23 バイクに乗っていないその時も
インフルエンザと水疱瘡に同時に感染し、40度越えの高熱を数日間に渡って経験しました。
ボーッとした頭は訳の解らないコトをいろいろとやってくれるものですね。
そんな頭の中に浮かんだバイクのことです。
体調を崩した。
インフルエンザだ。
体温計の表示は見たこともないような数字になり、激しい頭痛と強烈なけだるさがやってきて、ベッドの上から動くことすらままならない。
それでも、妻に車を出してもらってなんとか病院へ行き、タミフルの処方を受け、とっとと飲んで布団に包まった。
湯たんぽを入れているのに寒気がして、ぜんぜん暖かく感じない。
ガタガタ震えながら、ボーっとした頭の中で、いつの間にか夢を見た。
私は駐輪場にいた。
ライムグリーンのバイクがジッと私を待っている。
キーを手にフラフラとした足どりでそこまで行き、チェーンロックを外して車体を駐輪場から引っ張り出した。
キーを挿し、セルボタンを押す。
なかなかエンジンがかからない。
一度キーをOFFの位置まで戻し、しっかりとチョークノブを引いてからONの位置までキーを回し、セルボタンを押す。
かかった。
ババババババババと小気味良くエンジンは回り、私はゆっくりとチョークノブを戻す。
バイクに跨り、左足でチェンジペダルを踏み込んだ。
カッとギアが1速に入り、ゆっくりとアクセルを開きながらクラッチレバーを繋ぐ。
緩やかなスタートだ。
アクセルを開いていき、2速、3速とギアを上げていく。
対向車は1台も来ない。
前走車も後続車もいない。
信号も無かった。
道路は貸しきり状態で、気持ち良いはずなのに、なぜか私は焦っている。
アクセルをどんどん開ける。
4速、5速、6速。
バイクはどんどん加速していくのに、もどかしさばかりが大きくなる。
なんでなんだ?
すぐに気が付いた。
風を感じないせいだ。
スピードメーターの数字は3ケタになろうというのに、風を全く感じない。
そのくせ、寒さだけは感じる。
どんどん寒くなる。
焦って運転が雑になる。
そういえばヘルメットを被っていない。
まずい、まずいぞ…
減速。
バイクを止める。
寒さが治まらない。
エンジンを抱くようにして両手を温める。
どうしよう、どうしよう……
ノーヘルのまま、路肩に止まって、寒さにガタガタと震えながらエンジンを抱え、頭の中がグルグル回って、目の前がグチャグチャになる。
「どうしよう」
そこでフッと目が覚めた。
布団の中だ。
汗をビッショリとかいて、いつの間にか湯たんぽを両手で抱えている。
どうやらエンジンに手をあてているつもりだったようだ。
まだ頭はクラクラする。
濡れた寝間着を着替え、また布団に潜り込んだ。
やっぱり、バイクは夢の中よりもリアルで乗りたい。
バイクに乗れないこんな時まで、バイクのことを考えている自分には感心するやら呆れるやらだが、駐輪場の相棒にはもう少し待っていてもらおう。
やっぱり、バイクは元気な時に乗るのが一番だ。
ボーッとした頭ではバイクのことなんて考えもしないと思っていましたが、そうでもなかったみたいです。
ただ、あまり良いイメージにはなりませんでした。
バイク乗りは健康が1番ですね。
まぁ、バイク乗りでなくてもそうですが…。




