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乙女ゲームの世界に転移したOLが、陰ながら悪役令嬢を救う話  作者: 楊楊
第二章 カトレアの誕生会

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18 カトレアの誕生会 2

 一体、私は何をしているんだろうか?


 犯罪組織のアジトを強襲している。因みに本日3件目だ。

 アベル王子だけでなく、エフェリートとヘルローダも乗り気だ。エフェリートはエルフに似合わず好戦的で肉弾戦を得意にしている。


「好きに暴れられるのは気持ちがいい。どんどんやろう」

「エフェリート王子、やりすぎはよくありませんよ」

「大丈夫だ。殴り倒すだけだからな」


 実際、エフェリートは武器を使わない。エルフと言えば、弓と魔法なのにね。


 ヘルローダはというと、ゴーレムの試運転と新たな装備品のテストができるといって大喜びだ。


「実戦データは喉から手が出るくらい欲しいッスからね。どんどんやるッス」

「ヘルローダも無理しないでね・・・」

「大丈夫ッス。相手に合わせた武器や魔道具を使っているッス。マコ殿も手裏剣の使い勝手を後で報告してほしいッス」

「う、うん・・・」


 私もヘルローダに手裏剣を作ってもらった手前、あまり強くは言えない。最近私は、手裏剣を投げるのに快感を覚え始めていた。


 襲撃はというと、戦闘と呼べるものではなかった。

 三人は無駄に戦闘力が高く、あっという間に制圧し、組織のボスを拘束した。組織のボスは赤髪の女性で、狼っぽい獣人だ。拘束されてもアベル王子に怒鳴っている。


「どこの組織の奴だ!?アタイらを「赤い狼団」と知ってのことか!?」

「そんなこと、知っているわけがないだろうが!!」

「知らずにカチコミに来たのかい?何が目的なんだ?」

「カトレアのためだ。分かりきったことを聞くな!!」

「・・・・・・」


 例のごとく、会話が全く嚙み合っていない。

 仕方なく、私が間に入る。


「私たちはあるお方の命を受けて、貧民街の整備と改善を行っているのです。貴方たちも反省し、更生の意思を示すなら悪いようにはしません」

「貧民街の整備と改善だと!?散々アタイらを無視してきて、今更だな?アタイらがどんな目に遭ってきたか、知らないのか?」


 全く知らない。ゲームでも貧民街の詳しい描写はなかったしね。

 なので、とりあえず話を聞くことにした。私の務めている会社はかなりホワイトだけど、それでもクレーマーがやって来たり、電話を架けてくることは偶にある。その時、頭ごなしにこちらの意見を言うのではなく、ある程度時間を取って話を聞くと収まるケースが多い。その対応マニュアルに沿って対応しようと考えた。


 まあ、結局クレームは受け付けないし、最終的に「当社では難しいです」と言うんだけどね。


「よろしければ、教えていただけますか?」

「・・・アタイらは虐げられている獣人が集まった組織でね。多少の法律違反はするけど、人に後ろ指を差されるようなことはしてきちゃいないよ。あの悪辣な「蛇の尻尾(スネークテイル)」が壊滅したから、私たちがこの街を仕切って、少しでもこの街を良くしようと思っていたのさ・・・」


 更に聞くと、同情の余地はある。

 帳簿を確認しても、他の組織に比べて、そこまであくどいことはしていない。違法薬物や人身売買には手を染めていないし、それどころか、それらを扱う組織と抗争を繰り返しているようだった。


「聞くが、それとカトレアと何の関係あるんだ?」

「カトレア?誰だい、そいつは?」

「カトレアを知らないのか?」


 アベル王子が会話に入ってきて、またややこしくなりそうなので、私がアベル王子を制した。


「ここは私が対応します」

「う、うむ・・・」


 私はボスの女性に向き直って言う。


「貴方たちは、この街を良くしたいということですね?その気持ちに嘘はありませんね?」

「もちろんだ」


 少し考えて、アベル王子に進言する。


「この者たちを雇用してはどうでしょうか?防護柵を設置するにも教会や孤児院を改修するにも人手が必要ですからね」

「分かった。留学生がそう言うなら認めよう。おい、お前たち。カトレアのために働くなら、金は出してやる」


 ここでヘルローダが意見を言う。


「だったら、魔道具工場とゴーレム工場を作りたいので、そっちにも人手を回してほしいッス。これで量産ができるッス」

「それがカトレアのためになるのなら、勝手にしろ」


 実は私たちは、かなりお金を持っている。

 というのも、ヘルローダが作った魔道具の特許料が莫大な金額なのだ。ヘルローダは欲のない性格をしているから、アイデアだけ出した私たちにも特許料の一部を分配してくれている。日本円に換算すると、務めていた会社の月給の3倍の額はある。

 この世界に来て、家賃は掛からないし、食費も無料だから使い道がないんだけどね。


「これは礼を言ったほうがいいのかい?私はレジーナだ。子分共々世話になるよ」


 レジーナ・・・赤髪の獣人・・・あれ?

 ゲームに出てきた魔王軍四天王の一人だ。なぜこんな所に?


 設定でレジーナは、虐げられていた獣人の怒りを主人公たちにぶつけていた。

 魔王軍の中では同情すべき事情を抱えていたことが描かれていたけど、そんな奴を配下に置いてしまっていいのか?


 ただ、この流れで「やっぱり駄目です」とは言いづらい。

 まあ、何かあればその時に対応すればいいし、魔王軍の戦力がダウンするなら、それはそれでいいのかもしれない。

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