第2戦 北アフリカの戦い
撤退交戦で戦う俺らは、数機のセモヴェンテを破壊していた。しかし、まだ残存機体による隙を見せぬ攻撃で体を出せずにいた。
「レコン!直したか!」
<今終わりましたよ。M3復帰します>
M3は脚を引きずっている。見る限り素早くは動けないだろう。だがM3の75ミリならセモヴェンテも撃破できる火力…使わないのはもったいない。セモヴェンテの数は残存6機。対してこちらはシャーマン4機とM3合わせて5機。数では少々不利だ。
<固定砲塔なら背後に回ればやれる。あとはどう回り込むかだな。こちらの損失は避けなくてはならない>
「ビッグガンと火砲で前脚を止める。転倒すれば柔い上面が見える」
<そこを撃つんだな?>
「ああ。全機発砲用意!調子に乗ってに頭を上げすぎるなよ」
全員が照準を脚を合わせ、合図を待つ。
「撃て!」
ビッグガンの弾丸が脚を目掛け連射され、砂漠の砂が舞い上がる。発射される間にもセモヴェンテからの砲撃は止まらない。セモヴェンテには腕がなくビッグガンを持ち合わせていない。だが増援の見込みもない俺らはあの砲弾を極度に恐れていた。もし、ここで再び包囲されればもう逃げ出すことすらできなくなると思っていたからだった。
<3機片づけた。残り3!>
「敵の増援が来るまでに離脱する!総員突撃!」
数の利がこちらにある今、もう恐れることはない。まとめて片付ける。
しかし、敵は予想外にも攻撃をやめた。
「何考えてんだこいつら?」
<隊長。白旗掲げてますよ>
<もう諦めたのか?早ぇなぁ>
SURRENDERと書かれた白旗を持ちイタリア兵は武装を外し車内から出てきたのだ。噂通り、イタリア兵は武器こそ強力な面があるものの、士気は低いようだ。
<どうしますか、隊長>
「セモヴェンテは破壊しておけ。降伏した奴らは放っておく」
セモヴェンテを踏み潰し俺らはここを去った。
-チュニジア戦線-
フランス保護領チュニジア
チュニジア戦線は北アフリカの最終決戦の地であった。ここで連合国軍と交戦していたのは第5装甲軍と第504重戦車大隊であり、どちらも優秀な戦果を叩き出してきたエリート部隊だった。
「閣下、我が軍は必死の反撃を続行しておりますが、未だ劣勢であります」
「ダミーは上手くいったが、物量でそれどころではないようだな」
ここの指揮を取っていたのはナポレオン以来の名将と呼ばれ、"砂漠の狐"の愛称を持つ男、エルヴィン・ロンメルである。ドイツ軍の有名な戦略である電撃戦を使い熟し、フランスを一瞬で手中に入れたほど、非常に優秀な軍人であった。
「怯むな!」
激しい銃撃戦と砲撃が繰り返される中、連合国軍は苦戦を強いられていた。シャーマンやM3の装甲ではドイツ軍のⅣ号戦者からの攻撃を防げず、押されていた。
「倒れるぞ!離れろ!」
シャーマンが砂漠に倒れパイロットが脱出する。
この戦線はドイツ軍が劣勢であり、ロンメルはまもなくフランスの方へ回されてしまう頃であった。
そして、アレックスの部隊はここに配備されていた。
「これじゃあ下手に顔出せないぞ!」
横に居たマチルダⅡ歩兵戦者の頭部が貫かれ誘爆。アレックスの乗っていたシャーマンの左腕が爆発が巻き込まれ動作不良を起こした。
「クソ…」
<隊長!マチルダを撃ったのはアイツです!>
丘の上に頭部を出し主砲を放っていたのは"131"と砲塔に描かれたドイツ軍の重戦車である。
「…タイガーか!」
<正面からは絶対に抜けない。どうする?>
「裏取りはできなさそうだな…」
<増援が来るまで待*×<+:->
無線の雑音と共に同じ部隊であったデンジャーの車両がタイガーの88ミリに吹き飛ばされた。
「あの砲弾の炸薬はかなりヤバそうだな」
<一撃でも喰らえば間違い死ぬぞ>
<どうする?>
味方のイギリス歩兵が手で合図を送るのが見えた。
<味方の増援だとよ。下がってろとさ>
「出番なしかよ?」
タイガーが立ち尽くす丘の反対側の丘に現れたのはイギリス陸軍の戦者隊である。
チャーチル歩兵戦者の6ポンド砲が火を吹いた。
「目標はタイガーだ!ここで絶対に仕留めろ!」
何発もの砲弾がタイガーに降り注ぐが、外れるか跳弾、非貫通するかのどれかだった。タイガーはチャーチルを最優先とし砲身を向ける。
「Panzer! So viele...」(戦車だ!こんなに…)
タイガーとチャーチルの戦闘が始まる中、アレックスの部隊は隙を狙い後方から潜り込んでいた。
<アレックス!敵の交戦が激しい!進めないぞ!>
「他のタイガーが出てこないうちに進まなくてはならない。何としても突破するぞ!」
ビッグガンで1機のⅣ号を破壊。その一瞬を見逃さず、アレックスは敵陣めがけて走った。奥からもう1機のⅣ号がビッグガンを放つ中、壊れた左腕を縦代わりに突入。Ⅳ号を押し倒しゼロ距離射撃で75ミリを撃ち込んだ。それに続き味方部隊も敵陣に乗り込む。しかし、トラックや他の戦者はおらず、もぬけの空だった。
「ロンメルとやらに会えないとは、残念だな」
味方がクローラーソードでⅣ号を切り裂き、コクピットを破壊する。降伏なんぞ許さないと言わんばかりの殺意だった。
一方、タイガーは孤立していた。横にはイギリス軍の塹壕があり、対戦者兵器が撃ち込まれてしまうほど距離が近い。実際、既に対戦者兵器に被弾していた。
チャーチルから再び数発の砲弾が、放物線を描き発射された。本来、6ポンド砲ではタイガーの正面装甲を抜くことは不可能である。しかし今回は違った。放物線を描いた砲弾はタイガーの砲身下部に命中し跳弾。その弾かれた砲弾は首の部分に命中し、砲旋回装置が故障したのだ。これにより戦闘続行が困難と判断したタイガーは停止後、コクピットから者長が脱出した。
これが、連合国軍が最初に破壊したタイガーであった。
見事、勝利を収めた連合国軍はタイガーを連れ基地に帰還した。




