学校へ行こう行きたくない嫌だーっ!
国のご厚意により用意された都市部の高級ホテル。部下ははしゃぎつつちゃっかり俺の部屋に即忍び込んで勝手にベッドを温めている。まあそれは寝る時捨てれば良いとして
「救国の英雄様!お会い出来て光栄です、私たちがあなた様の御案内をさせて頂きます!」
全員の心を覗く。各国から集められた美少女達。それぞれ別の学校……国中の教育機関からかき集めてある。凄い人数だ。教育に力を入れているのが分かるし、軍学校も含めてくれたのも分かるが。
美少女達は純粋な感謝とそれぞれの学校の案内に燃えており、何も知らない。いや知れよ鏡見ろ、周り見ろ。普通察するだろ。……この手の事を察しない子を選んで集めたんだろうな。権力って怖い。流石に何人かは察してるけどそれもそれで部下と同系統のアレな子だし。
未成年だから手出ししないなんて倫理観どうでもいいけど、天界を知った身ではな。そう、天界。もう、限界。ご厚意の意味も良く分かる。戦争、そして勝利の高揚感。じゃあどうするかって?決まってる。
ホテル側に筆記具を用意して貰い部下への指示を爆速で纏める。アホな俺の不明瞭な指示の行間は勝手に埋めてくれるだろう。そういう面は信頼している。ベッドから引きずり下ろした部下のすべすべおでこにメモを貼り付けると俺は飛んだ。強者との戦争を経てチートは更に伸びた。移動スキルは一度で100キロ以上。なんなく「壁」を越えて天界の大陸も自力で飛び越える。
「ん、ぅぅ、はぁ、待たなくちゃ、でも、会いたいよぉ……っ!?あ、あの、久しぶりっ嬉しいっ、その、これはねっ」
「良いんだ。むしろ丁度よかった」
「ぁぅぅぅ……でも、あなたも?そっか、それなら……優しく、してね……っ」
教え込んだ文化をきちんと実践しやがって健気な女がっ!この、女っ!女っ!女神っ!
「お兄ちゃぁああんっ!会いたかったよぅっ!」
「俺もだよ、でも今回はあまり時間が無いんだ。すまない」
「そうなんだ、ぐすっ、残念だけど、でも、ちょっとでもお兄ちゃんに会えて、嬉しい……」
ほんの僅かな時間の間に出来た事と言えば捜査当局の設置位だった。
天界は全員良い娘なので全く無用の長物だが、俺がミニスカポリス女神に甘えたいので設置した。
「そーさとーきょく?ってなにすればいいの?」
「そりゃそうさ」
「わかんないよぅ」
「あやしい子を問い詰めたり」
「なるほど?じゃああやしいあなたに問いますっ。誰が一番みにすかぽりす?似合ってますかっ!?」
「!?なんて答え辛い質問をするんだ、これが捜査当局のやり口かっ!」
「ふふん、さあさあお答え下さい、誰が一番ですか?私ですか、私ですか、それとも私ですか……?」
全員同じ位似合ってるよという0点回答でも上機嫌で許してくれた。言葉だけじゃない「証明」を求められはしたけど。
というわけで853のミニスカートに捜査され尽くした俺はとてつもない名残惜しさを押し殺して地上に堕ちた。
「っ、主様っ!お申し付けの通りに各代表者に話を聞き優先順位を整理しておきました。早速出発しますか?」
「ん-、ご厚意全てを無下にするのもな。ここで数泊くらいしていくよ。存分に贅沢させて貰おう。お前も好きに飲み食い遊んでていいぞ」
「私としては主様のお側にいる事だけが唯一の楽しみであり生きがいであり存在理由ですが偉大なる主様の意図を組まなければならないこれは政治であり国側に俗な部分を見せ制御可能な存在であると偽装しておく必要があるのだこの身は主様の道具であり主様の命ならば何も感じない食事も遊興設備も感動したフリを演じ切って見せるなど容易い事であり」
感じてくれ何かしらは。怖いから。俺もこの高級ホテルで存分に食う寝る遊ぶし尽くすから。
実際流石に食事は素晴らしくベッドもふっかふかで風呂もプールもアホみたいにでかくて娯楽も充実していた。……まあね、天界に比べたら。そう思うと部下の気持ちも、いや、甘やかすのはやめよう。
で、一応のお付き合いの後で教育機関を回り始めた。先ずは軍学校から。戦争の興奮冷めやらぬという事で一番興味深かったし。おべんきょが苦手なのに変わりはないが、向こうもすぐ察するのかこちらのレベルに合わせて話してくれるからありがたい。より高度な学習は部下に丸投げ。有能ではあるんだよ間違いなく。うん。
俺にも分かるレベルで言えば、軍学校の皆さんは決して浮かれてはいなかった。むしろこの国が重視する隠蔽と感知に一定の有用性を再確認しつつも、限界もあったと謙虚に分析している。隠蔽と感知のコンボは強い。が、最強無敵というわけじゃない。自動防御、自動カウンター、罠、囮、多分もっといくらでも対抗手段はある。
それにしても軍事に力を入れてる人々の姿は見ていて気持ちが良い。ビジネス()と違って意味のある事に皆が懸命に取り組んでいる。
俺も見習おうと素直に思った。今回、首をやられかけたし。次もこの国に付くかはともかく、油断してたら危うい。自己保身力をより高めておかないと。
ただ、教育者の候補、という意味ではピンとくる人はいなかったな。いや、いなくもなかったけど逆にこの国にとって重要過ぎて貰うのが気が引けるというか。
普通の学校は最後に回している。おべんきょは嫌いだからだ。
てことでお次は技術者の養成機関的な所を回り始めた、のだが。
「一つ聞くけど、あなたって、素質が無くても頑張れる性格?」
「無理」
「じゃあはっきり言う。素質無いわ。欠片も」
「だろうなぁ……」
素人目にも分かる惨劇。我ながらよくぞここまで不器用を披露したものだと逆に感心しちゃう。
なんか悔しいので創造チート魔法発動。
「わぁ、すごっ、魔法は見た事あるけど、こんなスムーズに複製してるのは初めてみたー」
あ、そういうリアクションなんだ。ちょっと意外。
「何?……ああ、まあ中には嫌がる人もいるでしょうね。でも私は気にしない。プライドなんて製品の出来とは関係ないし」
「なるほど」
「ねねね、じゃあこれは?結構複雑な構造だと思うけど」
「む?む、……むむ……これでなんとか、いや、なんか違う気がする」
「見せて見せて!……確かに実用に足る、とは言えないわね。でも凄い、ここまで再現できるだけでも。やっぱり魔法って凄いのねぇ。それとも、あなた?」
「両方」
「あははっ!良い答え!」
一人目、見つけた。




