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乙女ゲームの世界に転移したOLが、陰ながら悪役令嬢を救う話  作者: 楊楊
第一章 プロローグ

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12/24

12 救出作戦

 担当教官のベファーナに事の詳細を説明する。


「妾《わらわ》としては明日の点呼にさえ間に合えば、特に言うことはない。好きにすればよい」

「あのう・・・法律的に問題はないのでしょうか?」

「法律?点呼のほうが大事であろう?」


 この幼女も常識は持ち合わせていないようだ。

 私としては、この幼女が待ったをかけてくれると思っていたんだけどね。


「私としては騎士団はに通報するなどして、正規の手続きを取ったほうがいいと思うのですが・・・」

「それは無理じゃ。騎士団の幹部は「蛇の尻尾(スネークテイル)」とずぶずぶじゃ。取り合ってくれんどころか、逆に始末され兼ねんぞ。それに騎士団を動かすにしても証拠が必要になるしのう」

「セラの証言だけでは駄目なのでしょうか?」

「駄目じゃな」


 アベル王子が怒鳴る。


「カトレアの危機だ。もう時間はないぞ。皆殺しにすればいいんだ!!」


 それは駄目だろ・・・

 それにいつの間にか、ケットシー救出作戦からカトレアの話になっているしね。


 ベファーナが言う。


「何度も言うようじゃが、妾《わらわ》は明日の点呼に間に合えばそれで構わん。皆殺しにしようがどうしようが興味はない」


 それも駄目だろ・・・


「ただお主らは妾《わらわ》の教え子じゃ。一肌脱いでやらんこともない」


 そう言うとベファーナは私たちに花火の三尺玉のような物を渡してきた。


「マコよ。貴殿は後処理のことが心配ということじゃな?」

「はい」

「すべてが終ったら、これを撃ち上げよ。後処理くらいはしてやるぞ」

「ありがとうございます」

「うむ。それでは明日も遅れんようにな」


 ベファーナは去って行く。

 私の勘だけど、ベファーナも問題児枠で、このクラスの教官をさせられているのかもしれない。



 ★★★


 犯罪組織「蛇の尻尾(スネークテイル)」のアジトは貴族街にある。

 一見して、普通の貴族の邸宅と変わりはない。この付近にはマクダーモット侯爵家の王都別邸もあるしね。

 流石に「ここにケットシーが監禁されています」と通報しても、信じてはもらえないだろう。


 救出作戦は日の入りと同時に行われることになった。

 なぜなら、アベル王子がどうしても生で午後の実習を見たいと言い出したからだ。この実習はお茶会の作法を体験して学ぶことが目的で、今回はカトレアが教師に代わって指導するものだった。アベル王子は本当にブレない。


 

 現場に着くとアベル王子が指示をする。


「計画通りエフェリートとヘルローダは正面から、俺と留学生とケットシーはその混乱に乗じて潜入する」


 これはゲームの攻略法を参考にした。

 ゲームでも正面で騒ぎを起し、その混乱に乗じて潜入する方法が一番安全に攻略しやすい。細かいことを言うと、どのメンバーをどこに配置するかで、その後の展開が変化するんだけどね。

 ただ、シナリオが変わった今、それをやるのは主人公と攻略対象ではない。


「アベル王子、あの二人に任せて大丈夫なんでしょうか?エフェリート王子はエルフで正面から戦闘を仕掛けるタイプではないようですし、ヘルローダなんて私よりも小柄ですからどう見ても・・・」

「心配するな。まずエフェリートはエルフだが弓は使えない。その分、素手での戦闘は得意だ。ヘルローダは・・・見たら分かる」


 エルフと言えば弓と魔法だけど、エフェリートはそのどちらも得意ではないらしい。その分、かなり体術は得意なようだ。そういえば学園では、ずっとトレーニングをしていたなあ・・・


 そのエフェリートがいきなり、問答無用で門番を殴りつけた。

 大勢の手下たちが、わらわらと入口から出てきた。


「何だ!?カチコミか!?」

「ここがどこか分かっているの・・・」


 言い掛けたところで、手下たちは殴り飛ばされた。


「アベル王子、流石にあれでは多勢に無勢です。大丈夫なんでしょうか?」

「大丈夫だ。それにアイツがどうなろうと、俺には関係ない」


 関係あるだろうが!?

 この人はある意味、ブレないな・・・


 アベル王子の言葉通り、本当に大丈夫だった。

 ヘルローダがマジックバックから巨大なゴーレムを取り出し、そのゴーレムに乗り込んだ。エフェリートとそのゴーレムが大暴れしている。


「ヘルローダはゴーレムのテストをしたかったからついて来たんだ。アイツも俺たちやケットシーがどうなろうと、知った事ではないだろう」

「そ、そうなんですね・・・」

「そんなことより、先を急ぐぞ」

「はい」


 私とアベル王子はセラの案内で建物の裏手から中に入った。

 私たちは「隠密」のスキルを使っているし、それにエフェリートとヘルローダが大暴れしているから建物内はパニック状態だ。「蛇の尻尾(スネークテイル)」の中にも、「隠密」のスキルを看破するスキル持ちもいるだろうけど、私たちに構っている余裕はないようだった。


『こっちよ。地下室に監禁されているのよ』


 セラに導かれて、地下室に向かう。

 地下室の監視をしていた男2名に不意打ちを喰らわせ、拘束する。不意打ちに使ったスタンガン擬きも拘束に使う手錠セットもすべてヘルローダが製作したものだ。本当に使い勝手がいい。


 地下室にはいくつものゲージが設置されていて、ゲージの中には子猫が何匹も収容されていた。

 その子猫たちが一斉に騒ぎ始める。


『セラ様!!』

『やったあ!!助かった』

『ご、ごめんなさい・・・騙されちゃって・・・』


 一斉に念話が飛んできた。見た目は子猫だけど、この子たちは間違いなくケットシーだ。

 セラが怒鳴る。


『言い訳は後よ。とにかく逃げるわよ』


 手分けしてゲージを壊してケットシーたちを救出した。

 この後だけど、ゲームでは二つのシナリオが用意されている。一つはケットシーだけ連れて逃げるパターン。もう一つは「蛇の尻尾(スネークテイル)」のボスと対峙して戦闘に発展するパターンだ。


 どちらもその後の展開に大差はない。

 ボスと戦闘して勝っても経験値と現金が手に入るだけだしね。というのも、ボスは討伐したけど、幹部を含む残党の多くに逃げられてしまうので、ゲームでは度々「蛇の尻尾(スネークテイル)」は登場する。


「アベル王子、この後は?」

「むろん、カトレアへの危険はすべて取り除く」


 そう言うと思ったけどね・・・

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