二人目の「消失」と、託された「任務」⑥
もちろんタカハシは私にとって、「迷惑な隣人」以外の何者でもない。これまでもこれからも、それ以外ではあり得ないだろう。
それゆえ、言いなりになるのは正直言って癪だったし、そもそも妄言以外が奴の口から出るのかどうかについても甚だ疑問だった。
だが少なくとも「予言」は確かに現実のものとなった。
タカハシの身には確かに、「何か」が起こった。
だから、他に何の手がかりもない今この不可解な状況において、とりあえず奴の言葉に従って行動することは、決して的外れな振る舞いというわけではない。何か間違っているだろうか?
私はそう結論付け、行動を開始した。
封筒を握りしめると、再び外に出て階段を降り、コンビニに向かって歩き始めた。
「あの女」というのが誰なのか、正直わかっていなかったが、どうせ奴が「可愛らしい」だのとほざいていたコンビニ店員のことなのだろうと、当たりをつけていた。
近い未来での天気の急変を予感させるように、空は月を隠すほどの分厚い灰色の雲で覆われていた。
しかしそれでも、真夏の凶暴な暑気には全く影響がないらしかった。
ほんの少し前まで涼しかったはずなのに、今や上下左右全ての方向から熱気が押し寄せてくる。息苦しくてならない。
歩いている時はまだいいのだが、信号待ちなどで立ち止まると、途端に全身から汗が吹き出した。不快なベトつきだった。
そしてこういう時に限って、信号は毎回赤になる。やはり「不幸」の連鎖はまだ終わっていないということなのだろう。
ギリギリのところで信号を渡れないということが三回続いたところで、早くもタカハシから授けられた「任務」の遂行を馬鹿らしく思い始めた私は、不意に封筒の中身を確認したいとの思いに襲われた。
元々興味など一切なかったはずなのだが、いったん意識すると、そうしないわけにはいかないというような気さえしてきた。
……「絶対に開けるな」と奴は執拗に強調していた覚えがあるが、面倒な頼みを一応引き受けてやろうとしているのであるからして、少しぐらい言いつけを破ったところで罰は当たるまい……。
しかしもちろんと言うべきか、その開封行為は、やはり私の混迷を深めることに帰着する。




