ピンクの雲
「はっはっは。」
してやったり。とフレデリックは喜んだ。
「オリーブ。」
「はっはっは。」
「嫌~ね。何か用。」
「ドライブに行って見ないかい。」
「どうしたの急に。」
「見せたいものが有るんだよ。」
「何処かしら。」
「自然動物園。」
「レッサーパンダ?」
「はっはっは。違うね。」
二人は木曜日車で近郊の動物園を目指した。
「フレデリック、今日は動物園は休みよ。」
「良いんだよ。」
フレデリックは動物園の職員と知り合いだった。
「やあ、フレデリック元気かい。」
二人は職員のロイに案内されて、猿の檻の前に着いた。
フレデリックは車のトランクから大きなケースを下ろして来た。
「実験ね。」
「御免ね、立ち会って欲しかったんだ。」
「良いのよ。」
「園の許可は?」
「OKだよ。」
ロイが答えた。
チンパンジーの檻の二十メートル前で例のθ波発信装置をセットした。
すると檻の中のチンパンジー達は日常と違う状況に警戒して騒ぎ立てた。
「これは調度良い。」
フレデリックは機械のスイッチをオンにした。
するとチンパンジー達は不思議そうに黙り込んだ。
「何をプレゼントしたの。」
「ワルツ。子犬のワルツさ。」
「はっはっは。」
「妙な顔。」
「あの子達音楽聴いたの初めてかしら。」
「きっとそうだよ。」
「θ波の効果は類人猿にも影響有りそうだね。」
「そう云う事だったんだ。」
「そうだよ。」
「次へ行こう。」
「次は何処。」
「鳥類だ。」
三人は放し飼いのフラミンゴ池に向かった。
「綺麗。」
早速θ波発射装置をフラミンゴに向けると、
ピンクの雲が湧き立った。
「今度の曲は?」
「リムスキー・コルサコフ。」
「判った。シェラザード。」
「当たりだよ。」
フラミンゴの群れは一つの意思を持った生き物の様に、
シェラザードの旋律にあわせて大空を飛翔するが、
論我々にはシェラザードは聞こえては居ないのである。




