表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界兵器開発録  作者: タスムート
第一章 悪魔の研究者
PR
9/12

参謀本部命令

フェルグラード前線での活躍から2年が経ち、私は14歳になった。未だに父と母の消息は不明だ。しかし、両親の安否を考える暇も無いくらいに、研究に没頭していた。


現在私は魔法陣の研究をしている。


というのも、魔法陣はクリスタルを使わずに魔力を増幅できる仕組みを備えているらしい。


仕組みは未だに解明されていないものの、魔法陣に魔力を注ぐことにより、自然環境に存在する魔力を吸収し魔力を増幅させるのではないか、というのが先人達の見解だ。


そこで私は、魔力を用いて魔法陣を生成し、その魔法陣から得られた魔力で新たな魔法陣を形成する、特殊多層魔法陣理論を構築した。


3層までの魔法陣構築は滞りなかった。しかし、4層目の構築を始めた途端、魔法陣からの魔力漏れが生じ、魔力の発散が起きてしまうのだ。理論は間違っていないはずなのだが、どうしても上手くいかない。


そのため、この理論に『特殊』の接頭辞をつけた。


かのアインシュタインのように、『一般』の接頭辞をつける日が来るといいな。


そんなことを考えているさなか、軍上層部から一通の手紙が届いた。


『バルドルト・シュタイナー少尉


フェルグラードでの貴官の活躍、ご苦労だった。面倒な挨拶は省略し、貴官に新たな命を下す。


先日、参謀会議にて魔術歩兵の機動力について言及があった。ハルターボーデンでの戦闘では、魔術歩兵の機動力不足により二個中隊が敵軍の包囲を受け、壊滅している。


敵軍拠点は丘陵地帯の頂上に築かれており、険しい斜面を前進する我が軍は進撃速度を著しく阻害された。


一方、敵軍は高所から広範囲に魔法攻撃を展開し、さらに側面へ待機させていた予備兵力を投入することで我が軍を包囲した。


そのため、敵の機動戦に対応できず、戦線の維持が困難となった。

以上の戦訓から、魔術歩兵の機動力向上は急務であると考える。


そこで貴官には、魔術歩兵の機動力向上を目的とした輸送手段の研究・開発を命ずる。


本計画に必要な人員、資材および予算については、軍需省が可能な限りこれを支援する。

開発に際しては既存の概念に囚われることなく、実戦に耐え得る成果を期待する。


なお、本計画は最重要軍事機密とし、関係者以外への情報漏洩を固く禁ずる。


参謀副長 シュトルツ・アルフレッド・ケルン』


驚いたことに、命令は参謀本部から直々に下されていた。


にしても、移動方法が馬のみとなると、機動力には乏しいはずだ。というのも、ハルターボーデンは硬い土壌であるため、馬の蹄はすぐに割れてしまう。


「となると…車と戦車を開発するのが良いのではなかろうか…」


この世界には、乗り物がほぼない。車なんてもってのほかで、陸上を移動する乗り物は馬かのみである。一応空を飛ぶこともできるが、機動力がない。体を浮かべるだけで多くの魔力を消費するため、速度まで手軽回らないのだ。



私は、多層魔法陣の研究を中断し、戦車の開発を新たに開始した。


このとき、私ははまだ知らなかった。

自らが設計する一両の戦車が、戦場の常識を覆し、やがて世界の歴史そのものを書き換えることになるとは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
XのRT企画から伺わせていただきました! どんな感じで序盤の展開を進めるのかなと思っていたらしっかりめに主人公の故郷を焼いていったので、これはこれで定番の展開ではありつつもヌクヌク成長させるよりこっ…
Xでお見かけしてお邪魔しました。 彼の運命を決定づける出来事、そして……ラストに書かれた後戻りできない一歩を踏み出してしまったこと…… このあと、いったいどのよ兎なことが待ち受けるのかすごく気になりま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ