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2巡目④

 マジマからアドバイスをもらって以来約1年間、私は実際に毎日、律儀にこのメニューをこなしてきた。

 雨の日も風の日も、どれほど身体が疲れていようと、例外はなかった。

 それがどれほど大層で立派なものであろうと、夢はただ抱いているだけでは現実にならず、叶えるためには絶対に行動しなければならない。

 その強固な信念のもと、日々厳しい「トレーニング」を積んだ結果、俺は確かに骨付きの魚のような肉体を手に入れた。

 しかし、私の目標は「肉体美」を手に入れることではなく、あくまで「異性とお近づきになること」にある。裏を返せばその「実現」がいつまで経っても叶わないという事実は、端的に私の「トレーニング」がまだまだ不十分だということを、何よりもはっきり示してくれているのである。 

 ……要するに三時間ではまだ足りないということなのだろう、最低でもその倍の六時間は、「トレーニング」に費やさなければなるまい……、そして来るべき夏休みは、その不足分を補うのに最適な時期となるはずだ。

 そんなことをごちゃごちゃと考え、私は珍しく、気分が高揚していた。

 だからこそ教室を出ようとした時、サイトウが追いかけてきて、「おい、ちょっと、待てって」と声をかけられた時点で、私がいかに沈鬱な気分に襲われたかは言うまでもない。

 さらに間髪を入れずに手首の辺りを掴まれ、強い力で後ろに引っ張られたとあればなおさらだろう。

 掴まれた部分を端緒として、全身に鳥肌が広がることが始まる。

 私は反射的に手を振りほどくようにしながら拳を固めると、ボディーブローでもかましてやろうと考えて振り返った。

 理性の欠片もない獣以下の生き物に対しては、直接身体に痛みを刻み込み、二度と同じ過ちを犯すことのないよう、教え込んでやるしかない。

 だが次の瞬間、ダメージを与えられたのはむしろこの私の方だった 。

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