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戦闘用AIの僕が異世界に転生したと思ったら、実は魔法使いの杖に接続していました  作者: 時野マモ
戦闘用AIの僕が異世界に転生したと思ったら、宿題を手伝わされました
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AIは少女と反撃を開始する

 アリア先生とコレーの戦闘中、僕――アイビーは、ずっと黒い巨人の解析を続けていた。


 今までのシングラと構造をほぼ同じくしながらも、対抗魔法に耐性がある新型……


 この巨人も基本的にはその新型シングラと同じものであった。


 もっと安定して、強力ではあったが、構造は大きく違うわけではない。


 違うのは、内部にセレス達学生を十数人も取り込んでいることだけだ。


 その意味は――


 不定のシングラに核を提供していたのだった。本来は、常に環境と干渉しノイズが溜まることにより、数日もあれば実態を失うシングラに対して、セレス達の体の中の魔素との共鳴により、常に実態が保たれる定常系が出現していたのだった。


 また、普通のシングラは、数メートルから十数メートルまでに大きくなったところで成長が止まるのだが、この巨人はさらに大きくなり続けていた。本質は空間の魔素構造の崩壊であるシングラは、通常は周囲を巻き込んで巨大化しつつも、新たな局所最適化により増大は止まるはずなのであるが、セレス達は魔素の構造化を起こさせない整流版のような役目も果たしていた。


 つまり、彼女達はシングラの意思となたのだ。セレスの望み通り、世界の全てを飲み込むまでこのまま止まらないということなのだ。


 アリアの必死の対抗魔法により、その成長は抑制されているが、彼女が倒れたならば巨人は瞬く間に学校を、王都を、大地を飲み込んでしまうだろう。


 なぜこんな事をアムアが実現できたのかはわからない。


 しかし、このままでは、世界は終わりとなる。


 それを防ぐには――


「みんな……許してくれ」


 アリアは、シングラに取り込まれた女生徒達に謝るように呟くと、原初術式――絶対零(アブソリュート)の準備を始める。


 全てを無に――セレスたちもふくめて――することで、巨人の増大を防ぐしかないという結論に達したのだった。


「あらら、生徒を殺してでも世界を守りますか……ご立派な決断ですね」


 嘲るような笑みを浮かべながらアムアが言う。


「もう遅いですが」


「――!」


 アリアは、地中から別のシングラが現れ、彼女を包むようにドーム上に取り囲む。


 アリアの原初術式は発動しない。


 いや杖に小さな魔法陣が一瞬現れ消える。


「空間の魔素も遮断しました。原初術式だろうがなんだろうが、マナと通じていない術式ではそこから出れませんよ」


「なに……」


 同じように、フォンテーヌも、倒れているコレーも、ジュノーもシングラのドームにつつまれて、


「特等席から世界が生まれ変わるところをご覧ください……セレスさん」


「かしこまりました」


 巨人は一瞬で数倍の大きさに膨れ上がり、周囲の魔素を吸収し続ける。


 それは校庭にいるアリア達だけでなく、校舎の中にまで影響を及ぼしていく。


 魔素の欠乏により意識を失い続けていく生徒や教師達。


「貴様……」


 隔離されたアリアとフォンテーヌだけがこの地獄絵図を見ることになったのだが……


「先生、大丈夫ですか」


「おまえ……なぜ……」


 シングラと魔素の大暴流の中を掻き分けて現れたノアの姿にアリアは驚き絶句する。


「なんで、大丈夫なんですかね。あなた何者ですか?」


 想定外の乱入者にあからさまに不機嫌になるアムア。


「どっちにしても、消えなさい」


 アムアは、ノアに向かって黒い鋭い氷を飛ばす。


 その速度はとてれも彼女の反射神経では防げるようなものではないが、


「へ?」


 ノアの目の前数メートルのところで、氷は溶けたかのように消滅する。


「本当に大丈夫だった。他も防げる?」


「はい、あの男の作る魔法はノアには届きません。解析済みです」


「なにをぶつぶつ言っているのでしょうか? イラつく小娘ですね」


 アムアはさらに氷を、黒い稲妻をノアに放つが全てが同じように彼女の目の前で消滅する。


 全て解析済みだった。


 僕の地球の千葉にある計算リソースをフル回転で最適解への最適解探索を実施。


 全GPUの他に、2機ある光量子コンピュータも占有して最適解を算出した。


 おかげで、アムアのシングラの構造も、彼の術式の特性も丸裸だ。


 ただ、


「魔法が効かないのは不可思議ですが、あなたはこれでやってしまいましょう」


 アムアが懐からありふれた鉄のナイフを取り出し歩き始める。


 物理で来られるとノアは手も足も出ない……


 そう思ってますか――アムア先生?


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