022最終章クライマックス! 城壁の上で女騎士と。
022最終章クライマックス! 城壁の上で女騎士と。
作業は期日までになんとか終わった。
北の城壁上に配備された蒸気機関型ピッチングマシンは253機。
王都の職人さん達の全力は結構凄い生産力だった。
既存の武器は全部武器屋から吐き出させて数を揃えたのでピッチングマシンに集中できたおかげでもある。
試射はしたものの耐久試験なんか全然してないから、途中でかなりの数が壊れると思う。
北側城壁上に設置したが、弓兵もいるため、モンスターに斉射できる位置が限られ、設置できたのは50機だった。
故障が前提の急増兵器なので、壊れたら交換する。
城壁上に全て揚げてあり、壊れたら体力自慢が持ってくる手はずなのだが、最悪王都城壁内部に侵入された場合そのまま内側を狙う事になる。
そして俺は弾薬補給50箇所をぐるぐる回る事になるので体力が心配。
「蒸しますね……」
ジャージ着てて良かったなと思う。
「そうだな」
俺の言葉を受けて、ひたいの汗を拭いながら女騎士が応えた。
一応俺の護衛だ。
中年男の方は軍隊と待機している。
軍隊と言っても残っているのは5000程度。ほとんどは主要街道に別れて散った避難民の護衛についている。
時折飛んでくるワイバーンを撃ち落とすのも慣れたもんだ。
ピッチングマシンは球の形状がまちまちなため精密射撃に向かないが、魔法攻撃はよく当たる。
しかし、ワイバーン本隊は地上モンスター達のずっと後方にいる。
ここからだと夜明けのコウモリの群れみたいに見えるが、あれ全部ワイバーンなんだぜ。
「ワイバーンはそれほど気にしなくて良い。地上のモンスターを殺せれば、アレはその死体を食う」
との事。
いざとなれば屋根はいっぱいあるし。
連携を取っている訳でも無いモンスター達がああも群れて襲ってくる。蝗みたいなもんだろうか。
ワイバーンは漁夫の利を狙っている感じで少し頭良さそう。そういう習性なんだろうけど。
問題は地上を覆い尽くすあのモンスターの群れと、遥か後方に控えているであろうドラゴンだ。
観測によれば、ドラゴンは3体。
王都に残っている戦力で十分に打ち取れるとの事。
北でかなり大変な作業をしてもらったので、今は休んでもらっている。
およそ5千の兵士達だ。
それに、ドラゴン専門の部隊もいるらしい。
「お前の作戦が効果を発揮しなかったら、我々も転身して退く」
いのちだいじに、作戦。
「蒸すのう」
と笑いながら現れたのは、王様だった。
革のマント? なんか凄いの着てる。
王様は一級の魔法士らしい。
さっきからちょいちょい対空攻撃でワイバーンを落としていた。
「退かなくて良かったんですか? もしもの時は大変ですよ」
「君こそ。もしもの時は早く逃げるんじゃよ?」
うむむ。
細身とはいえガタイがデカイし。過去の武勇伝とか腐る程ありそうだなこの王様。
「上手くいきますかね……」
「はっはっはっはっ、君が考えた作戦じゃろ。まぁ、失敗しても退けば良い」
北城壁の上に登っている俺たちの目の前には、ミステリーサークルが出来上がっていた。
遠近感が狂うが、深さ1m程の堀になっている。
掘り返した土を運び出すことができなかったので、逆に積み上げて塀にもしてある。
その堀の中は水で満たされていた。
近くの川から水を引いてきたのだ。
ちょっと濁った水だったが、試しに黄金化したら普通にできた。
かなりドロドロでも、ちゃんと水分があれば歪ながら黄金になった。
一夜明けて、汚れが落ち、実験した時よりずっと澄んでいる。
これで数を削っていくつもりだ。
以前、凹ドーナツ型の中央が千切れた。
アレをここでやる。
ちゃんと固めてもらってはいるけど、モンスターが踏み荒らし、泥になり、黄金化が使えないかもしれない。
その時は必死に逃げる。
川の関は止めてある。
川まで黄金にするわけにはいかんし。
「しかし……戦の後は大変じゃろうな」
遠くに見える黒いモンスターの群れを見ながら、王様は呟く。
「すみません。埋めてください」
この作戦で大量の黄金ができてしまう。
実は兵士達は何も知らされていない。
ミステリーサークルも、ただの堀だと思っている。
突然黄金ができたらびっくりするだろうな。
天気が悪いうえにこんな間近にデカイ水たまり。
緊張もあいまって、みんな汗だくだった。
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