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乙女ゲームの世界に転移したOLが、陰ながら悪役令嬢を救う話  作者: 楊楊
第一章 プロローグ

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10 持つべきものは・・・

 流石に限界が近い。

 どうにかカトレア親衛隊の活動が楽にならないだろうか?


 そんなことを思いながら、今日も活動を開始する。

 唯一のんびりできる魔法学の授業で、ウトウトしていた時に思いついた。


 文明の利器を使えばいいんだ!!


 私は活動終了後にへルローダの部屋を訪ねた。

 へルローダはドワーフの少女で、魔道具作りの天才だ。作れない物はないくらいの腕前だ。アベル王子に紹介された時にこう言われた。


「何か欲しい物があれば言ってくださいッス。私は人の要望に応えることが嬉しいッス」


 ヘルローダに事情を説明すると、大喜びされた。


「それは画期的ッス!!創作意欲が湧いてきたッス」

「できそう?」

「3日もあれば試作品はできるッス。ただ初めて作るので、使いながら改良が必要ッス」

「じゃあ、お願いね」


 そして3日後、多分この世界で初となる防犯カメラの試作品が完成する。

 当然、アベル王子も大喜びだ。


「よくやったぞヘルローダ」

「でもまだ試作段階ッスよ。3日に1回は魔石を交換しないといけないッス」

「それでもこれは大きな一歩だ」

「そう言ってくれると嬉しいッス」


 早速、マクダーモット侯爵家の王都別邸付近と通学路に設置した。

 魔石の交換は面倒だったので、私は新たな提案をした。


「例えばだけど、太陽の光から魔力を作り出すとかはできないの?」

「太陽の光?それは気づかなかったッス。早速、試してみるッス」


 それから3日、太陽光による魔力補充が可能になったので、私たちの活動も少しは楽になった。

 早朝5時に起きることもなくなり、映像監視はアベル王子がずっとしてくれているしね。

 ヘルローダは本当に嬉しそうだった。


「私にしてみたら、映像を映し出す遠隔の魔道具よりも太陽の光で魔力を補充できる装置のほうが汎用性が高いと思うッス。これは更に研究が進むッスね。お礼を言うッス、マコ殿」

「お礼を言うのは私のほうよ。かなり活動が楽になったしね」


 本当にヘルローダには感謝している。

 朝だけでなく、下校時の通学路チェックもしなくてよくなったからね。それにしてもヘルローダは優秀だ。ゲームのお助けキャラにいてもいいくらいだと思う。



 ★★★


 活動は少し楽になったけど、全く出動しなくてよくなったわけではない。

 今日も下校時の通学路チェックをしていたアベル王子から指示を受ける。


「おい留学生、出動だ!!」

「どうしたんですか?」

「大勢の子供が一人の子供を取り囲んで、吊るし上げている」

「それが何か?」

「子供を利用した襲撃犯かもしれないだろ?」

「そ、そうですね・・・」


 そんなわけないだろ!!


 とは思ったけど、言い出せず一緒に出動する。


 現場に到着すると、5~6人の子供が一人の少年を取り囲んで殴り、倒れたところを踏みつけていた。

 アベル王子が怒鳴る。


「お前ら、何をやっているんだ!!ここがどこか分かっているのか?すぐに立ち去れ。さもないと警備隊に突き出すぞ!!」


 あまりの剣幕にいじめていた子供たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

 残ったのは、いじめられていた少年だけだった。その少年にもアベル王子は罵倒する。


「お前も早くここから立ち去れ。それともうこんな騒ぎを起こすな!!」

「アンタも俺が孤児だからって、馬鹿にするんだな!?」

「孤児だと?それがどうした?孤児だろうと貴族だろうと、ここで騒ぎを起こすなと俺は言っているんだ。理解できないのか?」


 またこの展開だ。

 仕方なく私が間に入る。


「話を要約するとね。ここは危険な所だから、気をつけなさいということよ。それと生まれや身分は関係ないからね。困った時はこれを使いなさい」


 私は少年に防犯ブザー擬きを手渡した。

 これも私がへルローダに提案して作ってもらったものだ。ヘルローダは私に会うといつも、仕切りに新しいアイデアを聞いてくるので、適当に言っただけだけどね。


 当初、アベル王子は防犯ブザー擬きに否定的だった。


「無駄なものを作りやがって・・・」

「アベル王子。これは意外に役に立ちますよ。例えばですが、カトレア様が襲撃に遭った時、この魔道具を使えば・・・」

「すぐに警備隊が駆けつけられるな!!よくやったぞ留学生。すぐにカトレアに贈ろう」


 手の平を返すとは、まさにこのことだった。


 閑話休題。


 少年はキョトンとして、防犯ブザー擬きを見つめている。


「この紐を引っ張ると大きな音が鳴るのよ。困ったことがあれば、躊躇せずに使いなさい。大きな音がすれば、相手も驚くだろうし、近くの大人が助けてくれるからね」

「もらっていいのか?本当に?」

「いいわよ。それと自分が困った時だけじゃなく、誰か困った人がいたら使ってね」

「ありがとう・・・」


 そんな話をしているところにアベル王子が声を掛けてくる。


「もう時間がないぞ。カトレアがそろそろ、ここを通る。留学生、その馬鹿を早くどっかに行かせろ」

「は、はい・・・」


 私は少年に向き直って言う。


「ここを偉い人が通るから、できればここから移動してほしいんだけど、一人で帰れる?」

「大丈夫だよ。孤児の俺にここまで優しくしてくれたのは初めてだよ。お礼をしたいんだけど・・・」


「平民の礼など必要ない!!即刻、ここから立ち去れ!!」


 アベル王子に怒鳴られ、少年は慌てて駆け出した。



 それからも緊急出動は定期的にあった。

 この前は通学路で胸を押さえて倒れていた初老の男性を発見したので出動した。例のごとく「病人に偽装した暗殺者かもしれない」との理由からだ。

 その男性は病人だから、自力で移動することはできない。なのでアベル王子がおんぶして治療院まで搬送した。


 治療院ではアベル王子が高級回復薬と金貨数枚を回復術師に押し付けた。


「これで治療してやれ。意識が戻ったら、人に迷惑を掛けるなと厳しく言い聞かせろ」

「分かりました。ですが治療費にしては、流石にこれは多すぎますよ」

「うるさい!!時間がないんだ。さっさと治療しろ」

「は、はい・・・」



 カトレアの安全を確保するのが目的だけど、アベル王子がやっていることは、ただの人助けだ。

 一体、何の活動をしているんだと思ってしまう。

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

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