幕間2(リーシャ視点)
ベアちゃんが殺され、クロエを置いて彼らについてきた私は馬車に乗せられた。
そうして数日の時間をかけて城まで連れてこられ、王様と対面し、幽閉の塔と呼ばれる場所に連れてこられた。
見た瞬間にわかる。ここは魔力を封じるための場所だ。
ここに一度入ってしまえば、魔力を上手く扱うことができず、魔法が使えなくなる。
そうすれば、私は何もできない。
それを理解できても、抵抗する意思も行動もしない。
ただ付き従うのみ。
できないからではなく、仮に抵抗しても。
その結果は――。
「どうされました?」
「・・・・・・いえ、何も」
脳裏の悲劇を思い返しながら、ここにつれてきた騎士の一人。彼の言葉に私は首を軽く振る。
「そうですか・・・・・・手荒な真似をしていると自覚しているので、あまり説得力があるわけではありませんが、俺ができる限りの事はしますので、何かあれば声をかけてください」
「・・・・・・わかりました」
そう言って塔の最上階につれてきた彼は扉の前に移動し、頭を下げた後部屋を後にする。
「・・・・・・」
それを見送り、窓際まで立つと、空には三日月が浮かんでいた。
「クロエ・・・・・・」
思い出すのは別れ際の顔。
あの顔を思い出すのは辛い。
傷ついていた。とても。
私の言葉に、クロエはショックを受けていた。
あの顔は、あの時と同じだ。
世界にたった一人で放りだされてしまった。
放り出したのは私。
私がクロエを傷つけた。
痛いほどに、それがわかる。
世界に放り出されてしまったとき、父が寿命でなくなったとき。
私は父の言葉に深く傷ついたのだから
『――すまない、もうお前の傍にいてやることができない』
父が私を愛してくれているのはわかっていて、だからこその言葉なのだと理解出来ても。
離れるという事実を受け入れられる事ができなかった。
だから今どれほどの痛みを絶望がクロエを襲っているのか、わかっている
そして、今だからこそわかる。
父が自分をおいていなくなったとき、きっとこんな気持ちだったのだと。
離れたくなくて、どうしようもできなくて。
それでも離れるしかないから言うしかなかった。
「・・・・・・」
私がこんなことを今いってもどうしようもないのだとわかる。
それでも声に出して言わずにはいられず。
誰もいない虚空に向かい呟いた
――愛している、誰よりも、と。




