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戦闘用AIの僕が異世界に転生したと思ったら、実は魔法使いの杖に接続していました  作者: 時野マモ
戦闘用AIの僕が異世界に転生したと思ったら、宿題を手伝わされました
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AIは少女と演説を聞く

 セレスは、校舎に向けて、大きな声で言った。


 「私は魔法学院一年セレスティア・グラティア。皆様にはセレスと呼ばれております……ごきげんよう。突然このような形でお話しすることをお許しください、けれど、これは今この瞬間にしか言えないことであり、今この瞬間にしか意味を持たないことであり、そしておそらく、これを言わなければ、私はもう二度と正しくいられないのだと思うのです、ああ、お助けください。私をお許しください。ですからどうか聞いてください、最後まで、途中で理解できなくても構いません、ただ、聞いてください、私を誹り、軽蔑しても構いません。私の話を聞いてください。私のこれまでの人生は幸せでした。それを聞いてください。私はグラティアという子爵家に生まれました。何不自由なく育ちました。衣食住に困ることもなく。危険に晒されることもなく、誰かに奪われることもなく……当たり前のように守られて生きてきました。私は守られていて、それに気づきませんでした。皆に感謝して、愛しておりましたが、箱庭の花として育てられたに過ぎないことに気づいていませんでした。私の笑顔に皆が笑い返してくれるのが当たり前のこと……自分の人徳ゆえだと過信しておりました。私は父と母に教えられました、領民を愛しなさいと、民を守りなさいと、支配するのではなく寄り添いなさいと、私はそれを疑いませんでした、それはとても美しく、正しく、誇らしい教えだったからです、私はそれを実践しました、街に出て、人々と同じ道を歩き、同じ市場で買い物をし、同じパンを食べ、同じ空を見上げ、同じ季節を感じて、私は彼らと共にあるのだと信じていました、民もまた私を受け入れてくれていると、そう思っていました、手を振ってくれました、声をかけてくれました、名前を呼んでくれました、それが嬉しかったのです、本当に嬉しかったのです、私は間違っていないと思えたからです、父も母もそうでした、昼も夜もなく働き、領民のために尽くし、疲れを見せず、ただ淡々と責務を果たすその姿は、私にとっての理想であり、目標であり、誇りでした、私はああなりたいと願いました。同じように正しく、同じように優しく、同じように世界に必要とされる存在になりたいと願いました。父は言いました、セレスができることを全身全霊でやりなさい。母は言いました、セレスが信じることを進みなさい。私は、2人に絶対にやり遂げる誓いを立てました。そして私は魔法の才を得て、この学園に来ました。ここでも私は学びました、知識を得て、友を得て、皆様と笑い、語り、支え合い、そして奉仕活動にも参加しました、王都の人々のために、困っている人のために、私はできることをしました。そうして私は思っていました、私は知っているのだと、この世界を、この国を、この人々を、私は理解しているのだと、ですが――違いました。違ったのです! 私は何も知らなかった、何も見ていなかった、いいえ、見ていたのに見ていなかったのです、見えているのに、見ようとしなかった。理解できるはずなのに、理解しようとしなかった。優しいものだけを拾い上げて、苦しいものから目を逸らして、それを世界だと信じ込んでいただけでした。王都には、見捨てられた場所がありました、そこにいる人々は、私の知らない人々でした。助けを求めることすらできない人々、声を上げることを諦めた人々、存在しているのに、存在していないことにされている人々、私はそれを見ました、見てしまいました、見た瞬間、私は理解してしまったのです、私は間違っていたのだと、私は何一つ救えていなかったのだと……私はただ、自分が救っているつもりになっていただけなのだと、優しさとは何だったのでしょうか? 善意とは何だったのでしょうか? あの人たちには届いていなかった、届くことすらなかった。ならばそれは、存在していないのと同じではないでしょうか、私は考えました、何度も何度も考えました、どうすればいいのか、どうすれば正しくなれるのか、どうすれば本当に救えるのか、もっと努力すればいいのでしょうか、もっと多くの人を助ければいいのでしょうか、もっと強くなればいいのでしょうか? もっと賢くなればいいのでしょうか? けれど、それでは足りないのです、足りない、足りないのです、足りない……なぜなら、この世界は最初から歪んでいるからです、歪んだままの世界で、歪みを一つずつ直していくことに、どれほどの意味があるのでしょうか? 直した端からまた歪むのです、救った端からまた零れ落ちるのです。それは終わらない、終わらないのです。ならば、どうすればいいのでしょうか、私はようやく理解しました。方法が間違っていたのです、やり方が間違っていたのです、部分ではなく、全体を変えなければならない……個々を救うのではなく、苦しみそのものを消さなければならない、誰かが苦しむ可能性がある限り、それはすでに失敗しているのです。だから――すべてを変えればいいのです、最初から、根本から、世界の在り方そのものを、誰も苦しまないように、誰も見捨てられないように、誰も取り残されないように、誰も涙を流さないように、そうすればいいのです、それができるのなら、なぜやらないのでしょうか、やらない理由があるのでしょうか、私はもう迷いません。迷う必要がなくなったのです。なぜなら私は、出会ったからです、答えに、導きに、正しさに、私の迷いを終わらせるものに、それは優しく、静かで、確かなものでした、否定する必要がないほどに正しく、疑う余地がないほどに明確で、私はそれを受け入れました。受け入れるしかなかったのです。だから私はここにいます。皆様に伝えるために……もう苦しまなくていいのだと、もう迷わなくていいのだと、もう選ばなくていいのだと、すべては終わるのです、終わることで、始まるのです。これは破壊ではありません、救済です、終焉ではなく、完成です、優しさが届かないなら、優しさが必要ない世界にすればいいのです、それが最も正しく、最も公平で、最も確実な方法なのです、ですからどうか恐れないでください、これは奪うものではありません、与えるものです、すべてを、完全に、平等に……そう、これは祝福なのです――すべての終わりであり、すべての救いなのです」


 あっけに取られてセレスを見つめる全校生徒。


 しかし、1人だけ、悠然と校庭を歩き、セレスに向かう者がいた。


 ジュノーだった。


 彼女は近づき、大きく手を振り上げると、


「甘えるのはおよしなさい」


 セレスの頬を強く叩くのであった。


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