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THE MARIONETTE  作者: イチバ
4/11

第4戦 緊急

1列の隊列を組み進軍する僕らは、いつどこから撃たれるかわからない恐怖で強張っていた。普段は吸わない煙草を今日だけは咥えていた。換気口から煙が出ているのが見える。


<敵の攻撃がない。というより、爆撃でかなりやられてるな>


辺りにあるのは放棄、または破壊された戦者ばかりだった。


<後方、敵戦者。何か引きずってる>


仲間の報告で後方を確認。巨大な図体に厚い装甲。そして忘れもしない四角形。


「タイガー!戦闘用意!」

<歩兵は散らばれ!巻き込まれたくないのならな!>

<タイガーのようだが、武装が確認できない。退避させているのかもしれない>

「だったら捕獲するまで」


僕らはある程度までタイガーに近づくことにした。しかし、こんな場所で一体何を…?

味方がコクピットを開き双眼鏡で確認。共有された情報は戦場の過酷さを表していた。


<主砲がない!ビッグガンすら持ってないぞ>

「武装していない?」

<副武装の機関銃だけのようだ。主砲代わりにクレーンがある。戦者を回収している>

「捕獲しよう。色々吐かせる」


ギアをさらにあげ、エンジンがさらに加速させる。

突如、草むらからロケット弾が放たれ味方のシャーマンのコクピットに貫通。そのまま倒れてしまった。


「伏兵!」

<対戦車火器を持っているぞ!>


一斉攻撃だった。あのティーガーは囮兼回収係。まんまと僕らは罠に乗っかってしまったというわけだ。

ビッグガンとM2の掃射で近辺の周辺は肉塊へと変わり果てる中、未だ伏兵の攻撃が続いていた。


「かなりの数だ…いくら殺しても減っていないように見える」

<隊長。通信兵からですが、どうやら後方隊が激しい攻撃に遭い交戦中だそうです>

「…しまった…どこかの大規模な部隊がここに合流したのか。今、僕らは包囲された上に敵陣の密集地帯に入り込んでしまった!」

<引き返しましょう!このままではやられるばかりです!>

「撤退したいのはわかるけど…」

<包囲されている限り、無理でしょう>


直線の撤退は不可能だ。今来た道はあの伏兵たちに阻害され、飛び込むことは自殺と同じ…。


「通信兵に航空支援要請を」

<了解>


激しく銃弾が飛び交い、通信兵が受話器を取る。


「航空支援を要請!応答せよ!応答せよ!」


しかし無線からは返答がないのである。既に無線パックが銃弾を浴び穴が開いていた。


「修理できないぞ…」

「航空支援は無理だ!」


ついには通信兵が頭に弾丸を喰らってしまう。

撤退もできず、支援もなし。敵は増えるばかりで後方隊は追いつけず、撃たれるばかり。補給が済んでいたとはいえ弾も燃料も無制限ではない。完全な絶体絶命だった。

しかし、この窮地からレコンは必死に策略を考えるため脳を回転させる。跳ね返る砲弾が機体を揺らしながら。

レコンは思いつく。


「この場所は起伏が激しい。逃げることはできる。全部隊に告ぐ。機体を捨て東方面(ウェスト)に移動。敵部隊を迂回し後方隊と合流する」

<本気ですか!?敵がどこに潜んでいるかわからないのに、わざわざ森の方に>

「時間がない。少しでも助かる可能性があるならやろう」

<隊長の言う通りだ。そうしよう>

<…クソ…!>


僕らはトンプソンを持ち戦者から降車し、随伴歩兵に続くこととなる。


「聞いたな!全員頭を下げながら、敵に見つからずにここを離れる。包囲されているとはいえ戦っているのは南の奴らだけだ。気づかれないうちに東に入るぞ」


ジョーンズ中尉が再度確認し、歩兵を連れる。駆け足でここを離れる中、僕のFUCKING NAZI OF PREDATOR(ナチ野朗の天敵)と書かれていたシャーマンがダミーになっていた。シャーマンは僕らが逃げるために犠牲になってくれた。ありがとう、僕の相棒。


「Kommandant, der Feind ist aus dem Panzer ausgestiegen!」(指揮官、敵が戦者から降りました!)

「Geh weiter. Prüfen Sie, ob noch Feinde übrig sind.」(進め。敵が残っていないか確認するのだ)

「Nach Kommandant!」(了解!)

「Los Los Los! Vernichtet den Feind!」(行け行け行け!敵を殲滅しろ!)


ドイツ軍が突撃を敢行しシャーマンが佇む場にグレネードを投擲し突入するが、そこにはアメリカ兵の死体が数人あっただけで、大部分が移動していたことに気づいた。足跡は東に残っている。

ドイツ軍の指揮官は残ったシャーマンを見つめ、煙草に火をつけた。



連合国軍前哨基地

同 野戦病院


「戦者兵が脚を怪我するとは、かなり痛いだろうな」

「命があるだけ良かったが…仲間達(あいつら)が心配でならない」

「骨折はしたが軽度だ。9週間ぐらいで治る」

「9週間!?」

「そりゃあ、あくまで骨折だからな」


医者の診断を聞いた俺は目が飛び出そうになった。9週間もあればローマまで行ける。それどころかイタリア戦線に終止符がついちまう。


「戦者に復帰する。代わりのシャーマンを」

「無茶言うな。もしかすれば名誉除隊できるかもしれない。こんな機会滅多にないぞ」

「ふざけるな。俺は戦者兵だ。戦場が居場所だ」


クソ…こんなことになるんだったらあんな降り方するんじゃなかった!

この診断結果を受け、アレックスは最終的にとんでもない判断をすることになる。


夜中のことである。人気のない前哨基地で、野戦病院から1人の兵士が這いながらどこかへ進む。何を言おうか、この男はアレックスである。

たどり着いた先は戦者が横たわる所で、1機のシャーマンに乗り込んだのだ。

コクピットハッチを開け、中に滑り込む。

始動装置を押しエンジンを起動。

[ALC]

[SYSTEM STANDBY]

[M4A2 SHAMAN]

[76MM 71]

[M2 600]

[M3BIGGUN 180]

[READY]


エンジンが温まりついに起き上がる。外ではMP(憲兵)とクルーが必死に止めようとしているのがメインカメラを通じてわかる。


「すまないが、貸してもらうぞ」

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