【プレイバック③】キイルタ=トラフの小休止
【第3章 登場人物】
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ヴィムル河流域での一連の勝利に、帝国軍首脳陣は沸き、祝勝会が開かれることになりました。
あれほど私たちの作戦を批判されてきた方々が、礼装に着替え、グラスを酌み交わし、豪勢な料理に舌鼓を打っています。
まったく良い気なものです。
レイス少佐は下戸な上に、こういう浮ついた場が苦手だから、案の定姿を見せておりません。おそらく、総司令部詰所の長椅子あたりで横になっていることでしょう。
作戦が完了し、参謀部の皆まで気が緩んでいるようでした。
とくにあの娘たち……。
私たちには、残務処理が山のようにあります。レイス隊の皆に声を掛け、総司令部へ引返すことにしました。
詰所に戻ると、驚いたことに少佐は起きていました。しかも、自ら書類整理などしているではないですか。昼間、何か変な物でも食べたのでしょうか。
皆で、そんな少佐のお手伝いをすることになりました。
詰所の入口にて、挙動不審な様子のヴァーラスの赤猫娘を見かけました。何か仕事を――そうだ、文房具の整理でも充てがいましょう。
蜂蜜娘は、やはり片づけ・清掃でも戦力にならない……祝勝会場で、ゴウラ少尉たちとつまみ食いしていたのは知っています。あの娘はお酒が弱かったはず……あれでは仕事を増やすだけでしょう。
ちょ、アルコールのせいとはいえ、少佐に近づき過ぎではないでしょうか。
気がついたら、私は箒を掴んでいました……床に埃がたまっていたからですよ。えぇ、埃を掃かなくちゃ……。
ヴィムル河流域会戦、点睛を欠く――。
上流へ逃れた敵部隊が囲みを突破し、対岸でイース少将の部隊が手痛い反撃を被ったなど、精査すべき事象が起きていたようです。
しかし、何よりの懸念事項は、村落Aで敵司令官とともに、マグノマン准将を死なせたことでした。
少佐らしくない失態です。
どうして、作戦概要を准将に伝えていなかったのか。せっかく、オウェル参謀長の更迭騒動の折、アトロン総司令が連座人事から我々を守ってくださったというのに……。
そのことを尋ねても、少佐はの反応は冴えないものでした。いつもの寝起きとも少し違う、掴みどころのない鈍さ――しかし、
狐の子分を殺めて無事に済むはずがないでしょう。
ほら、ご覧なさい。
東都ダンダアクから、調査団が乗り込んできました。しかも、黒狐の大将自ら先頭に立って――。
【作者からのお願い】
蒼みがかった黒髪の副官による振り返り――キイルタ=トラフの小休止――は、もう1話だけ続きます。
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【予 告】
次回、「【プレイバック④】キイルタ=トラフの小休止」お楽しみに。
トラフたちに黒狐一派による誘惑が迫ります。
片眼鏡の金鎖以下、全身を装飾したルーカー少将からは、露骨な提案も受けました。真実を話せば、帝国軍での立身出世を約束しよう、と。
狐の大将以下お歴々からの圧力は凄いもので、これは提案というよりも、恫喝と称した方が適切だったかもしれません――。




