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戦闘用AIの僕が異世界に転生したと思ったら、実は魔法使いの杖に接続していました  作者: 時野マモ
戦闘用AIの僕が異世界に転生したと思ったら、宿題を手伝わされました
17/25

幕間:深夜の学校

 その夜、僕――アイビーははその場にいなかった。


 だが後に、その全てを知ることになる。


 僕に、この時、もっと力があったのならば、この後に起きる事前に防ぐことができたかもしれなかったのだが……


   *

 

 深夜の学園は静まり返っていた。


 夕方のシングラ騒ぎなどなかったかのような【静寂の別の言い方、静野路は使わない】があたりを支配していた。


 月明かりに照らされた石造りの回廊も、中庭も、風の音だけが通り抜けていく。


 だが――

 

 その静寂の中に、わずかな違和があった。


 人の気配があった。


 それも、ひとつやふたつではない。


 十人ほどの少女たちが、音を立てないように注意しながら、校舎の後ろを歩いていた。


 誰も一言も話さない。


 行き先を確かめる素振りもなく、慣れた様子で……


 目的地に向かって真っ直ぐにすすむ。


 そのまま集団は学園の奥の森に入る。


 しばらく細い道を歩き――


 その深くにある小さな噴水のある池の横に、少女たちは集まっていた。


 横一列に並び、視線は中心の何もない空間に集まった。


 何かを期待した体は耐えきれぬように細かく震えていた。


 誰も喋らずに、荒々しい、興奮したような呼吸音だけが暗闇に響いた。


 最初はバラバラだった少女たちの動きが、呼吸が、心臓の鼓動でさえ同期していった。


 個々の身体が、ひとつのリズムに従って動き始め――


 やがて、その中心に、影が現れた。


 いつの間にかその影は実態を持ち始め……


 現れたのはアムアだった。


 学園一の人気教師は、ゆっくりと少女たちの前に歩み出る。


 月明かりを背に受けて、その輪郭が淡く浮かび上がる。


 整った顔立ち。


 穏やかな微笑み。


 昼間と何も変わらない――


 邪悪な男だった。


 彼は、一人の少女の前で立ち止まる。


 そっと、手を伸ばす。


 触れたのは、額。


 軽く、押し当てるように。


 その瞬間、少女は体をビクンと震わせて、歓喜の中失神する。


 倒れかかる少女を受け止めたアムアはその首筋に唇を当てて、隠していた牙を出して――吸血する。


 他の少女たちがわらわらとアムアに群がって、我先にと自らを差し出す。


 月が雲に隠れて真っ暗となった中で、狂ったような笑い声と歓喜に身を任せた叫び声が聞こえた。


 月が、再び雲間から顔を出した。


 アムアの姿が暗闇から浮かび上がった。


 いつの間にか、骨で作られた不気味な椅子にすわり、半裸となった少女たちは彼に群がって、次々に血を吸われた。


 アムアは満足げに微笑みながら、その姿を影の中に沈めてゆくのだった。


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