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「御免なさい。」
「フレデリック、フレデリック。」
遠くで誰か自分を呼ぶ声がした。
白い霧の中に自分を呼ぶ声がした。
「貴方は誰ですか。」
その人物は白い服を着た老人だった。
「貴方は…」
再び呼んだ。
老人は爽やかに微笑んで
「フレデリック。」
と懐かしそうに呼んだ。
フレデリックは何故か懐かしい顔に思えた。
「私だよ。フレデリックだよ。」
「フ、フレデリック?」すると老人は笑いながら頭を降り。
「いいや。フレデリック・ショパンさ。」
フレデリックは老人をまじまじと見詰めた。
「フレデリック。音楽は楽しいかね。」
「は、はい。」
彼は気まずそうに紅い顔をすると、
「御免なさい。」
「何を謝るのかね。」
フレデリックはショパンコンクールのステージの事を思い出した。
「はっはっは。」
可笑しそうに笑った。
「良いじゃないか、そんな事。
それでわしやお前の人格が破壊される訳じゃない。」
「我が愛するフレデリック。お前の幸せだけを願うぞ。」
青年フレデリックは無性に涙が溢れて仕様が無かった。




