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探偵志望ワトソンさんと  作者: 北乃コウ
これはまごうことなきデートです
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まごうことなきデートです6


休日だけあって映画館は予想通り混んでいた。ひんやりとした空気が気持ちいい。着くまでに緊張していたのか、冷房がありがたく感じる。


館内には中学生、高校生が多くて、もしかしたら知り合いに会うかもしれないと心配をしてしまう。恵茉と目があって、誰にも気づかれないか、と思い直す。


「久しぶりに来たな」


「あぁ、そうなんですか?恵茉もです。模試の結果が悪かった時に行ったから、先月以来ですね」


「最近じゃん」


「仕方がないですよ。一人で映画見に行くのは現実逃避にもってこいなんですから」


小さなグッズ売り場の前のソファが空いていたので恵茉が腰を下ろす。柱の陰になっているので穴場のように空いていた。


「高瀬君はポップコーン食べる派ですか?」


ロビーの奥、フードコーナーにはなかなかそそるメニューが並んでいる。意識すればキャラメルの甘い匂いが漂っている気がした。


「恵茉は?」


「……はい?」


俺とは反対側、チケット売り場を見ていた恵茉が呼ばれて顔を上げる。そう言えばまだチケットを買っていない。


「……あ、そうですね。恵茉は買わない派ですけど、折角ですし、なにか買いましょうか。ね、行きましょう」


「まぁ何か飲み物は欲しいからな」


レジでは大学生らしきバイトの店員が忙しそうに動いている。4組ほどが列を作っていたので一番後ろに俺たちも並んだ。傍から見ればカップルにしか見えないだろう。


「そうですね、じゃぁオレンジのMサイズでお願いします。ポップコーンとかは高瀬君のチョイスでいいですよ」


一番前の中学生カップルがレジを開ける。


「え?恵茉?」


「分担です。恵茉は今からチケットを買ってくるので」


そういうと恵茉はふらりと列を外れた。


「嘘でしょ」


恵茉の後姿を見送るしかなくて、動けない。仕方ないと割り切るには少し時間が必要だった。眩いぐらいに光っているフードメニューのサイネージを眺めながら考える。


何かおかしいんじゃないかって。


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