」が膝枕してるのも俺のそれを読んだからだろうな。
「その通りだ。理解不能だと言ったのに。まあ、あなたの「言う通り」好きにしていいと言ったのは私だ。……私は、私か?」
「そこは俺も良く分からないです」
「だろうな。ふふ、とにかく、あなたの望むがままにしよう」
「やったー」
した。
「どうでしたか?ご感想は?ぐへへ」
「……分かっているだろう」
「言葉にするのが大切なんですよ」
「くっ。……あなたは、可愛いな。無知な私が攻められているのに、何故かそう感じていた」
「えへへ」
「私の言葉が嬉しいのか?そう、か。言葉にする大切さ、学んだよ」
「貴女も可愛いですよ。とても」
「そうか、あ、ありがとうございます」
「それと、抱いて初めて気づいたんですけど」
「えいめいのしゅぞく?……なるほど、私はあなた曰く元々はんえいめいのしゅぞく?だったが、蘇生を経て永遠の命を持つものとなったという事か」
「……まあそうです」
俺曰くって改めて言われるとすっごい恥ずかしい。何が永命の種族だよ。なるけど。てか人(ではなかったけど)を先に永命に出来ちゃうのかよ。まあいいけど。ん、という事は、彼女は。
「殺し合いの時ワープとか使ってましたよね」
「うん」
「なんかこう、すっごい上の方……。そしてピンク色の世界……。そういうイメージで、すっごい遠くにワープできます?」
「天界という場所の事か。だが、曖昧過ぎて良く分からない。すまない……いや、待て……すっごい遠く、でなければダメか?」
「え?いえ、何かいけそうならそれで」
「遠いような近いような場所という事ならもしかし」
消えた。ワープ出来たという事だろうか。殺し合いながら感じていた。ここの空気は、天界に似ている。まあ空気どうこうよりも彼女と彼女の記憶の中の374名全員が天界の女神達に負けず劣らずの美女ばかりだったから、もしかしたらって思ったんだけど。
んー、という事は。うーん、彼女の記憶だけを頼りにってのは、流石に無茶か?
頑張ったらできた。
374名を順々に蘇生して、抱いて、天界送り。
繰り返すうちに蘇生もどんどん余裕を持って出来るようになっていく。でも俺は半永命なんだよなー。やはりチートパワーの強さとは直接の関係はなさそうだ。条件を満たす為にチートが強くて困る事はないけれど。
途中で最初の彼女が一回帰って来た。
「まず、ありがとうございます。同胞に再び会えるとは。あなたは私の、私達の、全てだ。……と、ところで、あなたもワープできるのではないか?あなたの提示してくれたイメージの内、すっごい遠く、の部分だけを変えて探って見てくれ」
と言い残して消えた。
ので、全員を蘇生してから試してみた。彼女曰く「近いような遠いような」だったよな……。
唐突に薄ピンク色の世界。
「わっ、ほんとに来た、来てくれたっ」
「わーい、お兄ちゃぁあんっ!」
会う度に大歓迎してくれる女神達はやっぱり女神達だなあ、と思いました。




